台湾人観光客、実は日本で一番お金を使ってる。それでもまだ「対策してない」は損しすぎる話。
まず、この数字を見てほしい
2026年1〜3月、観光庁が発表した訪日外国人の旅行消費額。
1位:台湾 3,884億円
2位は韓国の3,182億円、3位は中国の2,715億円。ちなみに去年の同期、中国は5,478億円でダントツ首位だった。それが今回50.4%も激減して3位に転落。一方で台湾は前年同期比+22.5%の伸びを見せて堂々のトップ。
この数字だけでも「台湾、すごいな」って思うんだけど、これがまだ入口なんです。

「1人あたりの支出」で比べると台湾は負ける。でも…
訪日外国人1人あたりの旅行支出を国別で見ると、フランス約40.8万円、オーストラリア約40.4万円、ドイツ約39.9万円と欧米が上位を占める。台湾は約19.5万円で、確かに低い。
「じゃあ台湾より欧米を狙えばいいじゃないか」って思うかもしれない。でもちょっと待って。
滞在日数を見てほしい。
フランス人の平均滞在日数は24.4泊。オーストラリアは14.5泊。対して台湾は6.2泊。つまり台湾人は6.2泊で19.5万円使う。1日あたりに換算すると約3.1万円/日。フランス人は約1.7万円/日。
1日単位で見ると、台湾人は欧米旅行者をはるかに超えている。「短い時間でぎゅっとお金を使う」のが台湾スタイルなんです。
訪日外国人数1位は韓国人でも、旅行消費額は台湾人が1位

それだけ台湾人の消費行動がすごいんです。グラフから見ると韓国人の訪日数と消費額と比較すると、台湾人と韓国人の1人あたりの消費額の差は、約 139,178 円で、結果、1人あたりの消費額で見ると、台湾人は韓国人の2倍以上の金額を日本で消費している計算になります。
さらにヤバいのが「リピーター率」という概念
台湾人観光客の約90%がリピーター(訪日2回目以上)。しかも4回目以上が約80%近くいる。2024年には年間で600万人の台湾人が日本を訪れた。コロナ前の過去最高だった489万人(2019年)を大きく超えて過去最高を更新。
つまりこういうことです。
台湾の人口は約2,300万人。そのうち年間600万人が日本に来る。割合にして約26%。4人に1人以上が毎年日本に来てる計算。しかも何度も来る。
1人の台湾人が生涯で日本に来る回数を仮に10回とすると(10回以上のヘビーリピーターも多くいる)、生涯消費額は195万円。これが600万人の市場。単純計算でも桁違いの市場規模です。
「台湾向けインバウンド施策」は、一見地味に見えて、実は最も効率よく、最も継続的に売上をつくれるターゲットなんです。
じゃあ何をすべきかを、自分なりに整理しつつ、追加しました。
① Googleマップの「繁体字」対応、本当に出来てますか?
これ、かなりの店が「英語対応してるからOK」と思ってる。違います。
台湾人は検索するとき繁体字で調べます。しかも店側の返信まで見る。低評価のレビューに店主がどう返答したかを確認してから来店を決める人が多い。「4.5点の壁」と言われてて、4.8〜4.9は「サクラじゃないの?」と疑われる。4.0〜4.7の範囲が「本物」として一番信頼される。
低評価に対して定型文じゃなく、具体的で誠実な繁体字の返信をすると、それ自体がSNSで「こんな誠実な店があった」と拡散されることもある。マイナスコメントが資産になる、という感覚が重要です。
ちなみに中国と台湾では同じ中国語を話しますが、書き文字が違います。中国は簡体字で台湾は繁体字です。ここはかなり重要で、簡体字だけで出しているお店には台湾人は行かないと思います。しっかり繁体字での対策が必要となります。
② 「翻訳しすぎ」は逆効果という話
台湾人は「日本に来た感」を求めています。
しっかり繁体字での対策が必要と書きもしましたが、店内の装飾・メニューをすべて繁体字に翻訳してしまうと「台湾の店みたい」とがっかりされる。
正解は黄金比があって、アレルギーや安全に関わる情報は正確な繁体字で。でも店の雰囲気や品書きはあえて日本語のままにして「情緒」を残す。
これ、コストもかからないのに気づいてる店が少ない。
③ 日本語コピーを「そのまま翻訳」してもダメな理由
日本人向けのコピーと台湾人が反応するコピーは全然違います。たとえば「こだわりの逸品」という言葉。これを翻訳しても台湾人には刺さらない。
「日本橋で○○年続く、門外不出の秘伝味」 に変換する。「こだわり」を「歴史・実績・年数」に具体化する。
「優しい味わい」→「無添加・低塩、素材本来の甘みを凝縮」(健康・安全という機能に変換)
「お土産にどうぞ」→「台湾未上陸・日本国内限定デザイン」(「今ここだけ」を強調)
台湾人はCP値(コスパ)と具体的なメリットで判断する。情緒じゃなく機能と希少性に変換するのがコツです。
④ キャッシュレス決済、まだ未対応のところは今すぐやって
「JKO Pay(街口支付)」「PXPay Plus」「E.SUN(玉山) Wallet」などQRコード決済への対応は必要な話になってます。台湾ではQRコード決済が進んでおります。ちなみに「JKO Pay(街口支付)」「PXPay Plus」「E.SUN(玉山) Wallet」は日本のPayPayで支払いが可能です。
これに加えて最近の話題でいうと、PayPayが台湾でも使えるようになる動きがあります(2026年4月末から「TWQR」でインバウンド対応)。台湾人が自分の普段使いのアプリで日本で決済できる、という体験はかなり心理的ハードルを下げる。早めにキャッチアップしておく価値があります。

