仕事とプライベートはきっちり分けるべきか?
仕事とプライベートはきっちり分けるべきでしょうか?
こんな問いを耳にすることがあります。
分けたい気持ちも、すごくよく分かります。私自身も以前は、分けたほうがスマートかと思っていました。
ですが、現実にはだいたい皆さん、ごちゃごちゃの、まぜこぜになっていくんですよね。私も断念しました。
さて、これって、悲観的なことでしょうか?
人が仕事と生活の境界線を失っていくプロセスを観察していると、だいたい次の3つのパターンに分かれます。
時間的に混ざり合ってしまう(忙しくて物理的に分けるのが難しくなる)
相互に影響しだす(仕事の不調が家庭に影響し、家庭の安定が仕事の成果を支える)
お互いに支え合うと気づく(分けるより、合わせたほうが合理的だと気づく)
私が見てきた優秀なエグゼクティブたちは、圧倒的にこの「3」に早く気づいていました。
1はネガティブな感じがします。2はフラット、3はポジティブですかね。
できれば3がいいなと私自身は思っています。
さて、少し私の経験をお話しします。
以前、仕事で使っているPDCAや改善の考え方を、そのまま家庭の話し合いに持ち込んだことがありました。
すると家族から「なんだか言い方が冷たい」「正論ばかり押し付けられている気がする」と、思いもよらない指摘を受けたのです。
最初は正直、イラッとしました。
ですが、冷静になって振り返り、指摘された言い方やコミュニケーションの不備を素直に直してみたのです。
そうしたら、家庭内の会話がスムーズになっただけでなく、なんと職場のメンバーとのコミュニケーションや会議の雰囲気まで劇的に良くなりました。
家庭での指摘が、結果として仕事のマネジメントや改善活動の精度を上げてくれたのです。もし仕事とプライベートをガチガチに分けていたら、この学びを得ることは絶対になかったはずです。
逆に、仕事の人間関係がプライベートの支えになっている例もいっぱいありました。(海外駐在生活でお世話になった仕事関係の皆さんには本当に感謝しています)
で、ここからとても考えさせられる事例にお話を飛ばしてみましょう。
コーチングの神様と称されるマーシャル・ゴールドスミス氏の著書『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』の中に、非常に興味深い調査が載っていました。
息を引き取る前の老人たちに取材をしている方がいるそうです。
「もし若い自分にアドバイスをするとしたらなにか?」
と尋ねると、こんなアドバイスが返ってくるそうです。
今持っているものをありがたく思い、楽しむこと(持っていないものを探し求めるのに夢中で、今あるものを楽しむ時間をかけなかった)
友達と家族を大切にすること(あなたのことを心にかけてくれる人を蔑ろにしない)
夢を追うこと(大切なのは「すべて実現させたか」ではなく「試したか」)
打って変わって、世界トップクラスの若い超一流エリートたちに
「もしあなたがこの会社にとどまるとしたら、なぜとどまるのでしょう?」と尋ねた回答の上位3つもほとんど同じだったのです。
意義ある仕事があり、幸せだから。仕事はエキサイティングで今やっていることが大好きだ。
会社の人が好きだ。彼らは友人だ。チームの一員だと感じることができる。家族のように感じられる。他所で他の人と働けばもっとお金を得られるかもしれない。だが、ここにいる人達を残していきたくはない。
私は夢を追うことができる。この組織は、私が人生で本当にしたいと思っていることをするチャンスを与えてくれている。
ここで注目してほしいのは、どちらの調査でも「お金」や「労働条件」の話は一切出てこないということです。
多くの方にとって「仕事とプライベートを分ける」というのは、
・仕事をお金を生む場所
・プライベートを幸福を感じる場所
として割り切ることではないでしょうか。
そうなると、仕事においては給料や条件といった面ばかりに注目するのが自然になるのではないかと思います。
ですが、実際に死が近づいた老人たちや、最前線で成果を出すエリートたちが言っているのは「本当に注目すべきはそこではない」ということです。
彼らはもちろん「仕事とプライベートを絶対に分けるな」とまで言っているわけではありません。だから、割り切って分ける生き方があってもいいのかもしれません。
ただ、もしそのために無駄な時間を費やしているとしたら、それは人生のターゲットを見誤ることになるのではないかと思うのです。
もし、なんとか分けようと無理をして、その間で「バランスを取らなきゃ」と帳尻合わせに時間を使っているなら、それは無駄ですよね。
あなたの人生は、帳尻合わせのためにあるのでしょうか?…そんなはずは無いですよね。
若い方たちがもし仕事とプライベートの線引きで悩んでいるなら、私は
「混ぜてしまってください。混ぜてしまったうえで、両方が支え合って、うまくいっているビジョンを持ってください。」
と言うことにしています。
無理に境界線を引いて調整に身を削るのではなく、本当にやるべきことに集中する準備をしてほしいからです。
最後に、同書、同著者からメッセージをご紹介して記事を締めたいと思います。
あなたの役に立つものだけを使い、それ以外のものは忘れなさい。
今日のサバイバルな気づき
仕事=お金、プライベート=幸福と分けるとか分けないとか、そんな事考えている余裕は人生にないぞ!
