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同じ役を、次の収録でも演じられるか


複数回の収録で、役の一貫性を保つ

作品によっては、一人の役を
複数の日程に分けて収録します。


前回から数週間空いて続きを演じたり、
収録済みの場面へ新しいセリフが
追加されたりすることもあります。


その際、前回より話す速度が
急に速くなったり、
声の高さや語尾の処理が
大きく変わったりすると、
同じ人物の続きとして聞こえにくくなります。


一方で、以前の言い方を
そのまま繰り返せばよいわけでもありません。


物語が進めば、置かれている状況や
感情の強さも変わるからです。


同じ役を継続して演じるには、
前回から残す要素と、
今回の場面に合わせて変える要素を
分けて考える視点が求められます。


トライボイスアカデミアを
初めて知った方は、自己紹介記事も
あわせてご覧ください。


この公式noteで扱っているテーマや、
発信の考え方をまとめています。

▼自己紹介記事はこちら▼


前回と照らし合わせるのは、
声の高さだけではない

同じ役を再び演じるとき、
最初に声の高さを
合わせようとする方もいるでしょう。


しかし、聞こえ方を決める要素は
一つではありません。


返事をするまでに、
どの程度の間を取っていたか。


文章の前半と後半で、
速度がどう変化していたか。


語尾をはっきり閉じていたか、
息を残して終えていたか。


相手へ強く呼びかけていたか、
反応をうかがいながら言葉を選んでいたか。


こうした違いも、役の印象を左右します。


声の高さが近くても、
前回は返事の前に間を取っていた人物が、
次の収録ではすべて即答していれば、
考え方まで変わったように聞こえます。


反対に、速度や間の取り方が
保たれていれば、
感情の大きさが変わっても
同じ人物として受け取りやすくなります。


場面が変われば、話し方も変化する


役の一貫性を意識するあまり、
全てのセリフを同じ調子にすると、
物語の変化が伝わりません。


例えば、普段は慎重に話す人物が、
仲間の危機を知って
強い口調になる場面を考えます。


この場面では、声量が上がり、
話す速度も速くなるでしょう。


それでも、返事の前にわずかな間を残したり、
言い切る直前に迷いが表れたりすれば、
これまで示されてきた性格を保てます。


変えるのは、感情の強さや呼びかけ方です。


残すのは、反応する速さ、
言葉を選ぶ間、息の置き方など、
その人物に繰り返し見られる特徴です。


全てを固定するのではなく、
どの要素をどこまで変えるかを判断することで、
物語の展開に応じた芝居と
役の一貫性を両立できます。


良かった言い方を、音だけで覚えない


収録中、思いがけず
良い言い方が生まれることもあります。


しかし、完成した音だけを覚えようとすると、
後日同じ芝居を求められた際に
再現しにくくなります。


声の高さや語尾をまねても、
前回とは異なる反応に聞こえるためです。


確認したいのは、
その言い方が生まれた理由です。


相手のどの言葉を受けて、
話す速度が上がったのか。

どこで相手の意図に気付き、
声量を落としたのか。

言い始める前に、相手との距離を
どの程度に想定していたのか。


例えば、

「相手の発言に驚いたため、
 返事の前に一拍置いた」

「遠くにいる相手を呼び止めるため、
 最初の言葉を強く出した」


と把握できれば、
後日の収録でも同じ条件から
芝居を組み立てられます。


録音された結果だけを記憶するのではなく、
自分が何に反応し、
どのように言い方を選んだのかを振り返る。


その確認によって、
一度きりだった芝居を再び扱いやすくなります。


修正するときは、変更する要素を絞る


収録では、一度演じたあとに

「もう少し明るく」
「勢いを抑えて」
「相手との距離を近く」


といった指示を受けることがあります。


このとき、話し方の全てを変えてしまうと、
最初とは別の役に聞こえる可能性があります。


「明るく」という指示であれば、
声の高さを上げる方法もあれば、
言葉の出だしを軽くする方法、
返事までの間を短くする方法もあります。


全てを同時に変えるのではなく、
どの要素を動かせば指示に近づくかを考えます。


勢いを抑える場合も、声量を下げるのか、
話す速度を落とすのか、
語尾の強さを弱めるのかで、
聞こえ方は異なります。


最初の話し方を
具体的に把握していれば、
残す部分と変更する部分を分けられます。


修正を受けても
役全体の印象が崩れにくくなるのは、
そのためです。


一度できた芝居を、
次回も再現できるようにする

印象に残るセリフを演じられることは、
声優に求められる力の一つです。


同じ役を継続して担当するには、
声の高さ、速度、間、息、語尾など、
前回の聞こえ方を構成していた要素を
把握する視点も加わります。


そのうえで、今回の場面に合わせて
感情の強さや呼びかけ方を変えていきます。


前回の音をそのまま複製するのではなく、
何を残し、何を動かすのかを判断する。


一度生まれた芝居を、
別の日の収録でも同じ人物として
成立させることが、
役を継続して演じるために求められる技術です。


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