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自己紹介|福祉を、施設から地域と社会へひらく。――いま考えていること、やっていること


改めて、自己紹介を書いてみようと思います。
釘宮謙悟(くぎみや・けんご)です。

大分県で、社会福祉法人博愛会の副理事長をしながら、現在は障害者支援施設「第二博愛寮」の施設長をしています。

福祉の仕事を始める前は、東京のテレビ局「TOKYO MX」で約10年間働いていました。

そんな私ですが、最近は「何をしている人ですか?」と聞かれると、自分でも少し説明が難しくなってきました。

入所施設のことを考えていたと思ったら、YouTubeを撮っている。

採用の話をしていたと思ったら、古い宿場町でレストランや甘味処をつくっている。

「親なきあと」や看取りについて考えていたと思ったら、建築やデザインの話をしている。

大学の先生たちと研究の話をしたり、財団や行政の方々とこれからの障害福祉について議論したり、全国の福祉関係者の前でお話しする機会をいただいたり。

自分でも、いろいろ頑張っているなと思います(笑)

でも、バラバラに見えるこれらの活動は、私の中ではすべてつながっています。

福祉を、施設の中だけで終わらせたくない。

そして、

一人ひとりが、その人らしく生きられる社会をつくりたい。

結局、ずっと考えているのは、そのことなのだと思います。

このnoteでは、福祉の現場で考えたことや、施設づくり、人材育成、採用、デザイン、地域づくり、そして日々いろいろな場所を訪れて感じたことを書いています。

初めてこのnoteを読んでくださった方にも、「釘宮謙悟という人間が、何を考えて何をやっているのか」が少し伝わるように、改めて自己紹介を書いてみたいと思います。


テレビ局から、福祉の世界へ

私は1979年、大分県に生まれました。

大学進学を機に東京へ出て、青山学院大学法学部を卒業。その後、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)に入社し、約10年間テレビの世界で働きました。

そして2013年、故郷の大分へ戻り、祖父・父の代から続く社会福祉法人博愛会に入りました。

テレビと福祉。
一見、まったく違う世界です。

でも、今振り返ると、テレビ局で働いた経験は現在の仕事にかなり影響しています。

同じ出来事でも、どう切り取り、どう言葉にし、どう見せるかによって、人の受け取り方は大きく変わる。

つまり、
「何をやっているか」と同じくらい、「どう伝えるか」が大切だ
ということです。

福祉の世界に入って、私は驚きました。

現場には、本当に面白いことがたくさんありました。

利用者さんの人生が変わる瞬間。
職員が成長する瞬間。
地域の人と福祉がつながる瞬間。

ものすごく価値のある仕事なのに、その魅力が社会に十分伝わっていない。

だったら、自分たちで伝えればいい。

私がSNSやYouTube、note、デザインにこだわる原点は、たぶんここにあります。


「人の喜ぶ顔を見て喜びなさい。」

博愛会には、創設以来、大切にしてきた法人理念があります。

「人の喜ぶ顔を見て喜びなさい。」

とてもシンプルな言葉です。
でも、私はこれこそ福祉の本質ではないかと思っています。

誰かが喜ぶ。
その姿を見て、自分もうれしくなる。

その喜びを見た別の人も、「自分も何かやってみよう」と思う。
やさしさが、次のやさしさを生んでいく。

だから私たちは、博愛会の目標として、
「やさしさ日本一の社会福祉法人」
を掲げています。

もちろん、「日本一」を測るランキングがあるわけではありません(笑)

大事なのは、そこを本気で目指すことです。

では、やさしい福祉とは何でしょう。
私は、「何でもしてあげること」ではないと思っています。

むしろ、
その人が自分の人生を自分で選ぶことを、どこまで応援できるか。

そこに、やさしさの本質があるように思います。


「施設も悪くない。悪いのは施設性だ。」

障害福祉の世界では、長い間「脱施設化」が議論されています。

できるだけ施設ではなく、地域で暮らす。
その方向性そのものには、私も賛成です。

一方で、現場にいると、それだけでは語れない現実も見えてきます。

障害が重い方。
医療的な支援が必要な方。
高齢になった方。
家族だけでは支えきれなくなった方。
「親なきあと」を迎える方。

入所施設という選択肢を必要としている人は、今も確実にいます。

だから私は、こう考えるようになりました。

施設も悪くない。悪いのは「施設性」だ。

私が問題だと思っているのは、建物としての「施設」ではありません。

みんな同じ時間に起きる。
みんな同じ時間に食事をする。
外出するにもさまざまな制約がある。
本人の「やりたい」より、職員や制度の都合が優先される。
いつの間にか、暮らしている人ではなく、支援する側の都合によって生活が決まってしまう。

