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お見合い電車に乗った、変な私

それは、会社の日帰り旅行の日だった。

集合場所は駅。
改札口には、佐伯さんと加藤さんがいた。

佐伯さんはさりげなく流行を取り入れている服装で、すらりとした体型がその良さを倍増している。

加藤さんは相変わらず、昭和を感じさせる服装をしていた。
毎回、そんな服装なので、それが加藤さんなのだと思うようになっていた。

他の皆はもう改札口を通り、電車に乗ったらしい。

「さぁ、急ごう」

駅員さんに切符を渡す。
パチン、と音がして、切符が戻ってきた。

三人は階段を駆け上がった。
佐伯さんはキリンのようにすらすらと登っていく。
加藤さんは急いでいるつもりなのだろうが、息を切らしながら一段ずつ足を上げている。
私も同じくらいだから、人のことは言えない。

ホームを走り、今度は階段を下りる。
そして、なんとか電車に乗った。

電車のドアが閉まった瞬間、世界が変わった。

車内には、向かい合わせの椅子が並べられていた。
しかも、男女が向き合って座るようになっている。

電車が発車した。

私たちは佐伯さん、加藤さん、私の順に座った。
向かいには男性たちが座っていた。

どうやらこれは『お見合い電車』らしい。
そんな電車があるのか。

その電車には会社の人間が私たち三人以外いなかった。
それに早く気づけば良かったが、私たちはなぜか気がつかなかった。

ずっと向こうには若い女性たちがいた。
30代後半の私たちに話しかける人なんていないかもしれない。
そう思っていた。

ところが、向こうの椅子に男性がひとり座った。

佐伯さんにも加藤さんにも、目の前に男性が座った。

そんなこともあるのか。
私は嬉しくなった。

数分話して、自分の椅子を持って移動していく。
そして、また別の男性が目の前に座った。


しばらくして、私はお手洗いに立った。
便座に座っていると、外からドアを開けようとする気配がした。

「開けないで!」

私は、大きな声で叫んだ。


そこで目が覚めた。
夢だった。

目を開けて、部屋の入口へ目を向ける。
いつも通り、引き戸は開け放していた。
娘たちに聞こえていたかもしれない。
人騒がせな私だ。
夢で声を張り上げるのも、持病の症状のひとつだと医師から聞いている。
普段、大声を出さない私にとって、残念な病だと思う。

やはり、ドアは閉めて寝よう。

それにしても、佐伯さんも加藤さんも実在する人だ。
夢の中では、二人と一緒に駅を走っていた。
二人とも元気にしているだろうか。


そんなことを思いながら、
もう一度、布団の中で目を閉じた。






お見合い電車に乗った、変な私

毎日note連続投稿2674日目
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※優谷美和さんの画像をお借りしました。


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