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本命はGoogleの中|677万件が示すAI流入の地図、勝ち筋は二層構造だった|07/12-1

🔑 このニュースの要点

GEO専業のPrevisibleが、166サイト・677万セッションのAI経由アクセスを解析した調査を7月6日に公開した。結論は二つ。AI流入の最大の入口はいまだGoogle検索の中にあり、外部AIに限ればChatGPT1社が92.4%を占めた。「どのAIに賭けるか」という問いの立て方が揺らいだ。

🎯 ここがポイント

AI検索対策は「Googleの中」と「その外」の二層に割れ、外側はChatGPT一強のため、均等分散は最適解ではない。

※図解はデータを基にTrexが作成

📌 AI流入は「Googleの中」と「その外」の二層構造で、外側はChatGPT92.4%の一強。均等分散は最適解ではない


📊 何が計測されたのか。19カ月・677万セッションの規模

今回の一次情報は、AIディスカバリー専業のPrevisibleが7月6日に公開した第3弾のAIトラフィック調査だ。同社はこの分野を最も早くから追い続けている調査機関の一つで、今回が最大規模の計測となる。

対象は166のGA4(Google アナリティクス4)プロパティ。2024年11月から2026年5月までの19カ月間、AI経由と判別できたアクセス677万セッションを解析した。業種はSaaS、EC、金融、法律、医療、保険、教育、出版と幅広い。

重要なのは、この166サイトが19カ月を通じて同じ顔ぶれである点だ。集計対象を後から増やしていないため、数字の伸びはサンプルの水増しではなく、実際の利用者行動の変化を映していると同社は説明している。

月次のAI経由セッションは、2024年11月の約6.5万件から2026年5月の約64万件へと、19カ月で約9.9倍に膨らんだ。AI経由の流入は、いまも右肩上がりの途中にある。

🗺️ 第一の発見。最大の入り口は「Googleの中」にある

まず押さえるべきは、レポートが冒頭で置いた前提だ。今回の677万件は、あくまでChatGPTのような「独立したAIアシスタント」からの参照流入である。Google検索の中で完結するAI Overviews(AIによる概要)やAI Modeは、この数字に含まれていない。

なぜ含めないのか。GoogleのAI概要は、独立アプリと違って計測の仕組みが根本的に異なり、参照セッションとして同じ形では追跡できないからだ。技術的に別枠として切り分けざるを得ない。

そのうえでレポートは踏み込んだ表現を使っている。Google検索内で起きているAIディスカバリー(AI Overviews+AI Mode)は、独立したAIアシスタントすべてを合計したよりも大きなAI流入をほぼ確実に生んでいる、と。

つまり地図はこうなる。最大の大陸は依然としてGoogle検索の内側にあり、ChatGPTをはじめとする外部アシスタントの世界は、その外に広がるもう一つの層だ。「Googleが終わってAIの時代へ」という語り口は、少なくとも流入の実態とは食い違っている。

👑 第二の発見。外側の世界はChatGPT92.4%の一強

では外側、独立アシスタントの層はどうなっているのか。ここでの主役は圧倒的にChatGPTだ。計測可能なAI参照流入の92.4%が、たった1社から来ていた。

この集中はむしろ強まっている。同社の2025年12月時点の集計では、ChatGPTは約84%で、Perplexityが8.9%、Geminiが4.5%と続いていた。半年でChatGPTのシェアは84%から92.4%へ上がり、他社との差はさらに開いた。

レポートはこれを「競争ではなく寡占化」と表現する。12カ月前、業界はどのAIが検索を制するかを賭けの対象にしていた。検索特化のPerplexity、企業内に食い込むCopilot。だが、そのどちらの賭けも実らなかった。

数字の意味を実務の言葉に置き換えれば、こうなる。外部AIアシスタントからの流入を狙うなら、ChatGPTを外した施策は、事実上ほとんどの流入を取りこぼす。ChatGPTを軸に据えないAI可視性対策は、抽象論の最適化にすぎない、とレポートは言い切っている。

🔄 順位が入れ替わった中位。Claudeの64倍と、消えた2社

驚きは首位ではなく、その下の中位で起きていた。2位以下の顔ぶれが、この半年で大きく入れ替わっている。

最も伸びたのはClaudeだ。参照流入は19カ月で64倍に増え、2026年3月に初めてPerplexityを追い抜いてそのまま前に出た。2025年中は横ばいだったが、エージェント機能や企業向け連携の普及とともに、2カ月で4倍に加速したという。企業向けの本命はCopilotだという当初の予想が、Claudeで現実になりつつある。