私は、こうした状態を「施設性」と考えています。

逆に言えば、
施設性を減らすことができれば、入所施設だってもっと普通の暮らしに近づけることができる。

だったら、施設をなくす議論だけではなく、
施設そのものを楽しく変える挑戦があってもいい。
それが、私が考える「次世代型入所施設」の出発点です。


「たのしい入所」をつくりたい

現在、私は第二博愛寮で、「たのしい入所」を一つのテーマにしています。

入所施設では、安全を守ることが非常に重要です。

事故を起こさない。
転倒させない。
トラブルを起こさない。
もちろん、どれも大切です。
でも、それだけで人生は幸せなのでしょうか。

少しくらい失敗するかもしれない。
多少リスクがあるかもしれない。

それでも、
「行ってみたい」
「食べてみたい」
「会ってみたい」
「やってみたい」
という気持ちを大切にする。

私は、安全性だけではなく、幸福度も考える福祉にしたいと思っています。

第二博愛寮では、全室トイレ付きの個室やユニット型の暮らし、ノーリフティングケアなど、新しい設備や技術も取り入れています。

でも、それらは目的ではありません。

テクノロジーによって職員の時間を生み出し、その時間を、
人と向き合うために使う。
そこが一番大切だと思っています。


「やりたいことリスト」から始まった

第一博愛寮で施設長をしていた頃から、大切にしてきた取り組みがあります。

「やりたいことリスト」です。

難しいものではありません。

利用者さんに、
「何がしたいですか?」と聞く。
ただ、それだけです。

旅行に行きたい。
釣りがしたい。
昔住んでいた場所へ行きたい。
好きなものを食べたい。
家族に会いたい。
一見すると、福祉の専門技術とは関係ないように見えるかもしれません。

でも、私はここに福祉の本質があると思っています。

福祉関係の支援者は、どうしても、
「この人にはどんな支援が必要か」を考えます。

でも、
「この人は、何をしたいのか」
は、まったく別の問いです。

この違いは、とても大きい。

意思決定支援とは、本人に「どうしますか?」と聞くだけではありません。

自分の気持ちに気づく意思形成支援
それを周囲へ伝える意思表明支援
そして、その思いを実際の暮らしにつなげる意思実現支援
ここまでやって初めて、意思決定を支援したと言えるのではないかと思っています。


「やりたいこと」の先に、人生の最期があった

やりたいことを聞き続けていると、自然とその先の問いにぶつかります。

「では、この人は人生の最期をどう過ごしたいのだろう。」

障害のある方も年齢を重ねます。
親御さんも年齢を重ねます。
そして、いつか必ず別れが来ます。

だから現在、私は「親なきあと」やACP、エンディングノート、看取り・終焉支援について考えることが増えました。

ここでも考え方は同じです。

人生の途中だけ本人の意思を大切にして、最期になった途端に医療や施設の都合だけで決めるのは、やはり違うと思うのです。

どこで過ごしたいのか。
誰といたいのか。
何を大切にしたいのか。
どんな最期を迎えたいのか。
元気なうちから、少しずつ一緒に考えていく。

私は、
「暮らしの延長としての看取り・終焉支援」
を実現したいと思っています。

看取りのための特別な場所をつくるのではなく、
昨日まで暮らしていた場所で、今日もその人らしく暮らし、その延長に人生の最期がある。
そんな福祉ができないだろうか。

現在構想している次世代型グループホームでも、大きなテーマになっています。


なぜ福祉施設長がYouTubeをやるのか
私はSNSでかなり発信します。
YouTubeショートを撮り、Facebookを書き、noteも書きます。

「施設長なのに、よくそんなことをやりますね」
と言われることがあります。

でも、私の中では施設運営と広報は別物ではありません。

良い支援をしていても、知られなければ人は集まりません。

人が集まらなければ、採用できない。

採用できなければ、良い支援を続けることも難しくなります。

だから、
良いことをすることと、良いことを伝えることはセット
だと思っています。

博愛会では、SNSやYouTube、デザインを活用しながら採用活動にも取り組んできました。

福祉だから仕方ない。
人が来ないから仕方ない。
若い人は福祉に興味がない。
そう決めつけるのではなく、
福祉そのものの見せ方を変えてみる。

私はこれも、福祉を変える一つの方法だと思っています。


デザインは「おしゃれにすること」ではない

私は、建築やグラフィック、ネーミング、空間づくりなどにもかなり興味があります。

全国を歩いていると、福祉以外の場所からヒントをもらうことがよくあります。

ホテル。
サウナ。
美術館。
飲食店。
公共施設。
商店街。

面白い場所を見つけると、
「これ、うちの法人でできないかな」
と考えてしまいます。

なぜなら、デザインとは単におしゃれにすることではなく、
人の行動を変えること
だと思っているからです。

入りたくなる。
話したくなる。
働きたくなる。
参加したくなる。
誰かに教えたくなる。
そんな気持ちを生み出すこともデザインです。

福祉は制度として正しくても、人が入りたいと思わなければ地域にはひらかれません。

だから私は、福祉にもっとデザインの力を入れたいと思っています。


福祉で、宿場町をもう一度面白くする

そして今、関心は施設の外へも広がっています。

大分県竹田市久住町。

かつて肥後街道・豊後街道の宿場町として栄えた「久住宿」で、博愛会は地域再生に取り組んでいます。

農家レストラン「山田や」
甘味処「白丹屋」
そして、地域の人が自由に集まるコモンズ「茶論自由堂」

これらは福祉施設であると同時に、地域の場所でもあります。

障害のある人が働く。
地域のおばあちゃんがやってくる。
子どもたちが立ち寄る。
観光客が食事をする。
そこでは、誰が「福祉を利用する人」で、誰が「支援する人」なのか、境界がだんだん曖昧になります。

