藤の花と焼きカレー| 大分市・南阿蘇 #79
4月下旬。春らしいぽかぽかしてすっきりとした青空の休日。前から一度行ってみたいと思っていた神社があり、阿蘇ツーリングのついでに寄り道していくことにした。
国道から細い住宅地の中を抜けていく、路地をさらに奥へ。車だとすれ違うのも大変な細い道の先に、目的の神社があった。
遠目から見ても、すぐにここだと分かった。
目的の西寒多神社に到着し、広めの砂利の駐車場の端に慎重にバイクを停めて、神社の入り口へ歩いていく。


神社へ渡る橋が、満開の藤の花で覆われていた。
きれいに咲き誇る花のトンネルの中を歩くのは、不思議な気分だ。川に向かって、垂れ下がる姿も風流だった。

順路がしっかりと区切られているので、それに従って歩いた。早朝だったので、まだお客さんもまばらで、写真を撮りながらのんびり進んでいく。


頭の上から垂れ下がる花を間近で観察してみる。
普段、色々な花を見に出かけるが、藤の花はやはり独特な咲き方をするなと思う。どうして、こんな咲き方をするように進化していったんだろう。
ほんのりと香る花の匂いと、耳元をブーンと通り過ぎるミツバチの羽音。春を謳歌している花の天井は、この時期にしか楽しめない、素晴らしい体験だった。


順路を外れて、川沿いに出てみると、今度はツツジが満開だった。ピンク色の大きな花を咲かせるツツジが、朝の柔らかい日差しに照らされてほんのり色付いている。
この時期は「藤まつり」と題して、夜のライトアップもしていて、かなりの人出で賑わうそうだ。花見といえば、桜が一番最初に頭に思い浮かぶが、鑑賞していて楽しいのは、藤の花も負けていないと思った。
細い路地を慎重に戻り、国道に出て一気に阿蘇まで向かう。国道57号の自動車専用道路を軽快に走っていく。
春先は早朝に走ると肌寒くて、ときにはグリップヒーターをONにして、指先が冷えないようにするくらいだったが、この日は朝からぽかぽかしていて走りやすかった。
目的のレストランの開店時間に合わせるために、途中の道の駅で長めの休憩も入れながら、のんびり阿蘇まで走った。
目的のレストランに到着したのは、ちょうど開店の11時だった。

レストランの駐車場に一番乗りしたので、邪魔にならないように端に寄せてバイクを停めた。南阿蘇にはたくさんの飲食店があるが、今日訪れた店はかなり人気店で、12時頃だと満席で入れないと聞いていたので、開店に合わせてやってきたのだ。

店内に入ると、店員さんに「席はどうされますか?」と聞かれた。店内とテラス席があるようだったが、ちょっと天気が良すぎたので、窓際の店内席にしてもらった。
イタリアンがメインのお店だが、カレーも人気らしい。メニューを眺めていると「焼きカレー」を見つけた。私はカフェで焼きカレーを見つけると、頼まずにはいられないのだ。
迷わず、焼きカレーと、めずらしくオレンジジュースを注文した。

木の板の上に乗せられた、グラタン皿にたっぷり入った焼きカレーが運ばれてきた。カレーのスパイシーな香りと、チーズが焦げた匂いが混ざり合って、お腹が鳴って恥ずかしかった。
猫舌なので、スプーンで掬って、ふぅふぅとしっかり冷ましたあと、ぱくりと一口食べた。洋風のビーフカレーは、しっかりと辛くて舌が痺れた。
しかし、たっぷりのったチーズと一緒に食べると、マイルドになって丁度良い。野菜や肉は小さく刻まれていて、食べやすかった。いわゆる飲めるカレーである。
辛さを中和するのに、オレンジジュースの酸味はちょうど良かった。いつもならアイスコーヒーを頼むところだったが、なぜか今日はオレンジジュースが飲みたいと思って注文したのだが、私自身に心の中で、グッジョブと叫んだ。
私が食事を楽しんでいる間に、次々とお客さんがやってきて、あっと言う間に満席になった。窓から見える阿蘇の山々は大変美しくて、まるで風景画を見ている気分だ。
もう少し余韻を楽しみたかったが、お店の前に行列が出来はじめていたので、食べ終わったらすぐにお会計をして外に出た。
何も停まっていなかった駐車場には、大きな車がぎゅうぎゅうになっていた。こういうときもバイクは気軽でいい。

南阿蘇をぐるっと一回りしてから家路に着いた。
枯草ばかりだった風景も、すっかり緑一色になり、空気も完全に春から初夏へと向かう温度になってきた。
これから梅雨に入るまでが、バイクにとっては最高の季節。晴れた日はできるだけ、相棒と一緒に出掛けよう。同じ道を走っても、同じ風景は二度と見られない。そのときだけの自然の表情を目に焼き付けた。
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