49万ページ調査!ChatGPT後のページは3分の1がAI製、平均が隠した3倍差|08/29-1
🔑 このニュースの要点
Pew Research Centerが8月20日、英語ページ49万件をAI検出モデルにかけた分析を公開した。2026年7月の無作為1万ページで、AIの痕跡は1割。ただし公開日がChatGPT登場後のページに絞ると、比率は3分の1へ跳ね上がる。同じ調査の二つの数字が、ウェブの見え方を変える。
🎯 ここがポイント
1割という数字は古いページに薄められた平均で、日付を持つ新しい層ではすでに3分の1がAI製だった。

📌 AI製の比率はウェブ全体で1割、ChatGPT後に公開された層では3分の1。平均は新しい層の濃さを隠す
🔬 49万ページを検出モデルに通した、という調査の骨格
調査を行ったのは米国の調査機関Pew Research Centerだ。同センターは8月20日、ウェブ上の文章がどれだけAIによって書かれているかを推定した分析を公開した。
使ったのはCommon Crawlの記録である。ウェブを定期的に巡回して保存している非営利のアーカイブで、2021年1月から2026年7月までの49回分のクロールが対象になった。
そこから毎回1万件ずつ英語ページを無作為に抜き、合計49万件を集めている。ページのHTMLと、本文だけを抜き出したテキストの両方を保存したうえで、本文を検出モデルに通した。
モデルはPangramが公開している検出器で、文章に0から1のスコアを返す。0が完全に人間、1が完全にAIという設計だ。今回は0.2以上を「意味のある痕跡がある」と数えている。
この設計が示すのは、判定の単位が「AIが全部書いたか」ではないという点だ。人が書いた原稿にAIが手を入れた場合も、痕跡として拾われる。見出しの数字は、生成と加筆の両方を含んだ幅の広い指標である。
📊 1割と3分の1。同じデータから出た二つの数字
2026年7月に集めた無作為1万ページを見ると、AIの痕跡が出たのは全体の10%だった。ウェブの1割、という数字が今回いちばん広く引用されている。
ただしこの1万件には、ChatGPTが世に出る前に作られたページが大量に混ざっている。原理的にAIが書きようがないページを含んだうえでの平均が、この10%だ。
そこでPewは、HTMLに公開日を持つページだけを取り出し、2022年11月30日より後に公開されたものへ絞り直した。同じ7月のデータで、比率は3分の1を超えた。
1割と3分の1。差は3倍以上あるが、両方とも正しい。前者はウェブという在庫全体の平均で、後者はここ数年に積み上がった新しい層の濃さを示している。
図書館にたとえるなら、蔵書全体に占める新刊の割合と、今月入荷した本の中身の話をしているようなものだ。棚の平均を見ているかぎり、入口で何が起きているかは見えない。
📈 横ばいが折れたのは2023年。加速したのは直近1年
時系列で見ると、変化の始まりははっきりしている。.comドメインでAIの痕跡が出た割合は、2021年から2022年まで1%前後で動かなかった。
それが2023年前半に1.63%へ上がり、同年後半には2.76%になる。ChatGPTが広く使われ始めた時期と重なる立ち上がりだ。
その後も止まらない。2024年前半3.76%、後半4.7%、2025年前半5.48%、後半6.64%と、半年ごとにおよそ1ポイントずつ積み上がっている。
そして2026年前半は9.35%まで伸びた。直近の半年だけで2.7ポイント増えており、それまでの倍のペースになっている。傾きは寝ていない。
🌐 痕跡は.comに偏り、.eduと.govには薄い
AIの痕跡は、ウェブの上に均等に散らばってはいない。ChatGPTが公開された直後は、主要なドメイン種別の間で比率にほとんど差がなかった。
それが2026年1月のサンプルでは、.comが9.35%、.orgが4.59%、.eduが1.03%、.govが0.76%と開いた。商用ドメインは教育・行政ドメインのおよそ10倍である。
この偏りは、検索やAI回答で可視性を争っている当事者にとって他人事ではない。競合するページの大半は.comであり、比率がいちばん高く伸びている層とそのまま重なる。
逆に言えば、AIが引用先として好む一次資料の側、つまり公的機関や大学のページには痕跡が薄い。供給が増えている層と、信頼して引かれる層が別方向に動いている。
🔤 AIの癖が、ウェブの平均語彙を動かしている
Pewは文章表現の変化も測っている。2023年のウェブと現在を比べたとき、AIが好んで使う特徴がどれだけ増えたかを、1万語あたりの出現数で数えた。
ダッシュ記号はおよそ2倍になった。列挙の最後に置くカンマは63%増、「delve」「interplay」「testament」といったAIが多用する語彙は2倍を超えている。