Geminiは静かな2位だ。変動の少ないまま3.2倍に伸びた。WorkspaceやAndroidに組み込まれているため、参照流入の数字は実際のディスカバリー規模を過小評価している可能性がある。

対照的に、期待された2社は失速した。PerplexityはピークだったMonthly1.75万件から61%減り、Copilotに至ってはピークから96%も縮んだ。両社はいずれも、利用者を自社のブラウザやエージェントの中に留める方向へ舵を切っており、外へ流入を送らない設計に移りつつある。

🚪 最も実務的な発見。AIは「検索窓」に人を落としている

レポートが最も実務的だと強調するのは、シェアの話ではない。AIがどのページに人を送り込むか、という着地点の話だ。

ChatGPTは、自らが送る流入の28.8%を、サイト内の「検索結果ページ」に落としている。業種横断で見ても、AI経由流入の約25%がサイト内検索に着地していた。

これは何を意味するのか。モデルはドメイン(サイト全体)は信頼して選んだが、その中のどの1ページが最適かまでは決めきれず、利用者をサイトの検索窓に渡して自分で探させている、という構図だ。この傾向は業種や時期を越えて一貫しており、RAG(検索連動生成)の構造そのものに根ざす現象だとみられる。

多くのサイトにとって、サイト内検索は軽視されがちな補助機能だ。だがAIがドメインを選ぶという難所を越えて送り込んだ購買意欲の高い訪問者が、最初に触れるのがその検索窓なら、その使い勝手こそが成果と離脱の分かれ目になる。着地の設計思想を、根本から入れ替える必要がある。

🔍 Trexはこう見ている

この調査の値打ちは、「AIか、Googleか」という二択で語られがちなこの1年の議論を、一枚の実測地図に描き直した点にある。地図を広げれば、対立ではなく二層構造が見えてくる。最大の入り口は今もGoogleの内側にあり、その外にChatGPT一強の世界が広がっている。

データを扱う立場から言えば、ここで効いているのは「均等分散という思考停止」への警告だ。5つのAIに5分の1ずつ資源を割けば公平に見える。だが実流入の9割超が1社に偏る現実の前では、その均等配分はリスク分散ではなく、単に効果の薄い場所へ資源を薄く撒く行為になる。分散は、分布に偏りがあるほど割に合わなくなる。

15年のIT企業経営でも、チャネルごとの流入は必ずと言っていいほど一極に偏った。均等に手当てするより、太い1本を確実に取り、次に伸びる細い1本に早く張る方が、結果として全体を押し上げた。今回のClaudeが3月にPerplexityを抜いた「順位の入れ替わり」は、その細い1本を見極める好例だ。

もう一つ、実務家として重い教訓が「検索窓への着地」だ。AIが送ってくれた優良客を、自社サイトの検索窓の使い勝手ひとつで取りこぼしているとすれば、それはAIの問題ではなく自社の受け皿の問題だ。可視性を競う前に、入ってきた人を受け止める導線ができているかを問い直したい。

ただし留保もいる。この677万件は「参照流入」であって「成約」ではない。どのAIが買う人を送り、どのAIが離脱する人を送るのかは、レポート自身が「まだ誰も答えていない次の問い」として残している。可視性の地図は描けても、価値の地図はこれからだ。

💡 今日のアクション

  1. 自社のAI流入を「中と外」で切り分けて見る:Google検索内のAI概要経由と、ChatGPT等の外部アシスタント経由は別物として扱う。GA4の参照元でAIアシスタントからの流入を洗い出し、Google検索内のAI表示とは分けて把握することから始める。

  2. 外部AI対策はChatGPTを軸に据える:限られた工数を全AIへ均等に割かない。まずChatGPTに引用・参照される状態を最優先で作り、そのうえで自社の顧客層に技術者・開発者・専門サービスが多いならClaudeへの早めの布石を打つ。

  3. サイト内検索を「入口」として点検する:AI経由の訪問者が検索結果ページに落ちている前提で、自社のサイト内検索が的確な結果を返すか、そこから目的ページへ迷わず進めるかを、実際に主要キーワードで試して確かめる。

🔗 参考リンク

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