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Robloxで収益を上げたいという方への注意点

最近、新規企画やゲームをロブロックス(Roblox)でリリースしようという動きが、ゲーム業界以外でも増えている。「どうなのか? 収益になるのか?」という相談も出てくるようになった。

結論から言うと、ロブロックスは「実験プラットフォーム」として割り切るなら決して悪くない。だが、「メインの収益源」として期待するには、知っておくべき構造的な罠や注意点がいくつかある。

ご存知ない方も多いかもしれないが、2023年にリリースされて流行った「フォートナイトのUEFN(Unreal Editor for Fortnite)を使って稼ごうぜ」みたいなムーブがあった。あの頃もゲーム業界外の新規参入者が稼ぐ市場として多くが参入したが、ほぼほぼ収束した。

割とそれに近い構造が、ロブロックスにも存在する。とはいえ、可能性としてはロブロックスの方が高いとは思える。理由としては、実際にユーザーに対してゲーム内アイテムやアセットを直接販売できるからである。

ただ、ロブロックスは確かにブームではあるが、日本に入ってきたのが遅すぎるし、日本は主要市場と比べると数年遅れている。やりたければやればいいと思うけれど、コストをかけるところじゃないとも個人的には考えている。

自分も記事を書いたのが2021年なので5年前か・・・。

今回は、最新の公式データと、かつて同じ夢を見せて停滞していったUEFNの現状を対比しながら、ロブロックスで収益を上げたいと考えている方に、事前に知っておくべき注意点を実務者の視点から整理しておく。


1|そもそも「UEFN」とは何だったのか?

ロブロックスの話に入る前に、まず「UEFN」について、よく知らない人のために解説しておきたい。

UEFN(アンリアル・エディター・フォー・フォートナイト)とは、エピックゲームズが2023年にリリースした、世界的人気ゲーム「フォートナイト」の中に、誰でもオリジナルのゲーム(島)を作って公開できるシステムのこと。

これまでのフォートナイト内の簡易的な建築モードとは異なり、プロがゲーム開発に使う超高性能ゲームエンジン「Unreal Engine 5」の機能をそのままフォートナイト内に持ち込める、極めて画期的なツールとして登場した。

さらにエピックゲームズは「クリエイターエコノミー 2.0」と称して、フォートナイト全体の売上の40%を、プレイヤーが遊んだ時間などに応じてクリエイター(島開発者)に分配するという、総額数百億円規模の還元プランを発表した。

この発表に、世界中のクリエイターやスタートアップ、さらには大手ゲーム会社までもが「フォートナイトで島を作れば大儲けできる!」と色めき立ち、一時期は凄まじいブームになった。

だが、そのムーブは今、どうなったか。

結論から言うと、新規参入者にとっての「夢の市場」としてはほぼ機能していない。

なぜなら、ユーザーの総プレイ時間の大半は、すでに知名度を持つ一部のトップクリエイターや、ダークパターン(ユーザーを欺くゲームデザイン)を使って「お気に入り」や「いいね」をハックした大手クローンマップに完全に独占されたからである。

実際に、EpicのフォーラムやRedditのクリエイターコミュニティでは、「メジャーアップデートを何度も重ねても、アルゴリズム(Discover)の露出が完全にゼロのままで、新規プレイヤーが1人も入ってこない」というバグとも言える露出偏向の悲鳴が、数ヶ月にわたって相次いでいる 。

Discover経由の流入がプレイ時間のほぼ全てを占める構造上、新規参入の小規模島がアルゴリズムに乗れなければ、実質的に海底に沈む構造になっていると言える。

結局のところ、強力なプロモーション力や既存のファンベースを持たない新規スタジオがどれだけハイクオリティなゲームをUEFNで作っても、フォートナイトの膨大な海の中に埋もれてしまい、誰にも見つけてもらえない。一部のトップクリエイターが数億円を稼ぐ一方で、大半の参入者は1円も稼げないまま、ブームは静かに去っていった。

そして今、これと全く同じ構造の罠が、ロブロックスの周りに張り巡らされている。


2|公式データで見る、ロブロックスの「極限の二極化」

率直に書く。ロブロックスは、リリースのしやすさという意味では、いまもっとも参入しやすいプラットフォームのひとつとも言える。ただし、収益という意味では、UEFNをさらに極端にした「勝者総取り」の世界だ。

