見出し画像

加藤ローサに思わず乾杯した夜

20年来通っている美容院の周年イベントに顔を出したときの話。偶然居合わせた素敵な女性をナンパしておしゃべりに花が咲いた。

U「 どれくらい通ってるんですか? 」
女性「 10年くらいです〜 」
U「 やっぱ長くなりますよね〜。うちは家族全員来てます笑 」
女性「 うちも夫婦で!」
U「 だんだん同じになるもんですよね 」
女性「 夫婦生活何年ですか? 」
U「 18年ですね〜 」
女性「 うち、10年で壁にぶつかってて… 」

彼女曰く「 10年で本格的に合わない部分が表面化して許せなくなってきた 」そう。その違和感、すごくよくわかる。

しばらく身の上話をした上で、私は切り札のようにある話題を投下した。
――そう、巷を賑わせている「 加藤ローサ発言 」である。

U「 加藤ローサのあれは革命だよね 」
女性「 そ、それなの!わかるわかる、痛いほどに! 」

同世代の母たちにとって、あの発言はまさに胸に突き刺さったのだ。

加藤ローサ発言とは…先週日本テレビの『 おしゃれクリップ 』(日本テレビ)に出演した加藤ローサさんが発表した同居離婚の話のこと。テレビの中で語る彼女と元夫である松井氏との温度差は、大きな話題となった。

結婚後、なぜ女性だけが変わらねばならないのか…。彼女が抱いた疑問は多くの母たちがずっと、ずっと、ずっと抱えてきた疑問でもある。

元夫の松井氏は「変わらず一緒に住んでますし。紙(婚姻届)の問題だけ、とは思うんですけど。結婚してからも今と変わらない関係なので。自分としてはこれからも変わらない」と何度も言った。それに対し彼女はカラッと大きな声で笑いながら「彼は変わらず自分の好きなことだけを追いかけてるタイプで。なので変わらないんですね。籍が入ってると入っていないとでは、私の気持ちがけっこう変わって」と話した。

このズレが共鳴を呼んだことは間違いない。

実際、私自身もこのズレを感じてきた。子を産んだ18年前、夫婦で育児を分担するのがまだ今ほど、当たり前ではなかった時代。保育園の送り迎えも、仕事を調整するのも、諦めるのも――ほとんどが母親の役割だった。実際、周りを見てもパパは圧倒的少数。「 妻が育児をするのは当然 」という空気の中で、皆がそれを「 しかたない 」と受け入れてきた。

私も同じだ。なぜなら「 いい母であろうとする気持ち 」があったから。

さらにローサさんは「 いい妻でいなきゃいけない 」という思いが強かったといい、「 例えばお仕事があります。この時間だと帰ったら夜ご飯じゃないですか。その前に買い出しをしたり、準備して、夜は温めるだけにしておく。仕事ひとつするにも自分が大変だった 」

――ああ、わかる。私自身も長らく、この「 良き妻であろうとする気持ち 」に苦しんできた。

恋愛の延長で始まった結婚生活は「 好かれたい 」「 愛されたい 」という気持ちで支えられていた。子どもが生まれてからはそこに「 良き母であろうとする気持ち 」がさらに重なり、私はにっちもさっちもいかなくなった。その結果、起こったこと…。それは

私の不在。私がいなくなってしまったのだ。

探しても探しても、どこにも「 私 」が見つからなかった。妻と母に、私が駆逐されていくような感覚。「 私 」という主語をなくした時代。


とまぁ、平成、令和に渡って子育てをしてきた母たちは、多かれ少なかれこのようなズレを感じて生きているのだろう。「 なんで私ばっかり… 」というワードを呟いたことがない、そんな人はきっと少ない。だからこそ、あちらでもこちらでも共感、共鳴の嵐が起こっているのだ。

冒頭の素敵な女性との会話の続きはこんな感じだ。

U「 私自身、何より傷ついたのは自分のステレオタイプなジェンダー感で 」
女性「 というと? 」
U「 夫の中にはもちろん強くあるけど、実際のところ私のなかにも母とは、妻とはこうあるべきという気持ちがあったことに愕然としたんですよね 」
女性「 わかります。自分で選んじゃったとこもあるんですよね 」
U「 私自身そこを認めて、諦めてからがすごく楽になりました 」
女性「 諦める? 」
U「 そう。私にはその大きな理想は背負えない!と。同様に夫に対しても寛容に。家事とかもイメージ通りにやってくれなくても全然オッケー。やってくれるだけいいよね、的に 」
女性「 なるほど!!!でもこのステレオタイプなジェンダー感って少しずつ数世代に渡って更新していかなきゃならない問題ですよね 」
U「 そうそう!だからこそ、今回の発言にはすごく意味がありましたよね 」

ステレオタイプな「 良き妻・良き母 」をいい意味で諦めて、私をしっかり取り戻す――その感覚を言葉にしてくれたのが加藤ローサだったというわけだ。

あの瞬間、テレビの前で「わかるー!」と叫んだ母は、きっと私ひとりじゃない。日本中で何万人もの母が、あの言葉に共鳴したはず。背中を押してくれた加藤ローサさんに大感謝である。

妻になる、母になる。それは巷では「 とても幸せなこと 」として扱われている。でも私の体感したそれらは、それだけではなかった。こういうリアルなところを開示していくことこそ、次の世代へと繋ぐバトンになるんじゃないかな。さしあたり、私は娘と息子に自分の思いを伝えるところから始めてみようと思っている。



いいなと思ったら応援しよう!

U|卒母中 応援よろしくお願いいたします❤️‍🔥頂戴したチップは『 母、家を借りる 』資金に充てさせていただきます!

この記事が参加している募集