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刑務所は社会の縮図?~世界中の刑務所を訪問して見えてきたこと|犯罪学・刑事政策 教授が解説

立正大学教授 丸山泰弘(犯罪学・刑事政策)が、ニュースでは聞けない犯罪学、刑事政策の話について、分かりやすく解説します。過去に配信したエピソードを順番に紹介していきます。今回は「世界中の刑務所を語るpart1」です。
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 世界中の刑務所をめぐっているメインパーソナリティ丸山とともに、「刑務所に行くことの意味」を語りました。刑務所ってどんな場所なのか、世界に目を向け、うまくいっている国、そうでない国、どんな刑務所があるのか、犯罪学・刑事政策教授が解説します。


スタッフからひとこと

 この第2回についてまず言わねばならないことは、私の“鼻声”についてです。初めてのコロナ感染後、待期期間明け、祈るような想いで抗体検査をし、陰性を確認したその数時間ごの収録でした。スケジュールの関係でリスケは難しく、その日に録りきる必要があったのです。人生で経験したことのない喉の痛みで「ただの風邪、言うた奴誰やねん」と毒づきながらの1週間、まだまだ喉が痛くて話しづらく、今聞くと、緊張もしているし、硬い上に、すごい声で申し訳ない限りです。聴きづらいですが、話はわりとお楽しみいただけると思うのです…
 さて、丸山は世界中の刑事施設を訪ねまわっているのですが、比べるのもおこがましいことではありますが、私もそれなりに日本国内の刑事施設を訪問させていただいています。北は札幌刑務所、南は…北九州医療刑務所か長崎刑務所でしょうか。長崎に就職した時の自己紹介で「趣味というほどでもないですが、日本国内のかなりあちこちの刑事施設を訪問しています」と言うと、みなさん、目が点になるわけです(そりゃそうです)。「刑事施設というものは社会を映すものでありまして」と語るわけにもいかず、「勉強になるので」と微妙なフォローを入れていたため、変わった人が就職してきたな、と印象付けて回ってたようです。今となっては、私が就職した社会福祉法人南高愛隣会は、長崎刑務所で福祉的なプログラムを行うモデル事業に取り組んでいるので、職員の多くが刑務所に通っているので、刑務所の話もすっかりしやすくなりました。
 さて、そんな長崎は、みなさんもご存じのように原子力爆弾の被害を受けた街です。就職した年、長崎市内での仕事の後、同僚たちと爆心地公園を歩いていた時(と思い込んでいましたが、調べると平和記念公園の方みたいです)、足元の石の並びが「パノプティコン(一望監視システム)」に見えて、立ち止まってしまいました。何か説明の看板は、と探して見つけたそこには、「長崎刑務所浦上刑務支所跡」で、爆心地からもっとも近くにあった公的な施設で、治安維持法違反に問われた思想犯の方が多くとらわれていたこと、中国の方、朝鮮半島の方も多くおられたことなどを知りました。長崎市出身の2人から「何度も来ているけど、ここで立ち止まった人は初めてだし、そんなこと初めて知った」と言われ、3人で手を合わせました。(ちなみにこの話は10年の年月を経て、2025年の“スナックツミナハナシ”で漫画家の大澤つづるさんにミーナック・ホームズとして書いていただきました。感動です)。

 配信では、こんな刑務所もあるぞ、というお話をしました。外国の映画やドラマを観た時に出てくる刑務所と、日本の刑務所は全然様子が異なります。いろんな方法があって、どの刑務所がいいのか、「いい刑務所」って何を基準に判断するのか、そういうことを語っていきたいという決意に満ちた第2回です。今聞くと、とんでもなく緊張していて、お話しの展開もわかりづらいかもしれませんが、4年前はこんなだったのかーと思って聞いていただけると嬉しいです。(み)

