1月中旬に読んだ本──ミステリ小説尽くし。あと東京論。
1月中旬に読んだ本とメモ。ほぼミステリ小説ばかり。
『殺戮に至る病』 我孫子武丸
1月上旬から続くミステリ再読の流れのまま読んだ。笠井潔が我孫子武丸の最高傑作と評した作品。素晴らしい叙述トリックであるとともに、当時の世相を感じさせる。ネタバレになるのであまり詳しくは書けないが、人物の交換可能性がキーワードだ。
『都市のドラマトゥルギー』 吉見俊哉
主に浅草、銀座、新宿、渋谷という4つの盛り場に注目して江戸から続く東京の都市のあり方を論じる。勉強になった。相撲好きとしては両国がかつて大きな盛り場であり、死者と繋がる場所だったことが興味深かった。そう考えると「両国」という地名は「生の国」と「死の国」を結ぶ場所だから? と思って調べてみたら武蔵国と下総国にまたがる「両国橋」から来ていると判明。
『ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つか?』 笠井潔
1月上旬に読んだ『模倣における逸脱』が面白かったので読んでみた。こちらも良かった。しかし評論の本体とは別に衝撃的な展開が。この本はミステリ雑誌の連載が単行本化されたものなのだが、その連載中に発売された他の媒体での匿名座談会の内容に笠井が激怒。出版社に内容証明を送ったり、匿名の参加者の名前を明かしたり、やりたい放題の方向に発展していく。その怒りは笠井の主張の根幹に関わるものなので納得はするけど自由すぎる。
『占星術殺人事件』 島田荘司
ミステリ作家島田荘司の代表作。ある大胆なトリックで超有名。『金田一少年の事件簿』がこのトリックをパクっているわけだが、それが許された時代のゆるさがすごすぎる。いや、許されていないのか? それはひとまず置いておいて、改めて読んでみると戦時中の価値観を戦後の価値観で更新しようとする欲望が隠し味になっていると思った。
『月光ゲーム Yの悲劇’88』 有栖川有栖
有栖川有栖のデビュー作。新本格について理解するために読む。17人の大学生が山へキャンプに行き、火山の噴火に巻き込まれるとともに殺人事件が発生する。ストーリーの面白さとは別に、マーダーゲームという人狼ゲームっぽい遊びが出てくるところが印象的だった。
『大量死と探偵小説』 笠井潔
またしても笠井潔のミステリ論。『ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つか?』と被る内容もあるのだが、さらに理解が深まった。最近『虚構の時代の果て』を読んでおいたのも助けになった。
余談。
スマホの普及率と手袋の売れ行きは反比例している、はず。
