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私のそばにも、金持ちがいた

引き出しを開けると、夏が一枚、残っていた。
『おぼんだま』と書かれた小さな袋。

金魚がゆらゆら泳いでいる。
涼しげな団扇が描かれ、水面には丸い波紋が広がっている。


長めのお盆休みを過ごした二女が、赤ちゃんを連れて都会へ戻る前日。

「一か月、お世話になりました」
と、言葉を添えて差し出された小さな袋。

私は受け取るのを一瞬、ためらった。

娘と赤ちゃんと過ごした一か月は、お金に替えられないものだった。

それに、お米を10㎏も買ってくれた。
おいしそうな食べ物も、たくさん買ってくれた。
だから、お金をもらうのは違う気がした。

しばし、袋が返されたりこっちに来たりした。
結局、娘の気持ちをいただくことにした。

「中、開けていい?」

私が聞くと、娘は笑顔でうなずいた。
袋の中を見る。
何と一万円も入っていた。

「ありがとう」

赤ちゃんが産まれて出費の多い毎日だと思う。
そんな中での一万円は、決して小さなお金ではない。

娘は、昔からよく人に与える人だった。
この一か月を一緒に過ごして、それをあらためて感じた。

だから、出ていくお金が多い時もあるが、入って来るお金・資産も多いと感じる。

人に何かをしてあげる。
必要なものを買ってあげる。
誰かが喜ぶことに、お金や時間を使う。

娘のお金の使い方を見ていると、不思議な力を感じる。

出ていくお金もある。
しかし、出ていった先で何かが生まれているように見える。
『生きたお金』という言葉が、少しだけ分かった気がした。


少し前までは、お金をたくさん持っている人が、金持ちなのだと思っていた。
でも、本当の金持ちというのは、持っているものを誰かのために気持ちよく使える人なのかもしれない。


そう思ったら、なんだかおかしくなった。

私のそばにも、金持ちがいたのだ。






私のそばにも、金持ちがいた

毎日note連続投稿2667日目
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※優谷美和さんの画像をお借りしました。


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