こんな話をしています

・刑務所は社会の縮図
・射殺される覚悟の施設参観?
・受刑者に優しいノルウェー
・改善更生が必要なのは心が行動か
・反省はできても更生は一人ではできない

丸山 評価されているのは北欧諸国です。受刑者や被収容者に「優しい国」と言われてます。受刑者を一人の人間として接することが再犯防止に繋がるという理念があるんです。
南口 北欧は福祉国家としても有名ですね。丸山さんはどの国に行きましたか?
丸山 ボクが行ったのはスウェーデンです。刑務所に行った際には、受刑者の方々と並んで食事を食べさせてもらいました。おいしかったですよ。会話もさせてもらえたし。
南口 ノルウェーも取り上げられることが多いですね。
丸山 そうそう。「世界一犯罪者に優しい国が、世界で一番再犯が少ない」と言われています。
南口 理想的じゃないですか。「ここが違うぞ!」というところはありますか?
丸山 めっちゃありますよ。例えば、ノルウェーの刑務所では朝起きて何か食べたいなと思ったら、冷蔵庫の中に入っている食材を使って、自分で料理を作るんです。しかも他の受刑者と相談したりしながら。
南口 違った意味で衝撃的ですね。日本だと炊事担当の受刑者が作って運んできてくれるのを待ちます。
丸山 ただそれって一般社会でも特別な状況やん。日常生活で朝起きて座っていたらご飯が出てくることなんてないやろ?
南口 あったら嬉しいけど(笑)。それこそホテルか旅館に外泊した時くらいですよね
丸山 考えてみれば当たり前で、出所後は自分で料理しなければいけない。北欧諸国では、社会に近い環境を用意することで、社会の中でどう生きていくかを共に考え、向き合っているということを感じました。

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犯罪学の視点から語るエンタメ作品

『BOY A』
監督:ジョン・クローリー
出演:アンドリュー・ガーフィールド・ピーター・ミュラン
2008年/イギリス/カラー

ツミナハナシを話すヒトたち

丸山泰弘:立正大学法学部 教授/知的エンターテインメント・クリエイター
南口芙美:合同会社黒子サポート 代表
※2人とも、一般社団法人 刑事司法未来 理事

でてきた用語・人物

  • フランツ・フォン・リスト(ドイツの刑法学者)

  • 浜井浩一(日本の犯罪学者)

  • 最良の刑事政策は最良の社会政策である

  • 保安施設

  • 改善指導

  • 特別改善指導(薬物依 存離脱指導、暴力団離脱指導、性犯罪再犯防止指導、被害者の視点を取り入れた教育、交通安全指導、就労支援指導)

  • スケアード・ストレイト・プログラム(Scared Straight Program)

  • Evidence-Based Policing(エビデンスに基づく警察・防犯政策)

もっと知りたい

  • 特別改善指導

犯罪や非行の背景にある特定の事情にアプローチし、更生につなげる取り組みは、刑事司法の様々な分野で進んでいます。刑務所等の矯正施設で行われている「特別改善指導」については以下のページから。

  • 「反省は一人でもできるが、更生は一人ではできない」

今や多くの場所で聞かれるようになったこのフレーズ(映画『ミックス・モダン』のパンフにも掲載されていました)。あまり知られていませんが、犯罪学者・浜井浩一さんのご発言です。浜井さんの言葉はどれもおすすめですが、この言葉が出てくる書籍をご紹介。

  • 『BOY A』を丸ごと話す

エンタメで紹介した『BOY A』は時間が足りな過ぎて、この後一本まるまる語る回を収録しています。あまり知られている映画ではないからこそ、是非皆さんに見てほしい!

  • 日本の刑務所が変わる?「拘禁刑」について

2025年6月1日から、「懲役刑」「禁固刑」にかわり「拘禁刑」が日本の刑罰として新たに導入されました。「拘禁刑」って何? 刑務所のあり方が変わるのかについてはこちらのエピソードでお話しています。

  • 世界の刑務所、刑務所の歴史について

ところと時代が変われば刑務所のあり方も変わる。世界の刑務所、日本の刑務所、そして世界と日本の刑務所についてお話しています。『刑務所の中』で印象的な「願いまーす」は何をしているのかという刑務作業についても1回かけてお話しています。

(※ #2 2023年1月24日配信)

番組初の書籍化『マルちゃん教授のツミナハナシ 市民のための犯罪学』発売決定!

わかりやすく、親しみやすく“罪”と“罰”を考える。ポッドキャスト番組「丸ちゃん教授のツミナハナシ」が書籍化されます! 是非お買い求めください。

番組MC・丸山泰弘 初の新書『死刑について私たちが知っておくべきこと』発売中!

「丸ちゃん教授のツミナハナシ」メインパーソナリティーの丸山泰弘が、ちくまプリマ―新書(筑摩書房)にて、初めての新書『死刑について私たちが知っておくべきこと』が発売されました。「紀伊國屋じんぶん大賞2026」にランクイン! 是非お買い求め下さい。

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・主催:一般社団法人刑事司法未来

構成:合同会社黒子サポート

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