「家が建たない」と言われた土地を、買った。
土地の仕入れをしていると、
資料を見た瞬間に、
「これは難しいですね」
となる土地がある。
高低差がある。
擁壁がある。
形が悪い。
道路が狭い。
そして、もうひとつ。
「43条但書道路」に接している土地。
この言葉が出てきただけで、
検討をやめる不動産会社は結構多い。
大手の不動産会社なら、
そもそも仕入れの対象にしないこともある。
理由は分かる。
普通の土地より、面倒だからだ。
建築できるのか。
融資はつくのか。
買ったあと、本当に売れるのか。
確認しなければいけないことが、一気に増える。
だから、
「やめておこう」
となる。
僕も、何でも買うわけじゃない。
むしろ、こういう土地ほど慎重になる。
ただ、
最初から「買えない土地」と決めることもしない。
僕が知りたいのは、
「難しいかどうか」ではなく、
「何が難しいのか」だ。
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道があるのに、家が建たない。
43条但書道路という言葉は、
一般の人にはあまり馴染みがないと思う。
現地に行くと、もっと分かりにくい。
目の前には、ちゃんと道がある。
人も歩いている。
車も通っている。
その先には、普通に家も建っている。
見た目だけなら、
「ここ、何が問題なんだろう」
と思うような場所もある。
でも、
見た目が道路だからといって、
法律上も「道路」とは限らない。
家を建てる土地は原則として、
建築基準法上の道路に接している必要がある。
いわゆる「43条但書道路」と呼ばれてきたものは、そこが少し違う。
今の制度では、建築基準法43条2項の認定・許可という扱いになる。
一定の条件を満たし、
行政の認定や許可を受けることで、建築できる場合がある。
つまり、
「道がある」=「普通に家が建つ」
ではない。
ここが、この土地の最初の難しさだった。
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不動産会社が嫌がるのには、理由がある。
こういう土地が敬遠される理由は、
建築だけじゃない。
仕入れの融資もある。
不動産会社が土地を買うとき、
銀行から融資を受けることは多い。
でも、43条但書道路に接する土地になると、
金融機関の見方が変わることがある。
本当に建築できるのか。
将来、問題なく売却できるのか。
担保として、どう評価するのか。
金融機関によって判断も違う。
当然、
「この土地には融資できません」
となることもある。
そうなると、不動産会社側からすれば、
わざわざ難しい土地を買う理由がない。
普通の土地を買えばいい。
大きな会社になれば、
社内の仕入れ基準もある。
一件の土地のために、
いつもと違う進め方をするのも簡単ではない。
だから、買わない。
それは合理的な判断だと思う。
でも、
ここで一つだけ分けて考えたいことがある。
「買わない土地」と、
「買えない土地」は違う。
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僕は、役所に聞きに行った。
こういう土地を見たとき、
僕がやることは意外と地味だ。
資料を持って、役所に確認する。
この土地は、本当に建築できないのか。
建築するには、何が必要なのか。
この通路を、どういう状態にする必要があるのか。
どこまで道路として確保するのか。
どんな整備が必要なのか。
一つずつ聞いていく。
土地の仕入れは、
現地を見た瞬間に
「買う」「買わない」を決めているように思われることがある。
実際は、そんなに格好いいものじゃない。
資料を見る。
役所に聞く。
金融機関に確認する。
図面を引く。
また確認する。
その繰り返しだ。
そして今回も、
確認していくと見え方が変わってきた。
家が建たないわけではない。
行政から求められる条件を満たし、
必要な整備をすれば、
建築できる可能性がある土地だった。
ここで初めて、
僕の中でこの土地が、
「買えない土地」から
「検討できる土地」に変わった。
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でも、「建てられる」だけでは買わない。
ここは大事なところだと思う。
建築できることが分かったからといって、
僕はすぐには買わない。
土地は、
「家が建つ」=「買っていい」
ではないからだ。
道路を整備するのに、いくらかかるのか。
造成は必要なのか。
建築するときに制約はないのか。
最終的に、いくらでお客さんへ届けられるのか。
そして、
その価格で本当に選んでもらえるのか。
