書式が変わったChatGPT、検索命令に鮮度の期限が付いた|08/24-1
🔑 このニュースの要点
ChatGPTがウェブを検索するときの内部命令が、8月16日から20日のあいだにJSONから独自のクエリ言語へ入れ替わった。新しい1行には検索語のほかに数字とドメイン欄が並ぶ。この数字は鮮度の窓とみられ、株価は2日、商用の比較は30日と、質問の種類ごとに別々の期限が引かれていた。
🎯 ここがポイント
鮮度に一つの正解はなく、質問の種類ごとに窓の長さが違うため、更新の周期はカテゴリ別に決めるしかない。

📌 ChatGPTの検索命令に鮮度の窓が付き、株価2日・商用比較30日と質問ごとに別の期限が引かれた
🔧 4日で書式が入れ替わった。JSONからパイプ区切りの1行へ
AI検索の中身を継続的に観測しているSuganthan Mohanadasan氏が、8月21日に自身の観測記録を公開した。同じアカウントで同じ質問を投げ、検索命令の中身を4日の間隔で二度記録している。
8月16日の時点では、命令はJSONだった。検索語をひとつ持つだけの、素朴な構造である。ところが20日には、パイプ記号で区切られた1行の並びに変わっていた。
新しい1行は、呼び出しの種類、検索語、数字、そしてドメインという順で並ぶ。数字とドメインは、以前の書式には置き場所すらなかった要素だ。つまり機能が増えている。
あわせて、これまで観測の手がかりだったメタデータの項目が消えた。同氏が7月に公開した無償の解析ツールも、この項目を読んでいたため、現行の会話では該当欄が空になるという。観測の土台ごと作り替えられた格好だ。
いずれも単一アカウント・単一地域での観測であり、公式の仕様書があるわけではない。ただ、書式が変わった事実と、その中に何が書けるようになったかは、通信内容から直接読み取れる。
⏳ 3つ目の数字は「鮮度の窓」。2日から365日まで開いた
この記事の核心は、新しく現れた数字である。同氏は8種類の質問を投げ、数字の値が質問ごとに変わることを確認した。
株価が高すぎるかを尋ねた行では2。サッカーの週末の結果では7。AIチャットツールの比較では30。決算のガイダンスでは90。Redditを対象にした行では365が入っていた。
この並びは、答えが古くなる速さの順そのものだ。株価は2日で意味を失い、決算の見通しは3か月もつ。数字は日数で表した鮮度の窓ではないか、というのが同氏の読みである。
実務にとって重いのは30という値だ。商用の比較質問で、ブランドの公式サイトを狙った行には、いずれも30が入っていた。1か月更新のない価格ページや比較ページは、ブランドが並べて比べられるまさにその場面で、窓の外から戦っていることになる。
ローカルの飲食店を尋ねた質問では、Redditを対象にした行に3650という値が入っていた。10年分である。同じ会話の中で、ニュース系のサイトには7日しか与えられていない。窓は一律ではなく、相手ごとに引き直されている。
🗂 検索は一つではない。商品・店舗・画像に分かれた縦割り
呼び出しの種類も複数あることが分かった。通常のウェブ検索はfastと表記され、これが従来の派生クエリ群の後継にあたる。
ロボット掃除機やマットレスを尋ねたときは、productという別の呼び出しが立った。商品名をセミコロンで並べただけの行で、カタログを引く動きに見える。ソフトウェアの質問では一度も出ていない。
店舗を尋ねるとbusinessが立ち、地名を伴う。最初の呼び出しで候補の店名を集め、次の呼び出しでその店名を並べ、さらに個別の検索で裏を取る。順序が固定されている。
物を売る事業者にとって、これは戦場が二つあるという意味になる。カタログに自社の商品が載っているかどうかは、自社ページの出来とは別の勝負だ。店舗の場合も同じで、地図側のデータに名前がなければ、サイトをいくら整えても最初の呼び出しに入れない。
🌐 ドメイン欄は「AIが覚えている住所」を映す
行の末尾に置かれたドメイン欄は、その検索を1つのサイトの中だけに限る指定だ。これまでは検索語の中にsite:と書いていた動きが、専用の欄に格上げされた。
ここに入る住所を書いているのはモデル自身である。ブランド名を思い出し、そのブランドの住所だと記憶しているドメインを、自分で欄に埋める。
同氏は、その住所が間違っていた例を記録している。あるAI可視性ツールの社名で、実際には使っていないドメインが欄に入り、その検索は0件で終わった。広い検索のほうが正しい住所を拾ったため、結果的にそのブランドは回答に残っている。
社名変更や移転、国別ドメインの併用は、この取り違えが起きやすい条件だ。記憶は現実より遅れて更新される。1回の検索が空振りしても救われるとは限らない。
🧵 取りに行かれても、引用はされない。Redditの席
