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刑事司法が16歳の少女の命を奪った

16歳の死が問いかける人質司法

https://news.yahoo.co.jp/articles/ac6037e76faa10467a376c1f8b6c025416a95304

 母が運営する障がい者福祉施設で懸命に働いていた16歳の少女
 障がい者支援に力を注ぐ母の背中を見て、少女もまた、ひたむきに支援をしていた

 施設でのバレンタインイベントで、自傷他害傾向のある重度の障がいをもつ利用者が、自分の指を噛み、さらに他の利用者にも噛みつこうとした
 少女はそれを止めようと、利用者のあごに何度か手を添えた
 少女は、施設の利用者たちを守ろうとしただけ

 なのにその4か月後、少女は、「スタッフと共謀して、手であごを複数回手のひらで押さえつけた」という暴行罪で突然逮捕された

 その証拠は、イベントに参加していた別の障がいをもつ利用者が、ある手続きで自治体の職員と話した際に発言した「あれは虐待ではないか」という供述のみ
 
 「被害者」とされる方にケガはなく、被害の訴えもなく
 
 暴行を映す防犯カメラは存在せず

 イベントには30名近く参加していたが、警察検察は、他の誰からも聞き取りをせず

 施設を捜索もせず
 イベントを撮影した写真や記録を差し押さえて精査することもせず

 「あれは虐待ではないか」というその供述のみで

 16歳の少女を逮捕した
 
 少女は身の潔白を訴え続けたが
 勾留された

 16歳は、原則、勾留に代わる観護措置で、少年鑑別所に収容される
 身柄拘束期間は10日間のみで、延長はない
 
 「やむを得ない事由」がある場合に限り、勾留が認められるが
 その事由は、①重大事件、②関係者多数で複雑、③鑑別所が遠い
 
 少女の事件はどれも当てはまらなかったのに
 検察は勾留請求し、裁判所は許可をした

 少女は身の潔白を訴え続け
 少女の母親や弁護団は、障がい者福祉施設での支援の実情や、イベント時の記録など大量の資料を提出し、少女の行為の正当性を訴えたが

 検察は勾留延長を請求し、裁判所は勾留延長を許可した
 
 裁判所は、弁護団の不服申立を全て却下した

 少女は接見禁止もつけられ
 母親とも引き離され
 孤独と絶望と不安の中に叩き落された
 
 「本当はやったんだろう 正直に言え」
 「施設をつぶしたいわけじゃない お母さんを困らすな」
  過酷な取調べが続いた
 
 少女は重篤な急性ストレス障害(ASD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症
 摂食障害になり、食事が摂れず
 勾留18日間で体重が10キロ減り、27キロとなり
  警察署で倒れ
 しかし対処療法のみで、必要な医療措置も採られなかった
 
 処分保留で釈放され、数日後には不起訴にされた
 少女は家庭裁判所に送致されていない
 それは、不起訴の理由が「起訴猶予」ではなく、「嫌疑なし」又は「嫌疑不十分」ということ
 
 少女は、釈放時、すでに衰弱していて
 車椅子でしか移動することができず

 身に覚えのないことで、突如逮捕・勾留され、家族と引き離され、過酷な取調べを受けた恐怖に襲われ続け
 毎日「怖い、やめて」と叫び、うなされ
 家族まで犯罪者と思われた、ごめんなさい、と言って泣き

 身に覚えのないことでまた逮捕されるかもしれないという極度の不安から、母のそばを離れることができず
 「ママ、大好き」と言うのが精一杯で

 食べ物も飲み物も身体が受け付けず
 食べようとしても体に吸収されず、吐き続け

 体重は20キロまで減り
 昨年12月、命を落とした
 
 本日、少女の母親が、警察検察の違法逮捕、勾留、取調べなどを訴え、国と兵庫県を提訴し、弁護団とともに会見をした

 母親は、少女の釈放後、少女を連れて何度も警察に足を運び、なぜこのようなことが起きたのかを説明してほしいと求めた
 
 少女に謝ってほしかった
 日々衰弱していく少女に、生きるための力を与えてほしかった
 
 しかし、警察は「事件は終わった」と、何の説明もしなかったという 
 
 母親は会見で訴えた
 「娘の人生は輝いていた
  娘の夢が、未来が、奪われた
  毎日が辛い、ずっとこの日々を送り続けなければならない
  なぜこのようなことが起きたのかが理解できない
  もう二度とこのようなことが起きないように真実を明らかにしてほしい
  警察検察は間違ったことを素直に認めて、謝ってほしい
  子どもたちが安心して生きられるようにしてほしい」

 しかし検察は不起訴の理由すら説明しないという
 
 私は、縁あって、この会見に参加し、母親や弁護団の訴えを聞いた
 
 私は、この8年間、検事正始め、同僚や上司、検察組織からの様々な被害を経験し
「これ以上検察の犠牲者を出したくない
人権意識のない検察に第三者委員会の検証を
市民国民を正しく守る検察に変えてほしい」
 と訴え続けてきた

 でも検察は一切応えなかった
 
 その最中、16歳の尊い命が奪われた
 
 母親の訴えを聞きながら、悔しくて、悔しくて、涙が溢れた

 検察に与えられた巨大な権力は、市民国民を守るためにある
 検察が向き合うのは、人だ
 モノでも、記号でもない
 血の通った人間だ

 捜査はゲームではない
 証拠がなくても、自白を得たら「勝ち」なのではない
 客観捜査を尽くして尽くして、たくさんの人たちからしっかり話を聞き、その裏付けを得て、証拠を積み重ねていかなければならない
 
 検察の一つ一つの判断が、市民国民の生命に、人生に、安全に大きな影響を与える
 だから、驕らず、謙虚に、思いやり、寄り添い、信頼関係を築き、向き合っていかなければならないのだ
 
 人権意識の欠如
 違法杜撰な捜査
 組織的な隠蔽
 
 そんなもので、市民国民の大切な生命を、人生を、安全を奪わないでほしい
 
 「自由を返してほしい」
 少女のノートに残された言葉
 
 検察を変えなければ

 私のような被害者を出したくなかったのに
 だから闘い続けてきたのに
 
 検察を変えなければ

 お願い
 もうこれ以上、犠牲者を出さないで
 
 お願い
 もうこれ以上、誰も傷付けないで
 
 どうか声を
 みなさんの声を束に
 
 届けなければ
 
 苦しい
 怖い
 一歩進んだと思ったら、崖から突き落とされる
 
 検察を変えなければ
 私たちを正しく守る検察に変えなければ
 絶対に

 子どもを抱き締めながら
 
 16歳の少女と家族を想いながら

 心に誓う

ひかり