🇷🇴România mea(最終回)Până ne vom revedea〜また会う日まで
1週間という短い時間でありながら、
私は様々な場所に出かけ、
教会、絵画、イコン、などたくさんのものを見ました。
そして、
素晴らしい人たちとの出会いがありました。
歴史を愛する人。
言葉を伝える人。
芸術を守る人。
音楽を届ける人。
家族を大切にする人。
ルーマニアで出会った人たちは、
それぞれの場所で、
それぞれのやり方で
大切なものを守り続けていました。
そんな人たちとの出会いが、
私にとって何よりの宝物です。
ロデイカ・フレンツィウ博士との出会い
ロディカ博士はクルージュ・ナポカのバベシュ・ボヤイ大学で
日本語・日本文化教育に携わる研究者です。
長年にわたりルーマニアにおける日本語教育の発展に尽力し、
多くの学生たちに日本語と日本文化の魅力を伝えてきました。
また、日本文化への深い理解を背景に、書道家としても活動を続けています。
その作品は、日本の伝統的な書の精神と、
ルーマニア人としての感性が融合した独自の世界を表現しており、
国内外で高く評価されています。
現在は、日本での書道個展開催という夢の実現に向けて活動を続けています。




帰国する日の午後、
クルージユ・ナポカのバベシュ・ボヤイ大学日本語学科に
ロディカ博士を訪ねました。
流暢な美しい日本語を話されるロディカ博士と
太宰治文学についてお話しできました。
そして、日本で個展を開催したいという夢を伺いました。
その時、私の心に、一粒の夢の種が撒かれました。
横浜のどこかのギャラリーに博士の書が並ぶ光景が浮かびました。
きっと、数年のうちにこの夢が叶うと思いました。

ルーマニア在日本大使館にて
公館長表彰の授与されました。
Dr. Radu Totoianu 歴史学者としてだけでなく
Dr.Raduは
地域の歴史や文化遺産の保存・研究に長年携わり、
特にトランシルヴァニア地方の
歴史、民族文化、
羊飼い文化の研究で知られています。
学術研究だけでなく、博物館や文化事業を通して地域の歴史を広く発信し、
次世代へ伝える活動にも力を注いでいます。
豊富な知識と深い郷土愛を持ち、
自らの町や国の歴史を語る姿からは、
ルーマニア文化への誇りが伝わってきます。
Chef Radu
出会ったその日の昼食は心を込めた彼のお手製のランチでした。

歓迎の温かな気持ちが伝わります

牛の胃袋を使ったルーマニアの伝統的な
スープ。

マッシュポテト
酢漬けキャベツ
私は日頃お酒を飲みません。
でも、パーリンカをいただきました。
炭酸水で割って飲むと良いというアドバイスを受けて。
口当たりがよくなりました。
続いて、牛の胃袋を使った伝統的なスープが運ばれてきた時は、
正直どうしようかと思いました。
私は普段、内臓料理をほとんど食べません。
ところが、一口いただくと、これが意外なほど美味しいのです。
びっくりするほど・・・
旅とは、こういうことなのかもしれません。
知らない土地へ行き、
知らない人と出会い、
知らない味を知る。
この時からルーマニアという国がとても身近になりました。
生地から作り、チーズふんだんのピザも美味しかった!
そしてナスのペーストの作り方のお料理教室をわたしのために開いてくれました。
羊飼いの研究者Dr.Radu