私は、それでいいと思っています。

むしろ、
福祉が地域の日常に溶け込んでいく。
それこそが、本当の意味での地域共生なのかもしれません。

福祉は、支えられるだけの存在ではありません。

福祉には、街を動かす力がある。
私たちは久住で、その可能性を実験しています。


最近、「プロデューサー」という言葉が気になっている

最近、自分の仕事を考えるときに、「プロデューサー」という言葉がしっくりくるようになりました。

自分一人で何でもできるわけではありません。
むしろ、できないことだらけです。

でも、
面白い人を見つける。
面白いアイデアを見つける。
それと別の人や場所をつなぐ。
「これとこれを組み合わせたら面白いんじゃないか」と考える。
そして、一緒に形にしていく。
私は、こういうことが好きなのだと思います。

福祉の現場。
行政。
大学。
企業。
財団。
建築家やデザイナー。
地域の人。
そして利用者さん。

本来、別々の世界にいる人たちをつなぐことで、これまでになかったものをつくる。

だから最近、自分のことを、
「ソーシャルワーク・プロデューサー」
と表現することがあります。

ソーシャルワーク・プロデューサーとは何なのか。
まだ自分でも完成した答えを持っているわけではありません。

ただ、
目の前の一人を支えることと、社会の仕組みを変えることを分けない人
なのではないかと思っています。

施設から、地域へ。そして社会へ。
振り返ってみると、私の仕事は少しずつ外へ広がってきました。

一人の利用者さんの「やりたい」。
そこから、施設のあり方を考えるようになった。

施設を考えていたら、職員や組織のあり方を考えるようになった。

組織を考えていたら、採用や発信を考えるようになった。

発信を考えていたら、デザインに興味を持った。

そして福祉を地域へひらいていったら、まちづくりまで始まった。

でも、出発点はずっと同じです。
目の前の人が、どうすればもっと幸せに生きられるのか。
そこから考えているだけなのだと思います。

これからつくりたい社会
私は、施設をなくしたいわけではありません。
施設をもっと暮らしに近づけたい。

福祉を特別な世界にしたいわけでもありません。福祉をもっと地域の日常にしたい。

障害のある人も。
高齢者も。
子どもも。
外国から来た人も。
地域で暮らす人も。
それぞれが少しずつ力を出し合いながら、誰かの「やりたい」を応援できる。
そんな社会をつくりたいと思っています。

完璧な安全だけを目指すのではなく、挑戦できる社会。

困ったときに誰かとつながれる社会。

人生の最期まで、自分のことを自分で決められる社会。

そして、
人の喜ぶ顔を見て、自分もうれしくなれる社会。

福祉には、その社会をつくる力があると思っています。

だから私はこれからも、
施設をつくり、
人を育て、
発信し、
デザインし、
人と人をつなぎ、
ときには街までつくっていくのだと思います。

肩書きは、あまり重要ではないのかもしれません。今のところ、自分を一番近く表すとすれば、

福祉を、施設から地域と社会へひらこうとしている人。

そして、

福祉の力で、社会をもう少しやさしく、もう少し面白くしたい人。

そんな人でありたいと思っています。

やさしさ日本一の社会福祉法人を目指します

プロフィール
釘宮 謙悟(くぎみや・けんご)
1979年、大分県生まれ。青山学院大学法学部卒業後、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)に約10年間勤務。2013年、社会福祉法人博愛会に入職。
現在、社会福祉法人博愛会 副理事長・第二博愛寮施設長。
社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師。
障害者支援施設の運営を軸に、「次世代型入所施設」「意思決定支援」「やりたいことリスト」「親なきあと」「ACP・看取り・終焉支援」などの実践に取り組む。
また、SNS・YouTube・デザインを活用した採用・広報、人材育成、就労支援、大分県竹田市久住町での旧宿場町再生など、福祉を起点とした地域づくりにも取り組んでいる。
「施設も悪くない。悪いのは施設性だ。」を一つのテーマに、福祉を施設の中だけで完結させず、地域や社会へひらく実践を続けている。
社会福祉法人博愛会の理念「人の喜ぶ顔を見て喜びなさい。」を大切に、「やさしさ日本一の社会福祉法人」を目指している。

みんなでワイワイやろうぜ!

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釘宮謙悟 「やさしさは、社会を面白くする。」そんな実践を発信していきたいと思っています。いただいた応援は、取材や書籍購入など次の発信のために活用させていただきます。

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