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誰かが汚して、誰かが掃除する

きれいにしたばかりの便器に、数分後、また汚れがついていることがある。

私は清掃員。
掃除をするのが仕事。

でも、時々、心が折れそうになる。


男子トイレの小便器には、長い便器の下に、受け皿がある。
その受け皿を取り出してこすり洗いをする。

ときどき、その受け皿に唾を吐く人がいる。
どろっとしたそれは時間の経過と共にかたまり、こびりついている。


水をかけ、洗剤をつけ、ブラシでこする。
落ちていく汚れを見ながら思う。


トイレは汚れる場所だ。
それを掃除するのが私の仕事だ。
それは分かっている。

でも、口から出した唾を、便器につけたまま立ち去らなくてもいいのにな、とは思う。
せめて洗面所で流すとか、ティッシュや備え付けられている手拭き用ペーパーに包んでゴミ箱に捨てるとか。

そんなこと、勿論、口にはできない。
だから黙って掃除する。


階段を上り下りしながら、ひと通り掃除を終える。
最後にもう一度、見て回る。

するとさっき綺麗にしたばかりの便器に、また唾がついている。
ねばねばした黄色い唾が。

私はそこをもう一度こする。
水で流す。
綺麗になる。


でも、数分後にはまた誰かが使うだろう。
そして、また汚れる。


何でもそうなのだと思う。


ここはショールームではないんだ。
常に生きている現場だ。


汚して、洗って。
また汚れて、また洗う。
その繰り返しだ。


今日も私は、そんな場所を掃除している。

そんなもんだ。






誰かが汚して、誰かが掃除する

毎日note連続投稿2665日目
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※優谷美和さんの画像をお借りしました。


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