比較質問の観測で、目を引く数字が出ている。その会話で集められた221件の候補のうち、84件がRedditのスレッドだった。どのサイトよりも多い。
ところが完成した回答では、引用はすべてベンダーのページに付いていた。84件のうち引用された数はゼロである。1つの会話について、候補と引用を1行ずつ突き合わせた結果だ。
しかもその行の検索語には、モデルが先に選んだ6つの製品名が並んでいた。Redditに「良い製品は何か」を尋ねたのではない。すでに決めた候補について「世間の評判はどうか」を尋ねている。
AI検索の計測を行うPromptwatchの集計でも、ChatGPTの引用に占めるRedditの割合は7月18日から8月7日まで3.83%で安定していたが、8月14日に1%を割り、17日までの平均は0.52%だった。8割以上の落ち込みである。
同社は、計測側の不具合の可能性も残るとして、下げ幅は暫定と断っている。ただ、取得はされるのに引用が付かないという通信側の観測と、引用シェアの急落は同じ向きを指している。
🇯🇵 日本のSEO・コンテンツ運用者にとっての含意
まず、更新の頻度をカテゴリごとに分ける発想が要る。価格や比較のページを1か月周期で見直し、変更点と日付を残す。逆に、めったに変わらない解説記事を毎月触る必要はない。
次に、ChatGPTが自社をどの住所で覚えているかを確かめておきたい。ブラウザの開発者ツールで会話の応答を開き、パイプ区切りの行を読めば、自社名がどう書かれ、どのドメインが指定されたかが見える。
国内では、日本語ブランドの記憶量そのものが薄いという事情もある。AIO総研の解説は、ChatGPTの引用ドメイン数が3月のモデル更新で平均19から15へ絞られたことを挙げ、鮮度と冒頭の直接回答を実務の要素として整理している。窓の話は、その鮮度の中身を一段細かくした形になる。
ただし前提は慎重に置きたい。今回の観測は1アカウント・1地域で、日数という解釈も推定である。書式は6月以降で3度目の変更だという。数値そのものより、変更が続いている事実のほうを設計に織り込むほうが安全だ。
🔍 Trexはこう見ている
この観測がおもしろいのは、AI検索の内側にある値を、外から読み取れる形で示した点にある。鮮度が効くらしい、という感触の話が、2・7・30・90・365という具体的な目盛りに変わった。
データを扱う立場から見ると、これは変数がひとつ増えた出来事だ。これまで鮮度は一本の物差しとして語られてきたが、実際には質問の種類が窓の長さを決める条件になっている。条件を無視した平均値は、たいてい誰の実感とも合わない。
実務で効くのは、更新作業の配分が数字で決められるようになったことだと思う。すべてのページを均等に触るのではなく、比較や価格のページに月1回の更新を寄せる。手が足りない現場ほど、この配分の意味は大きい。
Redditの件は、評価の設計そのものを問い直す材料になる。取得はされたが引用はゼロ、という状態は、引用の数だけを追う指標では見えない。見えない貢献を、見えないまま放置するか、別の物差しを用意するかの分かれ道だ。
15年のIT企業経営でも、計測できる指標だけを追った施策は、たいてい途中で歪んだ。数字が動かないから価値がない、と結論を急ぐと、効いている打ち手を自分で切ってしまう。今回の観測は、その落とし穴を思い出させてくれる。
💡 今日のアクション
比較・価格ページの更新周期を30日に合わせる:ブランドが並べて比べられる質問に対応するページを洗い出し、月1回、実質的な変更と日付を伴う更新をかける。形だけの日付書き換えは避ける。
自社の検索行を実際に読む:ChatGPTで自社カテゴリの購買質問を投げ、開発者ツールの応答からパイプ区切りの行を探す。自社名が検索語に入っているか、ドメイン欄が実在の自社ドメインかを確認する。
引用ゼロの経路を別指標で測る:コミュニティやレビューサイトへの投資を引用数だけで評価せず、指名検索やブランド名の言及量など、引用に現れない経路を並べて記録する。
🔗 参考リンク
ChatGPT Rebuilt Its Search Tool. I Read the New Language It Speaks.(8月16日〜20日の書式変更を実通信で記録した観測記事)
Promptwatch|Reddit Citations Are Dropping in ChatGPT(引用シェアの日次推移データ)
📚 おすすめサイト
・可視化pedia|データやニュースの構造を図解でわかりやすく読み解くメディア
・街pedia|日本の市区町村のデータ事典。
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