ロブロックスが2025年9月に発表した最新の「Economic Impact Report(経済影響レポート)」および公式データを見ておきたい。

2025年、ロブロックスが開発者に対してDevEx(Developer Exchange=ゲーム内通貨を現金化するシステム)を通じて支払った総額は、約15億ドル(約2,250億円)に達している。プラットフォーム自体の規模は確かに急成長している。

ただ、その「収益の分配」が恐ろしいほど偏っている。

  • トップ10の開発者:年間平均 約3,850万ドル(約57億円) 

  • トップ100:年間平均 約700万ドル(約10億円)

  • トップ1,000:年間平均 約98万ドル(約1.5億円)

  • 全開発者の「中央値(メディアン)」:年間 1,440ドル(約21万円)

この数字の意味がわかるだろうか。

トップ1,000に入れば、年間の売上は1億円を超え、事業として成立する。しかし、実際に換金(DevEx)を申請したアクティブな開発者(約2万9,000人)の「中央値」は、年間わずか21万円。月額に直せば、2万円にも満たない。

まぁお小遣い稼ぎを目指して色々なゲームを作ってみるのは悪くはないと思う。だが、本業の事業としてここに全力を注ぐのは、極めてリスクが高いとしか言えない。


3|日本人が出品して海外に届くのか?

ここで、実務的な疑問についてクリアにしておきたい。
「日本人がロブロックスでゲームを公開して、アイテム販売(マネタイズ)はできるのか? 日本語で登録して海外に届けられるのか?」

結論から言うと、技術的には「完全に可能」であり、驚くほど簡単だ。

ロブロックスには強力な自動翻訳ツール(Localization)が標準で備わっている。開発者がロブロックスの管理画面(Creator Dashboard)で、日本語を「ソース言語(元の言語)」、英語やその他の言語を「サポート言語」に設定しておくだけで、システムがゲーム内のテキストやアイテム名、説明文を自動で翻訳して世界中のユーザーに届けてくれる。

また、ロブロックス内でアバター用の服やアクセサリー、ゲーム内アイテム(UGCアイテム)を販売することも誰でもできる。
ただし、実際にマーケットプレイスにアイテムを出品して販売するには、以下の条件が必要になる。

クリエナビさんが丁寧に出品、アイテム制作方法までを教えてくれています

  • 公的な身分証明書(ID)による本人確認

  • ロブロックス・プレミアム(有料サブスクリプション)への加入

  • 1点出品するごとに、数百〜数千ロバックス(ゲーム内通貨)の「出品前払い金(Publishing Advance)」の支払い [19]

入り口は日本語で登録するだけで世界に届く。この「世界展開のハードルの低さ」こそが、ロブロックスがゲーム業界外からも注目される最大の理由だ。


4|課金はスマホなのか? 手数料30%の嘘と「二重の壁」

では、お金の流れ(課金と手数料)はどうなっているのか。ここが最も誤解されやすく、最大の罠が潜んでいる場所だ。

「課金はスマホなのか? 手数料は絶対に30%取られるのか?」

結論から言うと、課金はスマホ(App Store / Google Play)だけでなく、PC(ブラウザでのクレジットカードやPayPal決済)、Xbox、さらにはAmazonなど、あらゆるマルチプラットフォームで行われている。

そして、手数料は「30%」どころではない。
開発者が手にする最終的な実効取り分は、ユーザーが支払った金額の「2割から3割程度」(つまり手数料は70%〜80%)になるケースがほとんどなのだ。

なぜこれほどまでに引かれるのか。その「二重・三重の壁」の構造を分解してみよう。

ユーザーがスマホアプリ経由で 10ドル 分のロバックス(Robux)を買ったとする。

  1. 第1の壁(アプリストアの手数料)
    まず、AppleやGoogleが約30%の手数料を引く。

  2. 第2の壁(ロブロックス自体のシステム手数料)
    残りの70%から、ロブロックスプラットフォーム自体の運営費、インフラ代、サーバー代、配信費などが引かれる。

  3. 第3の壁(現金化レートの目減り)
    さらに、手に入れたロバックスを現実の現金(日本円や米ドル)に換金する「DevEx」を行う際、換金レート(1 Robux = $0.0035)によって大きく目減りする。

