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夏が休んだ日

朝、窓を開けると、ひんやりした風が部屋をゆっくり通り抜けた。
「今日は久しぶりに体が楽だ」と思える朝だった。

連日、30度近い日が続いている。
テレビでは毎日のように危険な暑さを伝え、エアコンは欠かせない存在になっている。


でも、昨日は違った。

日中、エアコンは付けず、窓を開けていた。
窓を開けているだけで十分涼しい。
白いカーテンが一定のリズムで膨らんでは網戸に吸いついていた。

空は一面の曇り空で、あのギラギラ太陽も、この日ばかりは休みを取ったようだった。

こんな日は逃せないと思い、午前も午後も、庭の草取りをした。

前日の雨のおかげで、草は面白いように抜けやすかった。
草を抜くたびにミミズや虫たちが動き出す。
小さい頃はそれだけで怖かった。
実は今でも苦手なのだ。本当は。


数年前まで、庭の草は夫が草刈り機で綺麗にしてくれていた。
だから私の休日に、草取りをすることなど無かった。

でも、夫が急逝してからは、庭のことも、家のことも、
何もかも、決めるのは私になった。


もし母がまだ生きていたら、「草取りくらいやっておくよ」と笑って引き受けてくれたかもしれない。

母は生前、家の周りの草をよく取っていた。
だから、草取りが好きな人だと思っていた。
でもそれは私の勝手な思い込みだったのかもしれない。

好きだったのではなく、みんなが暮らしやすいように、ただ黙って手を動かしていただけなのかもしれない。
今、母の姿が私に重なる。



時々、黒い雲が西の空に広がった。
「今日の草取りはこれで終わりか」と思ったが、雨は降らなかった。


夜、風呂上がりにアイスを食べながら娘たちと他愛のない話をした。
私たちは暑くはなかったが孫が暑くないように、数時間だけエアコンをつけた。
そして、寝る前にいつものようにスイッチを切って寝た。



そして今朝。

下の部屋の窓3つを開ける。
涼しい風がまた部屋を通り抜ける。
どこからか鈴虫の声が聞こえてきた。

季節は少しずつ、気づかない速さで歩いている。





夏が休んだ日

毎日note連続投稿2642日目
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※優谷美和さんの画像をお借りしました。

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