髪を整える人、心を整える人
今日は、久しぶりに美容室へ行った。
以前から少し気になっていた「隠しツーブロック」。
管理職という立場もあり、派手になりすぎないだろうか。
自分に似合うのだろうか。
そんな迷いもあったけれど、思い切って美容師さんに相談してみた。
「最初はショックを受けないくらいの隠しツーブロックから始めましょう。」
その一言で、緊張がふっとほどけた。
今回の美容室は、髪型だけでなく、心まで整えてもらった一日になった。
私が通っている美容室は、個人経営の小さなお店だ。
カジュアルなアメリカンテイストの店内。
優しいBGMが流れ、天井近くの窓からは青空と木々の緑が見える。
穏やかな時間が流れ、美容師さんも自然体で話ができる雰囲気の方。
だから私は、「刈り上げに挑戦してみたい」という少し照れくさい話も、恥ずかしがらずに口にすることができたのだと思う。
安心できる場所では、人は少しだけ勇気を出せる。
そんなことを、改めて感じた。
私は看護管理者として療養病院で働いている。
当院にも訪問美容師さんが定期的に来てくださっていることから、自然と訪問美容の話になった。
すると美容師さんは、こんな話をしてくれた。
以前、介護施設で訪問美容を行っていた。
認知症の方、暴力行為がある方、寝たきりの方など、決して簡単な仕事ではなかった。
それでも、髪を整えていくうちに表情が変わり、女性は嬉しそうに笑い、時には会話まで生まれること。
そして最後に、こんな言葉を話してくれた。
「若い美容師さんは、一度そういった現場を経験した方がいい。」
その経験が、きっと将来の役に立つから。
私は、この言葉が胸に深く残った。
その瞬間、これは美容師という仕事だけの話ではないと思った。
看護も同じだ。
管理も同じだ。
技術は学べる。
知識も身につく。
でも、人の心が動く瞬間に立ち会う経験は、本や研修だけでは得られない。
現場で人と向き合い、「この仕事にはどんな意味があるのか」を考えた経験こそが、その人の理念を育てるのだと思う。
だから私は以前から、「指導者を疲弊させない組織をつくりたい」と考えている。
技術を教えるだけではなく、仕事の意味を感じられる環境をつくること。
それが、人を育てることなのだと思っている。
今日は髪型を変えに行った。
でも、持ち帰ったのは新しいヘアスタイルだけではなかった。
「人をきれいにする仕事」と「人を支える仕事」。
職種は違っても、その根底には共通するものがあることを、美容師さんは教えてくれた。
技術は、人をきれいにする。
そして信頼は、人に挑戦する勇気を与えてくれる。
私は今日、髪を整えてもらいながら、仕事への向き合い方まで整えてもらった気がした。
いい美容師さんに出会えて、本当に良かった。