課金経路や為替レートによって多少の上下はあるが、実務感覚としては、ユーザーが支払った金額の「7割から8割」はプラットフォーム側に吸い取られ、開発者の手元には2〜3割しか残らない。

「アプリストアの手数料30%を払えば、残りは全部自分のものになる」という一般的なスマホアプリの常識は、ロブロックスのようなUGCプラットフォームでは通用しない。この極めて重い「手数料の多重構造」を、最初から理解しておく必要がある。


5|日本市場は3年遅れ、「実験プラットフォーム」として組み込むのが妥当

それでも、ロブロックスにチャンスがないわけではない。

日本市場のロブロックス利用者(DAU=1日あたりのアクティブユーザー数)は、2022年から2024年で120%成長。クリエイター数は415%成長。ロブロックス社自身も、アジア投資を強化している。

日本市場は世界比で約3年遅れているとされており、いまの欧米市場で起きていることが、3年遅れで日本でも起きる可能性が高い。

タカラトミーの『BEYBLADE X』や、累計4億3,900万訪問を記録した『ペタペタサマ』(Inu_productions)のように、日本発の成功例も出始めている。

私の見方としては、ロブロックスは「メインの事業」ではなく、「実験と拡張のプラットフォーム」として組み込むのが妥当だと思っている。メインは別で持ちつつ、ロブロックスにも軽い実験タイトルを出して、若年層への接点を作る。当たれば収益にもなるし、外れても損失は限定的。これはハイブリッドカジュアルの戦略と、ほとんど同じ位置づけとも言える。

「全力でロブロックスに張る」のは、自分の会社の総力を「狂気のインディー」モデルに賭けることでもある。個人クリエイターやごく小さなチームならアリだが、中堅以上の会社が本業として張るには、リスクが大きいと思っている。

ちなみに、UEFNの時もあったが、大手クライアントが制作会社にゲームを制作するために巨額のお金を払うのは注意が必要である。UEFNの時も数多くの企業が参入して広告予算で専用ステージを構築したが、ほぼ無風で終わっている。

とはいえ、ゲーム開発とはそういうものであり、やれば必ず効果が出るというわけではないので、しっかりとリスクとリターンを見極めた上での取り組みをするのは他と変わらない。

いずれにしても、「リリースしやすい」だけで飛びつくと、収益分配の壁と発見されることの難しさで、痛い目を見る可能性は高い。最初から戦略的に組み込む覚悟があるなら、機会としては悪くない。


6|日本でゲームをリリースし、マネタイズする難易度

ここで、少し視点を変えて「日本国内でゲームをリリースし、マネタイズする難易度はどうなのか?」という本質的な問いについても触れておきたい。

結論から言うと、日本国内においてゲームを「リリースするだけ」なら、歴史上もっとも簡単かもしれない。だが、「まともにマネタイズして事業を成立させる」難易度は、歴史上もっとも高くなっている。

◆リリースは誰でもできる時代

App StoreやGoogle Playはもちろん、Steam、さらにはフリーゲーム投稿サイトや、今回のロブロックスのようなUGCプラットフォームまで、いまやゲームを世界に配信するインフラは完璧に整っている。ビルド(完成したゲームファイル)をアップロードして、公開ボタンを押す。それだけで、理論上は世界中の数十億人にゲームを届けることができる。

◆「砂漠の真ん中に自販機を置く」という絶望

だが、リリースが簡単になったということは、毎日数千本の新しいゲームが世界中で産み落とされているということでもある。

この無限のゲームの海の中で、自分のゲームをユーザーに見つけてもらうことは、極めて困難で、世界中のゲーム開発者が「インディーゲームで見つけてもらうためにはどうしたらいいのか?」を会話している。

広告を打たなければ、ストアの底に沈み、誰にも存在を知られないまま終わる。これは、例えるなら「砂漠の真ん中に、ポツンと自動販売機を置く」ようなものだ。自販機を設置すること(リリース)は誰でもできるが、砂漠の真ん中までわざわざ買いに来てくれる客(ユーザー)はいない。

