仕事が迷子にならない、業務の「大分類」整理術
「縦に案件、横に日付。これで完璧!」
前回、京香さんに教えてもらった「1枚シート」を意気揚々と使い始めた私。
言われた瞬間にその日のマス目へ用件を置くだけなので、確かにメモが散らかることはなくなりました。
ところが、使い始めて3日目の午後。
またしても、私の手は画面の前で止まっていました。
「……あれ? 毎月やってる請求書の行、どこだっけ?」
シートの上から下まで、ずらりと並んだ行の山。
上の方には突発で頼まれた現場の用件があり、その下に毎月のルーティンが挟まり、さらに下には昨日思いつきで足した確認事項が並んでいる。
行が増えれば増えるほど、「目的の行を探すスクロール」に時間がかかり、せっかくの1枚シートが早くもごちゃつき始めていたのです。
「思いついた順に足す」と、大事な仕事が埋もれる
画面を激しく上下にスクロールしていると、後ろを通りかかった京香さんが足を止めました。
京香さん
「太助くん、マウスのホイール壊れるんじゃない? 何を探してるの」
太助くん
「あ、京香さん……
案件が増えてきたら、行を探すのに時間がかかっちゃって。
突発で頼まれた用件をその都度一番下に追加してたら、どれが定期業務でどれが現場の仕事か分からなくなってきちゃいました……」
京香さん
「枠を作っただけで満足しちゃダメ。
中身の並び順にルールがないから、結局探す羽目になってるじゃない」
太助くん
「ルール、ですか……?」
京香さん
「そう。思いついた順や発生した順に行を増やしていくと、毎月絶対にやらなきゃいけない大事なルーティンが、突発の雑用に埋もれて見落としの原因になるのよ」
自分が探しやすい「3つの引き出し」を作る
そこへ、温かいお茶を手にした深見さんが静かに声をかけてくれました。
深見さん
「……うん、一回深呼吸しようか。
太助くん、シートを毎日開いて使えているのはすごく良いことだよ」
太助くん
「ありがとうございます……
でも、行が散らかってきてしまって」
深見さん
「そうだね。
行が増えて迷子になるのは、引き出しのラベルが決まっていないからだよ。
難しく細分化しなくていいから、まずは大分類でざっくり分けてみようか」
深見さんと京香さんのアドバイスを受け、シートの行を次の3つの大分類で整理することにしました。
【1. 毎月の業務】
給与計算、請求書発行、月次締めなど、毎月必ず発生する固定ルーティン。
【2. 都度の業務】
備品の発注、突発の書類作成、役所への提出など、発生ベースで動く一般的な単発業務。
【3. 現場(または個別プロジェクト)】
〇〇邸新築、△△ビル改修など、案件ごとに進捗ややり取りを追いたい仕事。
大分類が固定されると、受けるときも迷わない
シートの左側(A列)にこの「大分類」を固定し、B列に具体的な業務名を並べ替えてみました。
・毎月の業務 | 請求書仕分け・確認
・毎月の業務 | 給与台帳・振込手続き
・都度の業務 | 備品発注・消耗品確認
・都度の業務 | ホームページ修正依頼
・現場 | ○○邸新築(サッシ・工程)
・現場 | △△中改修(提出書類)
太助くん
「あ……!
分類ごとに並べる場所が決まっていると、電話で『〇〇邸の件なんだけど』って言われた瞬間に、迷わず現場のエリアに目を落とせます!」
京香さん
「そう。頭の中に『3つの引き出し』がある状態ね。
新しい仕事が来ても、適当に一番下へ足すんじゃなくて、『これは都度の業務だな』って所定の場所にスッと入れられるでしょ」
深見さん
「うん。大分類の言葉は、自分が普段使っている一番しっくりくる言葉でいいんだよ。
探すときの自分の視線に合わせるのが、無理なく続ける一番のコツだからね」
太助くん
「引き出しが決まっているだけで、こんなに探すストレスがなくなるんですね……!」
読者が明日試せる小さな一歩
手元のメモやシートにある日頃の仕事を、「毎月のルーティン」「その都度発生する仕事」「現場・プロジェクト」の3つにざっくり分けてみてください。
分類の引き出しを3つ決めておくだけで、突発の依頼が舞い込んできても、頭を抱えずに落ち着いて受け止められるようになります。
縦と横の構造に「大分類」が加わり、複数の依頼が重なっても迷子にならない仕組みが整いました。
次回は、この連載で試行錯誤してきた工夫をすべて詰め込んだ、明日からそのまま使える「1行デイリー業務シート」の組み立て方を解説します。
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