Dr.Raduは「羊飼い」を研究しています。
なぜ?羊飼いの研究をしているのですが?
“I am the good shepherd”だから?と質問したら
ニコッと笑いました。
羊は不思議な生き物です。
穏やかで、群れをなし、
誰かに導かれて生きる動物です。
だからこそ、羊飼いが必要なのですね。
ルーマニアはカルパチア山脈が連なるところ、
広い草原、高原地帯が多く見られます。
夏になると、
羊飼いたちは羊の群れを連れて、
高い山の牧草地へと移動します。
ルーマニアの羊飼いを研究するということは、
民族文化を研究するということなのですね。
羊飼いと山羊飼い
「羊飼いと山羊飼いのことについて質問です。旧約聖書の時代から羊飼いは出番が多いでね。
アルプスの少女ハイジに出てくるペーテルは山羊飼いでした。
両者が分布している地域を知りたいです。」
という質問をワトソン君に投げかけました。
すると答えが返ってきました。
羊は柔らかい草が広がる牧草地を好みます。
そのため、
* カルパチア山脈
* バルカン半島
* スコットランド高地
* ウェールズ
* 中央アジア草原地帯
など、広い草原や高原地帯に多く見られます。
山羊飼いが多い地域
一方、山羊は非常にたくましい動物です。
*岩場
* 急斜面
* 乾燥地帯
* 灌木林
でも平気で暮らせます。
代表的なのは
* スイス のアルプス
* ギリシャ
* スペイン
* トルコ
* モロッコなどです。
ペーテルが山羊飼いなのは理にかなっています。
『アルプスの少女ハイジ』の舞台である スイスアルプス は急峻な岩山が多く、山羊の方が自由に移動できるからです。
牧羊犬
「そうでしたか・・・確かにアルプス山々は急斜面ですよ。羊には向かないかも・・・スコットランド、イギリスには牧羊犬がいますが、牧羊犬がいるほうが珍しいのですかね」
と質問
実は「牧羊犬がいる地域の方が珍しい」と言ってよいかもしれません。
羊飼い文化そのものは世界中にありますが、牧羊犬を高度に発達させたのは主に
* イギリス
* スコットランド
* ウェールズ
などのブリテン諸島です。
有名な
ボーダー・コリー
やシェットランド・シープドッグは、羊を「追い集める」能力に特化しています。
ところがルーマニアでは少し事情が違います。
カルパチアの羊飼いが犬に求めたのは、羊を追うことより、狼や熊から守ること…です。
そのため有名なのはルーマニアン・ミオリティック・シェパードやカルパティン・シェパードといった大型犬です。

シェパード
Wikiより拝借
羊たちを守るために狼や熊とも戦うこともある頼もしい犬です。
良い羊飼い
旅は終わり、新しい旅が始まる・・・
ルーマニアにいくことになったきっかけは
フィルチュ兄弟誕生の地を訪れることでした。
それが、
旅の終わりに見えてきたものは「良い羊飼い」でした。
まさか、そんなテーマにたどり着くとは、
思ってもいませんでした。
良い羊飼いは羊たちを見守り、
寄り添い、導くものです。
誰かを守り、導く・・・そうか。
この旅で、私は「守られている」ということを強く感じました。
いつもは、どちらかといえば、「守る側」にいるかもしれません。
見知らぬ町では私はひ弱い羊のようでした。
その私はDr.Raduをはじめとするたくさんの方に守られていました。
とても新鮮で、温かな思いでした。
そのことをしみじみと思い、感謝でいっぱいです。

いつもコーヒーを淹れてくれた
ビアンカさん
クレージュ・ナポカ空港までDr.Raduと一緒にお迎えに来てくれたパウロさん
写真を撮るのを忘れるほど、
夕ご飯の時に、一緒にいた大工さんのギッツァさん。
他にもたくさんの方々と出会いました。
振り返れば、
この旅はたくさんの「良き羊飼いたち」との
出会いの旅だったのかもしれません。
次にルーマニアに行くときは
「ただいま」と言える場所ができました。
Până ne vom revedea
【🇷🇴România mea】を最後までお付き合いくださった皆様、
ありがとうございました。
ルーマニアの皆様、また会う日まで、お元気で!
次は「ただいま」と言います。
〜Până ne vom revedea〜
そして、
この旅にわたしを誘ってくれ、
新しい人生の扉を開いてくれた
ピアニスト萩原千代さんに
心からの感謝を捧げます。

また会う日まで!
