OEMで200万円失った話。サンプルも検品も問題なかった傘が全廃棄になった理由
今回は、私がOEMで約200万円を失ったときの話をします。
今思い返すと、かなり恥ずかしい失敗です。
ただ、この失敗から学んだことは、その後の物販における大切な判断基準になりました。
これからOEMに挑戦したいと考えている方、特に中国輸入を始めたばかりの方には、ぜひ知っておいてほしい話です。
売れている市場で、良い商品を作れば勝てると思っていた
数年前、メンズの折り畳み傘をOEMすることにしました。
簡単に言うと、既製品をもとに仕様を変更し、オリジナル商品を作りました。
当時、メンズの折り畳み傘はAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングのどこでもよく売れていました。
市場規模は十分にある。
需要も確認できている。
そこで私は、楽天市場で売れている傘をいくつか購入し、品質や機能を比較しました。
そのうえで中国の工場と相談し、試作を繰り返しました。
持ち手、骨組み、生地、開閉のしやすさなどを確認し、サンプルが完成したときには、
「これなら、今トップで売れている傘よりも良い」
と本気で思っていました。
最低発注数は2000本。
仕入れ金額は国際送料込みで約200万円です。
決して小さな金額ではありません。
それでも当時の私は、市場も調べた、競合商品も買った、サンプルも何度も確認した。
これだけ準備したのだから、勝てる可能性は高いと考え、発注を決めました。
見た目では、何も問題がなかった
量産開始から約1か月後、商品が完成しました。
中国の代行業者にも検品を依頼しましたが、特に問題は見つかりませんでした。
その後、日本へ商品が到着。
開閉に問題はない。
骨の歪みもない。
傷や汚れ、サビもない。
パッと見た限りでは、きちんとした傘に見えました。
ちょうどその頃、大雨が降っていたので、私は完成した傘を実際に使ってみました。
正直、かなりテンションが上がっていました。
苦労して、大金をかけて作ったオリジナルの傘を、ようやく実際の雨の中で使えるからです。
大雨でしたが、私の気分はとても良いものでした。
しかし、想定していなかった問題が発覚します。
傘をさして歩いていると、ときどき首や耳に冷たいものが当たりました。
最初は雨粒が横から入ったのだと思いました。
しかし、上を見ると、傘の内側から水がポタポタと落ちていました。
サッと血の気が引きました。
雨漏りする傘でした。
「いやいや、たまたま使ってみた傘が不良品だっただけだろう」ともう1本取り出して確認しました。
雨漏りします。
「アカン、これはアカン…」
20本ほど確認しましたが、全滅でした。
検品はしていた。でも、必要な検品が分かっていなかった
もちろん、サンプル段階でも雨に濡らす確認はしていました。
代行業者にも、抜き取った商品に水をかけて確認してもらっていました。
ただし、どちらも素人レベルの簡単なチェックです。洗面器やコップに入れた水を開いた傘にパシャっとかける程度。
そんな検査とも呼べないことしかしていませんでした。
少し強い雨が長く降ると、縫い目などから水が漏れてくる。
そこまでの試験はしていませんでした。
後で知ったことですが、傘には「耐漏水性」という検査基準があります。簡単に説明すると、人工的な雨に一定時間さらして、漏れを確認します。カケンテストセンターでも依頼すれば検査してもらえます。
工場に連絡しましたが、
「そんな強い雨は想定していない」
「こちらでは問題ない」
という返事で、まともに取り合ってもらえませんでした。
発注までは非常に協力的だった工場が、問題が起きた途端に態度を変える。
中国輸入では、残念ながらこうしたこともあります。
ただ、工場だけを責めることはできません。
こちらが量産品に求める品質基準を明確にせず、サンプルのテストも専門的な確認はせず、契約にも落とし込んでいなかったからです。
「普通に使える傘を作ってもらう」
こちらとしては、そのつもりでした。
しかし、「普通に使える」の基準は、人や国、工場によって異なります。
どれくらいの雨量に、何分耐えられる必要があるのか。
どの試験を行い、どの状態なら合格なのか。
そこまで具体的に決めなければ、品質基準にはなりません。
最大の失敗は、傘を売った経験がなかったこと
もう一つ、大きな失敗がありました。
私はそのOEMをするまで、既製品の傘を販売した経験がありませんでした。