◆日本の「減点方式」レビューと、極めてナイーブなコミュニティ

さらに、少なくとも私の観測範囲や、複数のプロジェクトで共通して見てきた傾向として、日本市場特有の「レビューの厳しさ」がある。

欧米やアジアの他国では、ベータ版や粗削りなインディーゲームに対して「バグはあるけど、アイデアが面白いから星4つ!」といった加点方式の評価をされることが多い。しかし、日本のユーザーは「バグがある」「UIが使いにくい」といった不満点を見つけると、容赦なく「星1つ」をつける減点方式の評価を下しがちだ。

また、コミュニティの運営に関しても、日本は極めてナイーブ(敏感)で炎上しやすい文化を持っている。相応の体制や設計なしに大規模なコミュニティ運営に飛び込むのは、特に個人・小規模チームには推奨しない。工数が莫大になる割に、失敗したときのキャンセルカルチャー(排除の論理)のリスクが大きすぎるからだ。

◆価格設定の罠と「安売り」の自滅

もうひとつ、日本のインディーや中小開発者が陥りがちなのが「安くしないと売れない」という価格設定の罠だ。

Steamも含めて低価格で販売してしまうと、よほど数十万本レベルで大爆発しない限り、開発費と人件費を回収することは不可能だ。一度安売りのイメージがつくと、次回作で適正な価格(3,000〜5,000円など)に上げたときにユーザーから「高くなった」と反発される自滅のスパイラルに入る。

予算を確保してゲームを作る以上、安易な低価格戦略は避け、最初から「限定版の設計」や「ゲーム外での収益構造(グッズやコミュニティなど)」をセットで設計し、客単価を上げる工夫をしなければ事業としては持たない。

◆無法地帯の荒くれ者と勝負する難しさ

ロブロックスはプレイすればわかるけれど、著作権無視のマッドマックスプレイで収益を荒稼ぎしている人たちが大勢いる。その中で日本のユーザーたちは律儀にオリジナルで勝負することになる。まずその時点ではかなり不利なアドバンテージがあることも心得ておいた方がいい。

具体的に言うと、ロブロックスのマーケットプレイスや人気ゲームランキングには、マリオ、ポケモン、ドラゴンボール、ワンピースなど、日本の有名IPを無断でそのまま使ったゲームやアイテムが大量に存在している。

本来なら著作権侵害で即座に削除されるべきものが、ロブロックスの審査の甘さや運営の対応の遅さもあって、長期間にわたって収益を上げ続けているケースが少なくない。

こういった無法コンテンツはIPの知名度を借りているため、検索やアルゴリズムで上位に表示されやすい。日本のクリエイターが律儀にオリジナルで作ったゲームは、こういった無法コンテンツと同じ土俵で戦わなければならない。これは「フェアな競争」ではなく、「ルールを守る側が不利になる構造」である。

ロブロックスも近年はDMCA(デジタルミレニアム著作権法)への対応を強化しているが、基本的には「権利者側が申告しなければ動かない」という申告制度だ。日本の中小クリエイターが個人でこれに対抗するのは現実的に難しい。


7|結論:ロブロックスという市場の「再定義」

最後に、ロブロックスは「当たればデカい」市場ではあるが、同時に「構造的にほとんどが死ぬ市場」でもある。使い方を間違えると死ぬ、という本質を整理して終わりたい。

もし、あなたが以下のような条件に当てはまるなら、ロブロックスは今でも極めて強力な武器になる。

  • すでに強力なIP(キャラクターやブランド)や、外部からの確実な流入導線を持っている

  • 開発チームがごく少数精鋭で、数週間単位の超高速でモックアップを回せる

  • ゲーム単体の売上ではなく、リアルグッズや他メディア展開への「認知獲得の入り口」として割り切れる

逆に、「何もないけれど、ロブロックスなら簡単に一発当てられるはず」という夢だけを抱いて、なけなしの開発費を突っ込むのだけは、絶対にやめた方がいい。それは、3年前にUEFNに夢を見て、誰にも見つからない島を作り続けて散っていった開発者たちの轍を踏むことになるからだ。

とは言えロブロックスのゲームは子供と一緒にプレイしたり、一緒に何かを作ってリリースしてみることはとてつもなくいい経験になるので、学習ソフトとしてもおすすめしたいところはある。

いずれにしても用法等を守った上で、取り組むことをお勧めします。


8|参考・出典


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