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好きなジャンルは「人間」


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Q.好きな本のジャンルは?
A.人間

こんばんは。「本屋を始めたい夫婦」の夫です。

日曜の夜、23時、ビール2杯とハイボール1杯で気持ち良くなってきた頃に書き始めてみる。

いきなり余談。最近はブラックニッカ系のウイスキーにハマってる。わざわざウイスキーの本を買って、8000円〜2万円くらいのシングルモルトを色々買ってみたけど、結局ハイボールにしてガバガバ飲むなら、日本のウイスキーが一番いい気がしてる。

さらに余談なのでキャプションに書くが、最近アサヒホールディングスの株を買った。株主として応援したい。

前回の記事で書いたように、僕は元々本を読むのが好きだったが、ここ数ヶ月、「本屋をやりたい」という気持ちがふつふつとしてきた。

じゃあ、本屋をやるとなったらどんな本を置きたいか。

僕は10年以上、マーケティング職についているので、真剣に考えるとマーケット調査からニーズを測ろうとしてしまう。実際に本屋をやるとなれば大事なんだけど、今の段階でそんなことを考えても仕方ない。

シンプルに、自分がどんな本が好きか?を考えてみたい。

独立系書店のオーナーや、そうした書店を訪れたYoutube動画をみたりしていると、多くが文芸(小説やエッセイ)に興味を持っている印象。

ただ困ったことに、僕は小説やエッセイをほとんど読まない。
高校生の頃は当時大流行していた西尾維新を読み漁ったし、大学生の頃は太宰治や芥川龍之介など日本の近代の有名どころを色々読んだし、大学の友達のメンバーとヘミングウェイの「老人と海」について語り合った記憶もあるくらいには文学少年だったと思う。

ところが今や小説の類を全然読んでいない。

なんとなくだが、自分の知的好奇心やテンポ感と、小説という形式が合わなくなってきたように思う。

大学を卒業してから10年ほど、読んできた本といえば、、、

ビジネス・マーケティング、金融、心理学・経済学、歴史、科学、思想、それからアート関連。

「好きな本は川端康成の『片腕』です」と言っていた大学生の頃と比べると、つまんない人間になったなあ、と思う反面、変わってないな、と思う部分もある。

きっと僕は、人間に興味津々なんだ。

本棚を眺めながら「これ面白かったな」「これ良かったな」と思うものを挙げていくと、人類史など「人間そのもの」を描いたものが多い。

もう10年前、まだ地元にいた頃だけど、サピエンス全史を買った時のこと、不思議と覚えてる。地元の駅にあるTSUTAYAに併設された本屋で買った。

個人的に人類史に3大名著と思っている「サピエンス全史」「繁栄」「銃・病原菌・鉄

実は内容をほとんど覚えていない。というか「こんなことが書いてあったな」と思ってパラパラめくってたら全然書いてなかった。目の進化の段階がめっちゃ面白く書かれていた本、なんだっただろう…

新書や文庫など小さい本は上の段に固めてるが、その中で目に飛び込んできたのはヒトの目の進化をとことん深堀りした「ヒトの目、驚異の進化
禁断の進化史」も最高だった。私たちは賢いから生き残ったのではなく、むしろバカな部分があったから生き残った。賢さとは何か考えさせられた。

2025年No1書籍をあげるなら「WORK 働き方全史」大阪から東京までの新幹線では最初の方しか読めなかったけど、出張先の同僚で「まだ鳥がダンスしてて人の仕事の話が出てこない」って話で盛り上がった。

2025年No1書籍をあげるなら「WORK 働き方全史」だ(今パッと思いついただけで、ちゃんと思い返せば他にもNo1候補があるかもしれないが)。
この本は東京出張の新幹線の中で読んだ。「AI時代になってまでなぜ働くのか?」という刺激的な疑問が与えられたが、最初しばらく鳥のダンスやハチの巣作りの話で、結構読み進めてからようやく人間が火を起こし始めた。
働くことをこれほどのスパンで俯瞰している。

それでいて自分の中で働くことへの明確な答えが見えた。本書の結論とは少し違うかもしれないが、僕らはエントロピーの法則に従い”働かざるを得ない”。面白すぎる。

パラパラみたら全然覚えてなかったので、もういちもう一度読みたい。でも読みたい本を読み返すスピードの10倍くらい、新しく読みたい本が出てくるから困る。

アートの本も色々読んだが、その中でも刺激的な一冊は「なぜ人はアートを楽しむように進化したのか」だ。
確かに、綺麗な絵を見て綺麗だと感じることに、どんな進化論的メリットがあるのかわからない。完全に納得したわけでもないし、僕はアートの価値は生物学的側面より社会的側面の方が強いと思っているが、刺激になったことは間違いない。

先週買った本は「知性の未来」と「「私」という存在の科学

先週、大阪阿倍野にあるBOOK'N BOOTHで購入

なかなかに分厚いので、「知性の未来」がようやく7割ほどで、もう一冊はまだ手をつけていない。「知性の未来」は面白い。何が面白いって、「知性」という当たり前に備わったものを解き明かそうと、いろんな天才たちが奮闘し続けたその歴史そのものが面白い。
よくそんな実験思いつくな〜と関心するものがたくさん出てくるし、自分という存在もちょっと客観視できる。こうして文章を書いているのはすごく高尚なことのように思えるが、脊椎動物が初期に身につけた基本的機能を応用しているだけ。人間と動物の違いなんて、ものすごく瑣末なものでしかない。