傘を日常的に扱っている人なら、雨漏りは当然確認する項目だったのかもしれません。
雨漏りの専門的な検査があることも知っているでしょう。
しかし、経験のなかった私は、
穴が開いていないか。
骨が曲がっていないか。
きちんと開閉できるか。
その程度しか想定できていませんでした。
目に見える不具合は確認できても、強い雨の中で使ったときに初めて分かる不具合までは、考えが及びませんでした。
ここで怖いのは、自分としては雑に進めているつもりがなかったことです。
競合調査もした。
サンプルも確認した。
代行業者に検品も頼んだ。
慎重に進めているつもりでした。
それでも、商品知識がなければ、確認項目そのものが抜けます。
知らないことは、チェックリストに入れることもできません。
雨漏りする傘は、安くしても売れない
結局、完成した2000本の傘は販売できませんでした。
多少の傷や箱潰れであれば、訳あり商品として安く販売する方法もあります。
しかし、雨漏りする傘は、傘としての役割を果たしません。
送料や販売手数料を考えると、少なくとも500円から600円程度で販売しなければ、売るほど赤字が増えます。
とはいえ、500円を払って雨漏りする傘を買う人はいません。
最終的には、ほぼすべてを廃棄処分するしかありませんでした。
損失は約200万円です。
200万円あれば、新しい商品を何度もテストできました。それを一度の発注ですべて失ったと考えると、今でもかなり痛いです。
幸い、当時は他に売れている商品があり、資金にもある程度の余裕があったため、事業が続けられなくなるほどの致命傷にはなりませんでした。
しかし、中国輸入を始めたばかりで、手元資金の大半をこの商品に使っていたら、廃業していた可能性があります。
今なら、いきなりOEMはしない
今の私なら、まず既製品を少量仕入れて販売します。
実際にお客さんへ販売すると、商品を見る目が変わります。
どこに不具合が起きやすいのか。
お客さんは何を気にするのか。
どんな問い合わせや返品が発生するのか。
レビューには何と書かれるのか。
これらは、競合ページを眺めるだけでは完全には分かりません。
既製品を販売して商品への理解を深め、需要と改善点を確認してから、必要であればOEMへ進みます。
さらに量産前には、サンプルをカケンなどの検査機関に送り、必要な品質試験を行います。
そして、検査に合格したサンプルを量産時の品質基準として工場と共有し、可能であれば契約にも盛り込みます。
それでも不良や失敗を完全になくすことはできません。
しかし、少なくとも、
「自分で見た感じ、良さそうだったから量産する」
という当時の私より、事故の可能性は大きく下げられます。
物販で大切なのは、失敗しないことではない
この失敗以降、私が物販で大切にしている考え方があります。
それは、
致命傷を負わないこと
です。
どれだけリサーチしても、どれだけ良い商品を作っても、実際に販売するまで売れるかどうかは分かりません。
品質の問題、競合の参入、価格の下落、広告費の高騰など、想定外のことも起こります。
成功率を高める努力は必要です。
ただし、100%成功する商品を探そうとするよりも、失敗したときに再挑戦できる状態を残しておく方が大切です。
初心者のうちは、既製品で十分です。
「既製品では売れない。OEMにしなければ勝てない」
と思う必要はありません。
既製品でも、商品選びや見せ方、説明、付属品、販売方法を工夫すれば売れます。
まずは小さく仕入れ、販売し、経験を積む。
失敗しても、仮に1個も売れなくても、次に挑戦できる金額に抑える。
その中で売れる流れをつかみ、資金と経験に余裕ができたときに、必要であればOEMに進む。
物販では、失敗を完全に避けることはできません。
でも、致命傷さえ負わなければ、何度でも挑戦できます。
そして挑戦を続けていれば、そのうち一つのヒット商品が、それまでの失敗を取り返してくれます。
この記事を読んで、これからOEMに挑戦しようとしている方は、発注する前に下の2つを確認してください。
□ この商品を、自分は本当に理解できているか
□ 想定外の不良が起きても、もう一度挑戦できる資金は残るか
少しでも不安があるなら、まずは既製品を少量販売して、商品知識とお客さんの反応を集めるところから始めてみてください。
遠回りに見えても、その経験が大きな失敗を防いでくれます。
今後も、物販で実際に経験した失敗や、初心者の頃に知っておきたかった物販の考え方を書いていきます。興味がある方は、ぜひフォローして次の記事も読んでみてください。
