裸ガット弦を取り寄せる。〜弦の話 その2
みなさん、こんにちは。名古屋を拠点に、音楽活動をしているヴィオラ弾き、竹内賢司です。
前回の記事で、ガット弦は温度や湿度の変化により切れやすく、梅雨から夏の時期はいつも恐る恐る楽器のケースを開けると書きました。
その記事を投稿直後のこと。ヴィオラのケースを開けたところ・・・

やられました。一番高い音がするA線が無惨にも切れていました。
元々ガット弦はナイロン弦やスチール弦より値段が高いのですが、このところの物価高騰と円安のダブルパンチでさらに価格が上がっています。
あるサイトでは、定価7590円(1本ですよ!)。3割引で5313円。痛いです・・・。
さて、気を取り直して、今回も弦の話です。
あっちゃん(酒井淳くん)からアドバイスをもらう。
酒井淳という名古屋出身のチェリストがいます。ご存知の方も少なくないと思います。
彼は現在、フランスを拠点にして、ヨーロッパで活躍しています。
バロックチェロのスペシャリストとして知られています(モダンチェロも弾きます)。ヴィオラ・ダ・ガンバも弾きますし、指揮もしています。
実は、1985年の2回目の東ドイツ旅行の時、彼も参加していました。彼は小学生、私は高校生でした。
東ドイツ演奏旅行については、この記事をご覧ください。
酒井くん、いや、彼は今も昔もあっちゃんと呼ばれているので、ここではあっちゃんと書きます。
それ以来、あっちゃんとはとても仲良くなりました。
彼はその後、メキメキ頭角を現し(そもそも、小さい時から魅力的なチェリストだったんですが)、上記のように国境を超えて活躍する音楽家になりました。
出世しても彼は全然えらぶらず、昔通り付き合ってくれます。
ある時のこと。フランスから名古屋に帰ってきたあっちゃんとアンサンブルを楽しむ機会がありました。
その際に弦の話になりました。
私が、裸ガットに興味があると言うと、彼はいろいろアドバイスをくれました。
裸ガットとは。
裸ガットとは、金属の巻線のないガット弦のことです。生ガットとか、プレーンガットということもあります。
これは、冒頭に書いた、先日切れたガット弦の画像です。

切れたところから、ガット(動物の腸を繊維にしてより合わせたもの)が白く見えています。その先に、アルミの巻線が伸びています。
私が使っている/使っていた、オイドクサとかオリーブという弦は、このようにガットに金属を巻いたものです。
裸ガット弦を薦められる。
あっちゃんは、興味があるなら一度裸ガット弦を使ってみてはどうかと薦めてくれました。
裸のガット弦を使うと、弦楽器の弾き方が分かるんだと彼は言います(すごい話ですね)。
いずれスチール弦やナイロン弦に戻ったとしても、その経験が役に立つのだそうです。
興味があるなら、いい弦を売っている店を紹介するということでした。
彼が紹介してくれたのは、フランスの楽器店でした。
裸ガット弦を取り寄せる。
フランスの楽器店といっても、そこには日本人の楽器製作者が勤めていました。
そこで、この製作者とEメールでやり取りをすることになりました。
私はヴィオラでの本番が多く、音程が不安定で切れやすい裸ガット弦を使うのには不安がありました。そこで、本番の少ないヴァイオリンに裸ガット弦を張ることにしました。
さて、ここでまず最初の選択がありました。羊の腸の弦か、牛の腸の弦か。
ガット弦といえば羊の腸から作った弦のことだと思っていたので、そんな選択があることにまずびっくり。
そもそも、羊の腸と牛の腸、どんな違いがあるのかもわかりません。
あっちゃんによれば、牛の腸は丈夫で切れにくい(といっても、あくまで羊と比べてです。スチールやナイロンと比べたら、ずっと切れやすいです)、羊の腸は音がいい、とのこと。
牛か、羊か。

どうせ試すなら、いい音のものを、ということで羊を選びました。
そのメーカーの弦では、G線用の裸ガット弦はないとのことだったので、E線、A線、D線用の弦を買うことにしました。G線はこれまで通り、オイドクサのG線を張ることにしました。
といっても、それまで張っていたオイドクサやオリーブと違い、「ヴァイオリン用E線」として売っている弦はありません。様々なゲージ(太さ)の弦があり、自分でどのゲージの弦にするのか選ばなくてはいけませんでした。
といっても、初めての裸ガット弦、どのゲージがいいのか見当もつかないので、日本人の楽器製作者さんに、適当に見つくろって送ってもらうことになりました。
支払いは、クレジットカードです。
そして何日かのち、ついに我が家に、ヴァイオリンの裸ガット弦が送られてきました。
裸ガット弦を手に入れる。

見た目は細めのパスタに似ています。表面はざらざらしています。
2本分の長さがあるので、まず最初にハサミなどで半分の長さに切ります。

弦をハサミで切るなんて!
市販の弦しか使ったことがない弦楽器奏者(=当時の私)にとっては、衝撃です。
ガット弦は羊の腸を繊維状にして、より合わせて作ったもの。切った所からほどけていってしまうので、火で少しあぶって、ほどけないように固めます。

弦をハサミで切った上、さらに火であぶるとは!まるで焼肉です(確かに、材料は牛や羊ですが)。それまでの常識が吹っ飛びます。
普通の弦では、ペグ側とテールピース(緒止め)側が決まっていますが、裸ガットには特に方向というものはなく、どっち側をどちらに結んでも構いません。

普通の弦と違って、テールピース側に弦が抜けないような処理がされていないので、ちょっと手間をかけます。
弦の片方でループ(輪っか)を作るのです。もやい結びみたいな感じ。

これをテールピースに通すわけです。
ヴァイオリン歴ウン十年だった私は、この作業を通して初めて、正しい弦の止め方を知ったのです。
長くなってきました。続きはまた、次回。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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コンサートのご案内
レクチャーコンサート 「ヴィオラで聴くバッハ」 Vol.1
10月12日(月・祝) 午後2時開演
スタジオ・フィオリーレ(名古屋市中村区)
プログラム J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲 第1番・第2番
詳細未定
6月28日の公演と同内容です。
レクチャーコンサート 「ヴィオラで聴くバッハ」 Vol.2
2027年1月31日(日) 午後
スタジオ・フィオリーレ(名古屋市中村区)
プログラム J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲 第3番・第4番
詳細未定
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