と、本棚を眺めていて「この本は面白かったな」「これよくわかんなかったな」とかを、ブラックニッカハイボールを飲みながら(2杯目に突入)考えていて、思った結論。

僕は「人間」が好きなんだ。

人間がどういう存在で、どのように成り立っているのか。人間にはどんな可能性があるのか。過去の人間は何を考え、何を生み出してきたのか。何に悲しみ、怒り、喜んできたのか。

僕は10年以上、マーケティング職についているが、そのきっかけも「人間」だった。

行動経済学の本をいくつか読んでいる中で「ファスト&スロー」や「影響力の武器」に出会い、「人間って面白!めっちゃアホやん」と痛快な気分になった。
高尚に物事を考えているようで、ちょっとのトリガーで簡単に操作されてしまう。そもそも一つ一つの行動に対してほとんど”考えて”いない。
そんな人間が面白くて、色々読んでいるうちにマーケティングに行き着いた(良くも悪くも、マーケティングは人間のアホな部分をうまく活用する仕事だ)。

アートに興味を持ったのも、人間への興味が先かもしれない。

現代にまで引き継がれたアート作品の多くは、その時代のもっとも熟練した人間が考え抜いた末に生み出されたものだ。
宗教や政治、お金など権力とも深く結びついている。

元々、学校で習う社会の歴史にはほとんど興味がもてなかったが、不思議とアートを起点にすると歴史的な出来事にも興味がでた。

思えば、アートを見るのが好きで美術館にもよく行くが、作品を見ながら考えることは「図録にもっとこの人の来歴についての説明が載ってたらいいな」「この人に関連した本があったら買おう」とかだ。作品そのものよりも、それを作った人に興味がある。

いや、小説やエッセイこそ、人間の内面や情動がよく出てるじゃないか。

それはその通り。でもそれは一個人の内面や情動であって、人間ではない。

でも脳の進化や心理学に関する研究は、一個人ではなく「人間」を対象としている。こうしたカテゴリの本は徹底して個人を省き、「人間」という対象を冷徹に俯瞰する。
知肉が通った生きた人間が書いたエッセイをそのように俯瞰できるほど、僕はサイコパスではない。

その点、アートはいい感じの中間地点だ(僕にとっては)。

アートは画家の内面がそのまま表現されたものではない。エッセイよりは小説に近いアウトプットだ。それでありながら作品の情報量の少なさが、否応なく俯瞰の視点を与えてくれる。

太宰治の「人間失格」とゴッホの「ひまわり」

単純なアウトプットの情報量だと「人間失格」の方が多い。あれはあまりに太宰治すぎる。人間ではなく、太宰治でしかない。

一方、ゴッホの「ひまわり」は確かにゴッホという個人の内面が非常に強く出た作品だ(少なくとも西洋絵画のそれまでの歴史の中では突出している)。ゴッホという個人に焦点を当てることであの作品の楽しみ方は無限に広がる。

でも、「人間失格」が太宰治すぎるほどには、「ひまわり」はゴッホすぎない。もう少し俯瞰して「人間」に共通する要素、それこそ心理学で研究されそうな何かが現れている気がする。

つまり人類史や行動経済学、心理学ほどサイコパスに人間を俯瞰しないけど、小説やエッセイほど個人に近すぎない。
僕がアートを好きな理由はその辺にあるんだと思う。

「本屋をやるとなったらどんな本を置きたいか」という問いに対してつらつら書いてみたが、結論、僕が本屋をやるなら、

「人間って面白!」が伝わる本を置きたい。

行動経済学はまさにそうだし、ビジネス書も実用的というより「人間って面白!」に溢れている(金を稼ぐ、という目的のためだけにどれだけの本があると思う?面白すぎる)。心理学や生物学も人間の解像度が高まる。

あと、正直どうでもいい文化史の本とかいっぱい置きたい。

好きな本のタイトルに「○○の文化史」や「趣味(教養)としての○○」があるが、この手のものの中にはしっかり役立つ、知的好奇心を満たしてくれるものもある一方、何が面白いって、めちゃくちゃ狭くて誰も興味なさそうなものを何十年も研究してきた人の集大成が現れたものがたまにある。

この文章を書きながらAmazonで「文化史」と調べてでてきたものに「万引きの文化史」というものがある。面白すぎる。
万引きをテーマに、防ぐ方法とか犯罪心理、ビジネスの観点じゃなく「文化史」という切り口で一冊書き切るって、それを専門に研究してきた著者、Goを出した出版社、一般に届くよう様々な工夫を凝らしてくれたであろう編集者が存在することに、僕は「人間って面白!」と思ってしまう。

ということで、まあ本屋をやるかどうかも決まっていないし、やるなら現実的に地域のニーズなんかもしっかり考えないといけないが、ビール2本とハイボール2杯飲んだ状態で勝手に夢想するなら、僕が作る本屋はいろんな切り口で「人間って面白!」が伝わる場所にしたい。

そんなふうに思った日曜の23時でした。おやすみなさい。


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