【日本からの人材流出—危機ではなく、新たな可能性を生む流れとして】
By Katsuyuki Tsukada / Vision Planner
ベンチャー経営者間の議論と進化
Vision Planner社長会は4年目を迎え、これまでシードラウンドの支援に注力してきました。しかし近年、2ndラウンドに進んだ企業や、100年以上の歴史を持つ伝統企業が「第2創業」として新規事業に挑むケースが増えています。こうした企業との対話を通じて、戦略的な会議だけでなく、自由度の高い雑談形式の議論が、新たなアイデアや潜在的なチャンスを引き出す重要な場となることを実感しています。
特に30,40代を中心とする世代から、海外での起業への関心が急速に高まっています。実際、複数の企業が海外での事業設立準備を進めており、今年の春には本格的なスタートアップを立ち上げる動きが見られます。これを受け、私たちはNOTEを活用し、新規事業開発の現場を記録・共有するプロジェクトを開始しました。この活動を通じて、海外でのスタートアップの実態や、それらを進めるドタバタも含め、そこから浮かび上がる日本人のグローバル化の課題と可能性を掘り下げていきます。
【海外でのスタートアップ増加—流出ではなく「価値の再配置」】
この現象は「日本の衰退」や「頭脳流出」としてネガティブに語られることが多いですが、実際にはそれ以上に多くの可能性を秘めた現象です。
起業を決心した人たちは何らかの形で海外での生活や仕事の経験を持っている方が多く、特に、彼らが持つ文化的背景やネットワークは、日本企業にはない独自の目線を生み出す可能性が高いと思われます。
彼らは、「なぜそうするのか」という問いに明確な答えがまとまっているわけではありません。しかしながら、ただの無謀でなく、それでも踏み込む何かを感じ取っているからです。
日本の未来、自分自身の未来を感じ、挑戦する意志と可能性への確信が存在します。
【日本人起業家が持つ独自の強み】
1.日本市場との接続性
日本の顧客層に強いリーチを持ちつつ、現地でのアカデミック機関や研究開発体制と連携し、現地ニーズに即したプロダクトやサービスを展開していく戦略を持ちます。これにより、日本国内での事業運営よりも効率的で、成功率の高いビジネス展開が可能と想定しています。
2.収益モデルの多極化
現地の文化や市場に根ざした収益モデルをシミュレーションしていきますと単調なビジネスプランよりもむしろ現地の文化に根ざしたプロダクトやサービスの開発、そして多極化した収益モデルは、日本国内で進めるよりもストレスが少なく、成功確率が高い仮説設定を確保できる点が特徴です。
【「逆流する価値」の活用】
人材流出は一見ネガティブに見える現象かもしれませんが、それを新たな可能性として捉えることができれば、海外で培った知識や経験は、日本企業にとって新たな事業機会を創出する資源となり得ます。例えば、日本企業が海外で活躍する日本人起業家と連携することで、グローバル市場における新たな成長の道筋を切り開ける可能性があります。これらの日本人起業家が海外で培った経験や知識は、国内に還元されることでさらなる価値を生み出します。特に、日本企業が海外で活躍する日本人ネットワークと連携することで、新たな事業機会や市場の可能性を見出すことができます。この「逆流する価値」を活かすことが、日本の競争力向上に繋がります。
【ラグビーワールドカップモデル—多角的な能力の融合が生む新たな形】
多角的な能力を活かしたチーム形成
私は、日本からの人材流出を「危機」と捉えるのではなく、世界的な多彩な能力を活かした新たなビジネスモデルの構築へと発展させることを目指しています。その一つのインスピレーションが、ラグビーワールドカップの日本代表チームです。
ラグビー日本代表チームは、さまざまな文化的背景を持つ選手たちが結集し、それぞれの強みを活かして高いレベルで結束したチームワークを構築しています。このアプローチは、ビジネスの場でも同様に応用可能です。異なる文化やスキルセットを持つ人々が一つの目標に向かって協力することで、独自性と戦略的柔軟性が生まれ、国際市場での競争力が向上します。実のところ何よりも日本の伝統や文化的な背景を基盤とすることに強みを見出します。異なる文化やスキルセットを持つ人々が一つの目標に向かって協力することで、独自性と文化的戦略的柔軟性が生まれ、国際市場での競争力が向上します。これは昭和型日本企業モデルとは別物でしょう。
「グローバルタレントハブ」の構築
このモデルをビジネスに応用し、私たちは「グローバルタレントハブ」組成を準備しています。このハブは、日本企業が世界中の優秀な人材と共創し、国際市場での成長を加速させるための基盤を提供することを目指しています。
私からこのコンセプトに限定しニュースリリースを行ったところ多くの共感メールを頂きました。リリース文 https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/99619
多彩な能力を受け入れる企業文化モデル
日本企業の課題として、しばしば「賃金の停滞」や「円ドルレートの影響」が挙げられますが、根本的な問題はそれだけではありません。日本の企業文化には、「トップ人材の将来に見合う報酬や待遇への抵抗感」が根付いています。この課題の背景には、「制度はだいたい整備されているが、経営者の意識が変わらない」という日本企業特有の問題があります。難しいですが、実際のケースを通して個人のスキルや創造性を最大限に活かす企業風土を作ることで、国内外の優秀な人材を引きつける環境を整える必要があります。
海外で活躍する日本人が得た知識や経験を国内に還元するプロセスを設計し、国内市場の活性化を図ります。日本の経営者は自らの社内的な経験値ではない自分より優秀な若い人を評価する覚悟が必要になります。
例えば、既にご存じの通り、シリコンバレーでは成果に見合った高額な報酬がスターエンジニアやクリエイターに支払われますが、日本企業では、優秀な人材を引き留めるためのインセンティブとそれ以前にそれらを評価するモデルを提供できない環境が生じています。この問題を解決するためには、以下の取り組みが求められます。
1.企業文化の変革
個人のスキルや創造性を最大限に引き出す企業風土を構築し、国内外の優秀な人材が活躍できる環境を整えること。
2.経営者の意識改革
日本の経営者は、自らの経験や価値観にとらわれず、自分より優秀な若い人材を評価し、受け入れる覚悟を持つ必要があります。
【「価値の逆流」を促進する仕組み】
グローバル人材との連携強化
日本国内外で活躍する人材と企業をつなぐネットワークを強化し、共創の場を提供します。海外で活躍する日本人が得た知識や経験を国内に還元するプロセスを設計し、国内市場の活性化を図ります。日本が人材流出を「価値の喪失」ではなく「成長の起点」として捉えるためには、個人のスキルや創造性を最大限に活かす企業風土モデルを考察し、社長会の拡張により国内外の優秀な人材を引きつける環境を整える必要があります。
このテーマでは、次回は、具体的な成功事例として、海外で活躍する日本人起業家へのインタビューを通じ、このテーマをさらに深掘りしていきます。社長会でのラウンドテーブルでも取り扱いますが、最近はオンラインで多言語の壁も無くなってきていますので、現地企業とのディスカッションを増やしていこうと思ってます。
