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読書日記:姉のいない世界について/栗城紡

4月17日、晴れ。
 今日は一日眠い日だった。お陰で午前中で終わらせるつもりだった仕事が午後まで長引いてしまった。お昼は飯田橋でカレーを食べた。味はまぁまぁだったがサラダが付いて900円と結構リーズナブルだった。機会があればまた行ってみよう。

姉のいない世界について/栗城紡

 面白くて一日で読み終わってしまったわたなれ二次創作小説本。タイトルから察せられる通りれな子の妹:遥奈が主人公だ。遥奈の一人称視点で書かれており、特に心理描写はピカイチ。姉妹百合として完璧な出来映えの一冊だった。

 お話は原作から二年後、中学生だった遥奈は高校生になっていた。物語はれな子が母親と遥奈に見守られながら大学の合否を確認しようとしているところから始まる。れな子は大学に通うために、この一年猛勉強していたのだった。その甲斐あって、大学には見事合格。この春からは家を出て――紫陽花さんと同棲しながら大学に通う予定なのだ。

「は――?」あたし知らないんだけれど。

 そこから遥奈の歯車がズレ始める。姉が家を出て行くことに自分が思っていた以上にダメージを受ける遥奈。その事を自覚し、「お姉ちゃんのことを考えるのはやめよう!」と自分に言い聞かせ、また忘れるように勉強や部活に打ち込む。
 けれど、心はウソをつけない。
 部活でしているバドミントンでは大ミスし、張り切って受けたテストは間違いだらけ、挙げ句の果てに体調が悪いわけでもないのに「熱がある」とウソを付いて学校を休んでしまう。
 姉の友人である香穂や紗月、恋人である真唯とお話しし、持ち直したりはするけれど、根本的に心のモヤモヤは晴れない……
 そうして、勢い余って、というか無意識のうちに姉の新居に突撃してしまった遥奈は紫陽花に諭され、決心する。

「お姉ちゃん、一緒にお出かけしよう!」

 この流れに跨がる遥奈の感情の描写が素晴しい。遥奈がモヤモヤと悩んでいる描写が続くが、同時に遥奈の自己分析もキチンと書かれているので読んでいてイライラするような事はなかった。
 クインテットの(れな子を除く)四人がそれぞれ遥奈に優しい言葉をかけたり励ましたり背中を押したり、姉への感情を吐露したりするところも実に良かった。例えるなら前作主人公の仲間がピンチの続編主人公を助けにきたみたいな。なんというか頼もしさが感じられる描写だった。

 それともう一つ、作者さんを褒め称えたい展開がある。
 物語終盤、遥奈はれな子とデートに行くのだが、丁度いいタイミングでれな子が「休憩しようか」と言ったり率先して飲み物を買いに行ったりしている……つまり、れな子がデート馴れしてるところを見せる場面だ。作中でも説明されているが紫陽花・真唯と付き合った結果、れな子が成長していることを表している。
 言い過ぎかも知れないが、これを出来る二次創作者は少ないと思う。
 このお話は原作から二年後の時間を描いている。それだけの時間が経過して、しかも、ステキな恋人までいる高校生が成長しないワケなんてない。常識で考えればそうだ。
 けれど、(私も含めて)多くの二次創作者はアニメのキャラクターは成長しないと思い込んでいる。ここでいう成長というのは原作作中の成長ではなく、原作では未だ描かれていない時間経過後の成長だ。そこをイメージして書ける人は本当に少ないと思う。たいていの皆は二年後の甘織れな子を書けと言われてもアニメで見たれな子そのままの姿を書いてしまうだろう。作者さんはそこを飛び越えて二年経って妹にデート慣れしている姿をみせる甘織れな子を書いたというワケだ。この展開が本当に素晴しかった。二次創作者の妙技とはこういうことをいうのだと本当に感心した。

 兎に角、心理描写とこの二次創作者の妙技の二点で本当に素晴しい小説でした。機会があればアナタも是非とも手に取って欲しい。
 それでは最後に作中の香穂たゃのセリフで締めたいと思います。

「悪い女がよぉーーーーーー!!」

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