土屋なつのカウンター🌼満面の笑み
近所にある、小さな唐揚げ屋さん。
狭いが店内でも飲める。
家も近い。
安い。
ここ、行きつけにしたい。
「こんにちは〜…。」
「いらっしゃいませ。」
「ビールください。」
「はい。」
………。
会話は続かない。
隣は、友達同士なのか、
お客様同士が、
しゃべっている。
まぁ、最初はそんなものだ。
「店長、良かったら一杯どうぞ。」
「ありがとうございます。」
乾杯。
「ここら辺にお住まいなんですか?」
「はい、近所で。」
たわいのない会話が続く。
………。
終わる。
少しずつ仲良くなれたらいい。
「よく、来られんですか?」
隣の常連さんとかともしゃべる。
がんばろ……。
四回目くらいだった。
お店の前まで来ると、
中から誰かが笑顔で手を振っている。
あっ。
(私に?)
私も満面の笑みで手を振り返した。
あれ?
目線が違う?
……
その人は、
私の後ろにいた常連さんに手を振っていた。
顔が熱い。
でも、もう入り口まで来てしまった。
引き返せない。
何事もなかった顔で入る。
静かにカウンターへ座る。
……。
お願いだから、
誰かー
なんか言ってくれー。
……。
「ビールください。」
「はい。」
……。
帰ろうかな。
いや。
一杯で帰るのは負けた気がする。
もう一杯飲む。
それに、
ここから何か、
「あっ、さっきはね〜」
に進展するかもしれない。
……。
しない。
二杯飲んで帰った。
そして、
五回目はなかった。
