AIが読んだ請求書を全部見直すのは、やめました|確かめるのは合計1個だけ
「PDFで届いた書類のデータを、Excelの様式に取り込みたいんだよね」
こんにちは、ハルトです。
先日、ある事務所の方からこう相談されました。お客さんから届く書類はスキャンのPDFや写真ばかりで、それを見ながら手で打ち直しているそうです。
これ、事務所に限った話じゃないですよね。月末に取引先から請求書が何枚も届いて、日付と金額と支払期限をスプレッドシートに打ち込んでいく。画面の左にPDF、右に表。見て、覚えて、打つ。また左を見て、覚えて、打つ。
この記事は、その転記をAIに任せたあと「金額を読み間違えられていないか」をどう確かめるかの話です。転記そのものより、確かめ方のほうが本題です。
先に正直なところを書いておくと、僕は前の仕事で似た転記は散々やりましたが、請求書の処理そのものをやっていたわけではありません。なので「毎月これで回してます」という話ではなく、今回ダミーの請求書を作って試してみた記録です。
請求書は、3枚あれば3枚とも形が違う
まず試すための請求書を3枚作りました。全部架空の会社・架空の金額です(実物で試すのは絶対にやめてください、という話はあとで書きます)。
わざと、ぜんぶバラバラにしてあります。
1枚目は西暦で、税込の総額が上のほうに大きく書いてある。ただし件名の欄がない
2枚目も西暦だけどスラッシュ区切り。明細のなかに値引きの行がまぎれている
3枚目は和暦。しかも金額の列が税抜で、税込は下のほうに小さく書いてある
支払期限の呼び方も3枚バラバラで、「お支払期限」「支払期日」「お支払期日」。

実際こうですよね。取引先ごとにテンプレートが違うので、「決まった形じゃないから自動化なんて無理」と思われがちなところです。僕もここが一番あやしいと思っていました。
3枚まとめて投げたら、金額は全部合っていた
やったことは単純で、claude.aiに請求書3枚をそのまま添付して、こう頼みました。
添付は取引先から届いた請求書3枚です。支払い管理用の一覧にしたいので、1枚につき1行で「請求元・請求日・件名・請求金額(税込)・支払期限」を書き出してください。書いてあるとおりに書き写して、書いていない項目は空欄のままにしてください。推測で埋めないでください。
返ってきたのがこれです。

株式会社ミナトデザイン / 2026年7月31日 / (記載なし) / ¥264,000 / 2026年8月31日
有限会社カワセ工材 / 2026/07/28 / 6月度 資材納入分 / ¥354,420 / 2026/09/10
サクラ配送サービス / 令和8年7月31日 / 6月分 配送業務委託料 / ¥1,188,000 / 令和8年8月20日
金額は3枚とも正解でした。しかも、仕込んでおいた引っかけを2つとも避けています。
ひとつは値引きの行。明細を上から足し算すると値引きを見落として15,000円ずれるんですが、明細を足し直さずに請求書の「合計金額」欄をそのまま読んでいました。
もうひとつは税抜と税込。3枚目は金額の列が税抜なので、そこを取ると1,080,000円になります。でも下のほうにある「ご請求金額」1,188,000円のほうを取っていました。
「埋めませんでした」と自分から言ってきた
個人的に一番おっと思ったのは、表の中身じゃなくて、そのあとに添えられていた2行のほうです。
ミナトデザインの請求書には「件名」に相当する欄がなく、明細(コーポレートサイト リニューアル ほか)のみでした。品目から件名を作ることもできますが、推測になるため空欄にしています。
日付は原本の表記のまま残しました。西暦に揃える場合は言ってください(令和8年=2026年)。
件名の欄がない1枚を、空欄のまま置いたんです。しかも「作ろうと思えば作れるけど、それは推測だからやめておいた」と自分から報告してきた。
日付もそうで、和暦を勝手に西暦へ直していません。「揃えますか?」と聞き返して、判断をこっちに戻してきています。
AIって放っておくと気を利かせて埋めたがるので、ここは正直ありがたかったです。効いたのはたぶん、頼み方の最後に入れた「推測で埋めないでください」の一行です。これがないと、品目から件名っぽいものを作ってしまう可能性は十分あったと思います^^
でも、合っているかどうかは、この表を見ても分からない
さて、ここからが本題です。
今回はたまたま全部合っていました。でも、その「合っていた」を僕はどうやって知ったのかという話なんですよ。
答えは身も蓋もなくて、自分で作ったダミーだから正解を知っていたからです。実務ではそうはいきません。表を見ただけでは、その264,000という数字が請求書のとおりなのか、AIが1桁落としたのかは分からない。
じゃあ全部見比べるか。でもそれをやったら、転記を2回やっているのと同じです。楽をするために使ったのに、確認で同じだけ時間がかかったら意味がない。
かといって、金額を見ずに支払うのはもっと怖い。ここで止まってしまう人、多いと思います。
確かめるのは、合計1個だけでいい
僕がやったのは、こうです。
請求書3枚の「合計金額」欄だけを見て、自分で足す。
264,000 + 354,420 + 1,188,000 = 1,806,420
そして、AIが作った表の金額列を合計する。同じ1,806,420になれば、そこは通す。