⑤ SNSの使い方、台湾はちょっと特殊
台湾人はFacebook・Threads・Instagram・YouTubeが情報収集の主なチャネル。Xはほぼ使われていません。日本とは違いFacebookとThreadsが盛り上がっています。
ここで一番重要なのがFacebookグループ「日本旅遊」系のコミュニティ。数百万人が参加していて、公式広告よりも一般ユーザーの「口コミ」「体験談」「裏話」の方が圧倒的に信頼される。
「中の人が誠実に語る」投稿が最強。「うちの店にこんなお客さんが来てくれた」「実はこんなこだわりがあって」みたいな人間的なコンテンツの方が刺さります。
⑥ 「ゴミ箱問題」これ知ってる人が少ない
台湾は街中にゴミ箱が多い文化です。日本は逆にほとんどない。
これは台湾人観光客にとって意外なストレスになっている。コンビニで買ったものをすぐ捨てたい、食べ歩きしたい、でもゴミ箱がない…。
レジ横に繁体字で小さく「ゴミはこちらで引き受けます」とサインを置くだけで、ホスピタリティの口コミ評価が上がるというデータがある。コスト0円でできる施策です。これはコンビニだけでなく、お店や飲食店でもやられると、Google Mapの高評価につながる無料で可能な施策だと思います。
⑦ 「手作り体験」が今のトレンド
台湾人旅行者の消費スタイルが変わってきていて、「モノを買う」から「体験してSNSに投稿する」へシフトしています。
和菓子作り、農業体験、陶芸、染め物。何でもいい。「自分の作品をSNSに上げる」ことがステータスになっている。
体験コンテンツはそれ自体がSNSでのプロモーションになる、というのが台湾インバウンドの大きなアドバンテージ。体験を磨くことが広告を打つのと同じ効果を生む。
⑧ ベジタリアン・宗教対応「素食」
台湾に訪れた人は何度も見たことがあるかもしれない「素食」という看板のお店。「素食」はベジタリアンのお店です。これは本当に多いです。なぜなら台湾は世界で2番目に高い割合を誇る「ベジタリアン天国」なんです。
台湾はベジタリアン人口が約10%以上と言われています。しかも「五葷(ごくん:ニンニク・ネギ・ニラ・らっきょう・エシャロット)抜き」の宗教的理由での食制限も多い。
メニューに「素食対応あり」のピクトグラムを入れる、アレルギー情報を繁体字で明記する。これだけで「この店は安心できる」という信頼感につながります。

⑨ 「撮影OK」を明文化する
「撮影大歓迎!」を繁体字で貼り出すだけ。
台湾人にとってSNSへの投稿は自己表現。「この店は撮影を応援してくれる」と感じると、それだけで好意度が上がって、質の高い口コミ投稿が自然に生まれます。お金がかかる話じゃないです。
⑩ Google Mapに商品の写真をしっかり載せる
台湾人はGoogle Mapの評価でお店を選び、メニューよりもGoogle Mapに載っている料理写真で何を頼むか考える。そう、Google Mapはただの地図ではなく、もはやメニューの代わりもしているのだ。
壁に貼っているメニューだけのお店や、写真もなく言葉だけのお店も多いんではないだろうか。でもあえて中国語の繁体字に変えたメニューを用意しなくても良い。Google Mapにメニュー代わりに写真をちゃんとあげれば問題ない。っていうかその方が台湾人には使い勝手も良く見やすい。
最後に、自分が一番言いたいこと
台湾人観光客は情報の裏を取る人たちです。信頼できるレビュー、コミュニティの口コミ、繁体字での丁寧な対応。そういうものを積み重ねた店に、何度でも戻ってくる。
一回の旅行で終わらない。来年も再来年も来てくれる顧客になる。
「インバウンド対策、どこから始めればいいかわからない」という人は、まずGoogleマップの繁体字対応とキャッシュレス決済から。ここは今すぐできる。
そして「撮影OK」を貼り出して、低評価レビューに誠実に繁体字で返信する。コスト0円でできることが、実はいちばん効く。
「隠さず、誠実に、具体的に」。これが台湾人コミュニティで選ばれる店の条件です。
参考:観光庁「訪日外国人消費動向調査 2026年Q1速報」、JNTO台湾市場動向データ、フォーカス台湾 2026年4月16日報道
台湾在住のサンドウが、台湾のリアルを日本人目線でお届けしています。台湾進出や台湾ビジネスに関するご相談は、We TAIWANまでお気軽にどうぞ。
