いぬのこと⑧
「いぬのこと⑦」からのつづきです。
しばらく「いぬのこと」になりますが、再び「ねこのこと」に戻ります。
とはいえ、「いぬのこと」にもねこは登場!
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その日のうちに手術は成功し、胃から取り出された細くて固いジャーキーは、注意喚起の材料として病院が保管することになった。
1週間の入院期間中、毎日電話で様子を教えて頂いたが、吠えまくっている弟犬の声が電話越しに聞こえ、元気に回復していることがわかった。
「普段は大人しくしていますよ」とのことで、なぜ電話口に飼い主がいることがわかるのか、不思議だった。
不幸中の幸いは、この手術後、弟犬が動物病院を大好きになったことだ。
子犬の頃に門脈シャントの手術で1ヶ月も入院したせいか、動物病院の診察台の上では、健康診断であっても、常に全身をふるふると震わせ、しっぽを足の間にすっぽりとはさんでひたすら怖がっていたのに、退院後の健診で診察台に乗せた時には、震えもせず、しっぽをばたばたとふってスタッフとの再会を喜んだ。
胃に異物が刺さっていた間の激痛から解放してくれたありがたい方たちと認識したのかもしれない。
この一件は、飼い主を心底震え上がらせた。
弟犬が加わって以来、よく面倒を見てくれていたしっかり者の姉犬たちがすでにこの世にはおらず、飼い主がその代わりを務めなくてはならないことを痛感した。
医療の恩恵で先天的な内蔵奇形から生き延びても、終生投薬が必要で、肝臓と脳の発達が十分ではないことは理解していたが、姉犬たちがいかにこのやんちゃな弟犬の生活を支えてくれていたのか、改めて思い知った。
子犬の時に大変な思いをしたのだから、可能な限り痛みや不自由から遠いところで生活させたいと願っていたのに、ちょっとした油断が大きな痛みをもたらしたことをひたすら申し訳なく思った。
弟犬の入院中に、キッチンを整理し、犬の手が届くところには何も置かないことにした。
棚には猫が登れないようにカーテンもつけた。
これで危ないことはなくなるはずで、確かに、退院後、しばらく穏やかだった。
弟犬は齢を重ね、弟猫とくっつきながら、静かな時間を過ごしていたが、ある日、けいれん発作を起こした。
つづく
人間科学部心身健康科学科 吉田浩子


