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『肩の後ろがゴリゴリ鳴る…』揉んでも治らないその音の正体


「痛くはないんだけど、肩を回すと奥でゴリゴリ音が鳴るんですよね」

「良くなると思って、毎日しっかりラジオ体操で肩を大きく回していました!」

先日ご来院されたお客様から、こんなご相談を受けました。

身体を良くしようとラジオ体操に励む姿勢は素晴らしいです!……ですが、実はこの「よかれと思って大きく回す」動きが、かえって肩の動きを悪くしているかもしれません。

今回は、臨床現場の『裏カルテ』から、肩のゴリゴリ音(クレピタス)の正体と正解のアプローチを紐解きます。

1. 「違和感」

「痛くないから大丈夫」と大きく回していませんか?

肩を回したときの「ゴリゴリ」「グリッ」という不快な音。

痛みがないとつい放置したり、「ほぐそう」として肩をガシガシ大きく回したりしがちです。

ですが、音が出ているということは、身体の内部で「本来擦れ合わないはずの組織同士が引っかかっている」というサイン。

痛みがなくても、無理な摩擦が続けば将来的に炎症や痛みに繋がるリスクがあります。

2. 紐解きアナリシス(解剖学×動作分析)

客観的な評価から見えた「クレピタス(摩擦音)」の正体

今回のケースを解剖学的評価と動作分析の視点から客観的に整理すると、問題の本質は肩関節そのものの構造破壊ではなく、「アライメント(配置)の僅かな変位」と「深層筋の機能低下」にあります。

  • アライメントの観察(胸鎖関節の右凸):

    1. 鎖骨の起点である胸鎖関節に右側への突出(偏位)が確認されました。これにより肩甲帯全体の運動軸がわずかにシフトしています。

  • 機能評価(ER lag test 陽性):

    1. 肩関節の外旋動作を保持するインナーマッスル(主に棘下筋・小円筋)に機能低下が見られます。腕の骨(上腕骨頭)を関節窩の正確な中心に引き留める保持力が低下している状態です。

この2点が重なった状態で肩関節の伸展や水平外転運動(腕を後ろに引く・開く動作)を行うと、上腕骨頭のスライド運動(滑り・転がり)が不滑らかになり、肩甲上腕関節の後方組織と擦れ合ってクレピタス(ゴリゴリ音)が発生していました。

例えるなら「開けるたびにギイギイ音がなるドア」のような状態です。構造自体に破損(強い炎症や可動域制限)はないため、運動軸の位置関係を整え、インナーマッスルの出力を正常化させることが最優先の課題となります。

3. 自分で整えるセルフケア

勢いで回さず「振り子」で滑りを良くする

まずは大きく回すのを一旦ストップしましょう。

無理に動かすのではなく、重力を利用して「関節のスキマ」を作り、安全に滑りを良くしていくのが正解です。

① リラックス振り子運動(力を抜いて関節を開く)

  1. 丈夫なテーブルなどに片手をつき、お辞儀をするように上半身を少し倒します。

  2. 音が鳴る方の腕をだらんと下に垂らします。

  3. 体幹を少し前後左右に揺らす「反動」を使って、腕を振り子のように小さく揺らします(脱力したまま円を描くように揺らしてもOK)。

    1. ※自分の筋力で腕を振るのではなく、「揺らされる」感覚で行うのがポイントです。

② 臥位(仰向け)でのコントロール運動

  1. 仰向けに寝て、天井に向かって腕をまっすぐ伸ばします。

  2. 肩の力を抜き、小さな円を描くようにゆっくりと腕を動かします。

    1. ※床に背中が固定されることで土台(肩甲骨)が安定し、安全に関節を動かすことができます。

「揉む」「大きく動かす」ではなく、まずは重力から解放して正しい軸で動かしてあげること。

「私のゴリゴリもこれかも?」と思った方は、今日からラジオ体操を少しお休みして、脱力アプローチに変えてみてくださいね。


田中 龍斗|作業療法士×整体士
通い続けない整体院「ととのう」代表。
病院勤務で培った動作分析と解剖学の知見をベースに、揉んでも戻る不調の「本当の原因」を紐解き、自分で整えられる身体づくりをサポートしています。

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当院では「通い続けさせること」を目的とせず、あなたの身体の「取扱説明書」をお渡しして卒業を目指す施術を行っています。

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