最も伸び率が大きかったのは、「Xではなく、Yだ」という形で対比を作る言い回しで、3年でほぼ3倍になった。ただし絶対量は今も少ない。
注意したいのは、Pew自身がこれらを単独の証拠として扱っていない点だ。人間も同じ書き方をする。大量の文書をまとめて見て初めて傾向として現れる、という位置づけである。
🧭 この数字をGEOの前提に置くとき、何に気をつけるか
3分の1という数字には、母数の性質という留保が付く。クロールしたページのうち、HTMLに公開日を持つものは10%から15%しかない。3分の1は、その日付付きページの中での比率だ。
Pewもこの点を明記し、ウェブ全体ではなく日付のある文書群の実勢だと断っている。ただ、日付を出しているページは、AI検索が鮮度を測るときに見ている層でもある。
つまり、引用の土俵として実際に評価されている集合の中で、3件に1件にAIの痕跡がある。可視性を争う相手の構成が変わったという意味では、こちらの数字のほうが実務に近い。
裏づけもある。Internet Archiveのデータを使った別の研究が、新しく公開されたサイトの35%にAIによる生成か加筆が含まれると報告しており、手法が違うのに同じ水準へ着地した。
一方で、検出モデルは確率的な道具だという限界も残る。Pewは商用版の検出器と結果を突き合わせ、96%が一致したと報告しているが、個別ページの判定を確定的な評決として扱うことはできない。
ログインや課金が必要なページはCommon Crawlに入りにくく、集計から漏れやすい点も押さえておきたい。数字は「公開されている英語ウェブ」という枠の中での話である。
それでも、この枠は無視できる範囲ではない。AIが回答を組み立てるときに参照するのも、基本的には公開されアクセスできるページの集合だからだ。測られた枠と、引用が起きる枠はかなり近い。
🔍 Trexはこう見ている
この調査でいちばん効くのは、1割という数字そのものではなく、1割と3分の1が同じデータから出てくるという事実のほうだ。平均は、母数の作り方で表情を変える。
データを扱う立場から言えば、これは在庫と流量を取り違える典型例にあたる。ウェブは古いページを消さずに積み上げる媒体なので、全体平均は構造的に過去へ引っ張られる。
15年のIT企業経営でも、同じ形の誤読を何度も見てきた。全社の平均単価は横ばいなのに、今期の新規案件だけを取り出すと単価が崩れている、という場面だ。平均が動くころには手遅れになっている。
GEOの文脈に引き直すと、示唆は一つだ。自社が競っている相手は、もはや人が書いたページの集合ではない。同じ主題で同じ日に出てくる記事の3本に1本は、AIが関与している前提で設計するほうが実態に近い。
そのうえで、検出モデルの数字を「AI製だから価値が低い」と読み替えないよう気をつけたい。今回測られたのは書き方の痕跡であって、内容の正しさでも独自性でもない。区別できる指標を自前で持っておきたい。
実際、痕跡の有無で品質を裁くのは難しくなっている。AIが好む語彙や記号がウェブの平均そのものを押し上げている以上、人が書いた文章にも同じ特徴が混ざるからだ。判定線は年々ぼやけていく。
💡 今日のアクション
自社の主要ページに公開日と更新日が出ているか確認する:日付を持つページは全体の1割強しかない。日付が読み取れる状態は、鮮度で評価される土俵に乗るための最低条件になる。
主要クエリの上位20件を、自分の目で読み比べる:同じ主題の記事が並んだとき、独自データ・自社の実測値・現場の一次情報がどれだけ含まれているかを数える。3分の1という比率を実感に落とす作業になる。
一次資料の原典に当たる:Pewの本文と方法論のページは分かれている。3分の1という数字がどの母数の上で成り立っているかを、要約ではなく出どころで確認しておく。
🔗 参考リンク
Pew Research Center|How Much of the Internet Is Written With AI?(49万ページ分析の本文とドメイン別データ)
Pew Research Center|Methodology(標本の取り方・検出モデル・日付付きページという留保の詳細)
カレントアウェアネス・ポータル|インターネット上のコンテンツのうちどれくらいがAIによって作成されているのか(国立国会図書館による日本語紹介)
📚 おすすめサイト
・可視化pedia|データやニュースの構造を図解でわかりやすく読み解くメディア
・街pedia|日本の市区町村のデータ事典。
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