数えてみると効き目がはっきりします。5項目×3枚で、確認すべき場所は15箇所ありました。それを全部見比べるかわりに、合計を1回照らし合わせるだけにする。見る場所は3枚の合計欄だけです。
もちろん、これで全部が保証されるわけではありません。たとえば2社の金額が入れ替わっていても合計は合ってしまいます。ただ、桁を落とす・数字を読み違えるという一番こわい種類の間違いは、合計が合わなくなるので必ず引っかかります。
そして合計が合わなかったときだけ、1枚ずつ見に行けばいい。毎回15箇所を見るのか、ズレた月だけ見に行くのかは、けっこう大きい差だと思います。
AIに合計を出させても、意味がない
ひとつだけ、やってはいけない確かめ方があります。
AIに「この3枚の合計はいくら?」と聞くことです。
これ、一見ちゃんと検算しているように見えるんですが、AIは自分が読み取った数字を足しているだけなんですよね。1,188,000を1,088,000と読み間違えていたら、合計も間違ったまま返ってきて、しかも堂々と返ってきます。
答案を書いた本人に丸つけさせているのと同じ、と言えば伝わるでしょうか。
なので足すのは人間側です。といっても電卓を3回叩くだけですし、スプレッドシートに貼ったなら=SUM()を1本入れて、請求書の合計欄と見比べるだけです。別のルートで出した数字とぶつけるというのが大事なところで、同じAIの中で完結させたら確かめたことになりません。
使うときの注意
今回は全部架空のダミー請求書で試しています。取引先の実物でいきなり試さないでください。会社名・金額・口座番号が入った書類なので、まずは自分で作ったサンプルで挙動を見るのが先です
実際の書類を扱うなら、そのデータをどこに置くか・どこに送るかを先に決めてから。ここは会社ごとにルールが違うところなので、勝手に判断しないほうがいいです
金額と支払期限の最終確認は人間の仕事です。今回のように合計で照合しても、支払うボタンを押す前にもう一度見るのは変わりません
そして念のため書いておくと、僕もこれを毎月の実務で回しているわけではありません。ダミーで試した範囲の話です
今日の1個
書いてあるとおりに書き写して、書いていない項目は空欄のままにしてください。推測で埋めないでください。
転記を頼むときは、この2文を最後に付けてみてください。埋めてほしくないところを埋められなくなるのと、AIが「ここは判断できませんでした」と自分から言ってくれるようになります。
次に潰す課題
次は「問い合わせメールの一次返信」をやろうと思っています。これも毎日発生して、しかも金額と違って正解が1つじゃないぶん、確かめ方の話がまた変わってきます。
みなさんは、AIに任せたものを何で確かめていますか? 「これで見てる」というのがあれば教えてください。
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