そこまで考える。
安く買える土地には、
安い理由がある。
その理由を解決するために
想像以上のお金がかかるなら、
安く買えても意味がない。
僕自身、
「安く買えた」という理由だけでは、
土地を信用しない。
だから今回も、
「43条だから安い。買おう」
ではなかった。
必要な整備をしても、事業として成立するのか。
そこまで見て、ようやく仕入れを判断する。
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「弱点」があるから、安く買える。
一方で、
難しさを一つずつ整理できれば、
この土地には別の顔が見えてくる。
立地はいい。
駅からも遠くない。
生活もしやすい。
周りには住宅が建っている。
土地そのものに、大きな問題があるわけではない。
ネックになっていたのは、
「道路の扱いが普通とは違う」
ということだった。
多くの不動産会社が、そこで止まる。
競争する会社が減る。
結果として、
一般的な土地より安く買えることがある。
もしこの土地が、
普通の建築基準法上の道路に接していたら。
同じ立地。
同じ広さ。
同じ周辺環境でも、
もっと高く売買されていたかもしれない。
そう考えると、
「問題のある土地」ではなく、
「理由があって安くなっている土地」
にも見えてくる。
大事なのは、
その「理由」が、
自分たちで解決できる理由なのかどうか。
そこだと思う。
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道路を整える。
行政と確認した内容に沿って、
必要な道路部分を確保する。
必要な整備をする。
家を建てられる状態にしていく。
もちろん、手間はかかる。
普通の土地なら必要のない確認もある。
工事も増える。
時間もかかる。
でも、
それを全部織り込んでも成立するなら、
最初に見えていた「弱点」は、
逆に、
この土地を安く買える理由
になる。
みんなが嫌がったところに、
価値が隠れていることがある。
土地の面白いところだと思う。
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「住宅ローンがつかない」も、調べてみる。
もう一つ、避けて通れないのが、
お客さんが家を買うときの住宅ローンだ。
ここも、
「43条だから住宅ローンは無理」
と決めつけない。
もちろん、普通の土地と同じではない。
取り扱わない金融機関もあるし、
条件によって判断は変わる。
でも、確認していくと、
こうした土地でも住宅ローンを検討してくれる金融機関はある。
つまり、
「住宅ローンがつきにくい」と
「住宅ローンがつかない」は、
やっぱり違う。
どこなら可能性があるのか。
どんな条件なら取り扱えるのか。
そこまで確認する。
僕が仕入れるのは、
土地を買うためではない。
その先で、
誰かがそこに家を建てて、暮らせる状態にするためだ。
だから、
仕入れの融資だけではなく、
最後にお客さんが買えるところまで考える。
そこまで見えて、
ようやく一つの土地として成立する。
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土地は、見る人によって化ける。
土地の仕入れをしていると、
「これは無理ですね」
という言葉をよく聞く。
もちろん、
本当に無理な土地はある。
調べれば調べるほど、
「これは買わない方がいい」
となる土地もたくさんある。
むしろ、そっちの方が多い。
でも、
最初に見つけた一つの弱点だけで、
その土地の可能性まで
全部消してしまうのはもったいない。
道路が普通じゃない。
融資が難しい。
整備に手間がかかる。
それは事実。
でも、
難しいことと、
できないことは違う。
何が難しいのか。
どうすれば解決できるのか。
いくらかかるのか。
その先に、ちゃんと買ってくれる人がいるのか。
一つずつ見ていく。
すると、
みんなが避けていた土地が、
好立地で、手の届きやすい土地に化けることがある。
土地そのものが変わったわけじゃない。
駅までの距離も、
周りの環境も、
土地の広さも変わっていない。
変わったのは、
その土地の見方だ。
だから僕は、
「普通は買わない」
という言葉だけでは、
土地を判断しないようにしている。
本当にダメなのか。
それとも、
まだ誰もちゃんと見ていないだけなのか。
そこを一度、自分の目で確かめる。
先入観で可能性に蓋をしない。
それだけで、
見える土地は少し変わる。
土地は、見る人によって化ける。
僕が土地の仕入れを続けていて、
今でも面白いと思う瞬間のひとつだ。
