見出し画像

日本代表は本当に進化したのか

2026サッカーワールドカップの決勝トーナメント一回戦,日本代表はブラジル代表に逆転負けし,大会を終えました.森保監督が率い,史上最強と謳われたチームは,本当に「ここで終わるようなチームではなった」のでしょうか.このチームの強みは多く語られていますが,本質的な弱点は語られていないように思います.

私は,敗退後の選手達のコメントを聞いて,とても驚きました.多くの選手達が,ブラジル代表との「個の実力差を痛感した」と発言していたからです.現在の日本代表のほとんどの選手は,現在ヨーロッパのクラブに所属しており,多くが各クラブのレギュラーとして出場しています.ただ,それらのクラブはヨーロッパ各国の中堅クラブです.そのような選手が集まった代表チームは,日本代表以外にもワールドカップ出場チームには多く存在します.一方,ワールドカップの決勝トーナメントともなると,それよりも上のレベル,はっきり言えば,ヨーロッパ・チャンピオンズリーグ(以下,CL)の決勝トーナメントという,世界最高レベルの試合に常時出場するクラブの所属選手が複数含まれたチームが勝ち上がってきます.ブラジル代表にはCLで優勝さえ経験した選手が何人も含まれますが,残念ながら日本代表には,そのようなクラブのレギュラーは一人もいません.つまり,選手個人の「最高レベルでの試合経験と能力」という意味では,ブラジル代表は日本代表とは最初から明らかな「個の実力差」があるのです.私が驚いたのは,それに今更「痛感した」と発言した点です.ブラジルとの客観的な実力差は,当然最初から分かっているべき事実だと思います。

さて,ここに一つ重大な問題があります.実は,日本人選手で今年のCLの決勝トーナメントに、チームのレギュラーとして出場していた選手がいました.ポルトガルリーグに属するスポルティングに所属する守田英正は,森保監督の招集した日本代表に選ばれませんでした

守田は単に「欧州組」だったのではなく、スポルティングの中盤レギュラーとしてCL決勝トーナメント、しかも準々決勝アーセナル戦に出ていました。スポルティングはリーグフェーズ7位でラウンド16にストレートインし、そこから準々決勝まで進出していました。守田は準々決勝1stレグで先発し、右ボランチでフル出場しています。さらに2ndレグでも先発して77分まで出場しています。これは日本代表内でも極めて希少な実績です。

敗退後に語られた「個の力」「試合を変える力」「最高レベルでの経験」という観点からすると、守田はまさにその不足を補う側の選手でした。Reuters記事もアジア勢全体について、組織力はあるが試合を変える個の質が足りなかったというトルシエ氏の見方を紹介し、さらに「欧州トップリーグで戦う層の厚さや最高レベルでの経験」が差になったと整理しています。

その意味で、これは単なる結果論ではないと思います。メンバー発表時点でも、サッカーダイジェストは「今季のチャンピオンズリーグ準々決勝にスタメン出場した選手がメンバー落ちというのはやはり驚き」と明記していましたし、守田がアジア最終予選では主軸級だったことにも触れています。

もちろん、森保監督側の論理も分からないわけではありません。鎌田大地と佐野海舟のダブルボランチを軸にし、田中碧の汎用性、遠藤航の経験、さらに板倉滉・瀬古歩夢のボランチ兼任で足りると見たのでしょう。実際、監督は板倉や瀬古をボランチの代替オプションとして挙げています。

しかし、ここがまさに問題です。本職の中盤でCL準々決勝を経験している選手を外し、非常時にはCBのボランチ起用で補えると考えた。これは、世界最高レベルの試合で必要になる「中盤で時間を作る」「相手の圧力を受けて前進する」「押し込まれた時に試合を落ち着かせる」という能力を、かなり軽く見積もった判断だったように見えます。

実際、遠藤離脱後に守田ではなく町野修斗を追加招集した判断については、Reutersも「スポルティングの守田という同タイプの選択肢ではなく町野を呼んだことは判断ミスと見られ得る」と書いています。日刊スポーツも、闘莉王氏の「守田を連れてきたら後半にもう少しボールに触れて押し返せたのではないか」という指摘を紹介しています。

森保監督とチームスタッフのコンディション評価やチーム内での適合性を知る必要がありますが、外部から見える情報だけで評価すれば、少なくとも“選考上のリスク管理ミス”であり、“世界基準の経験値を持つ本職MFを軽視した致命的なミス”だった可能性は高いと思います。

しかもこれは、守田を入れていればブラジルに勝てた、という単純な話ではありません。問題は、敗退後に「能力不足」を言うのであれば、その能力を最も客観的に証明していた選手をなぜ26人に入れなかったのか、という選考思想そのものです。ここは、かなり厳しく検証されるべき点だと思います。「ワールドカップはキリンカップとは違う」と,どこかの記事にも書かれていました.

私は,日本代表の次期監督には,CLにチームを率いた経験と実力のある監督とそのスタッフを招へいすることが必要だと考えています.

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集