『ガチャなエスパー』前回は、夜な夜なさとるの血を吸っていたマリーから超能力の秘密を聞いてしまった。その話を聞いたさとるは、あることを思いつく。
『ガチャなエスパー』
第4話「変身」
「いってきまーす」
あくびをかみ殺しながら玄関を出たさとる
に、仁王立ちのひろみが容赦なく声を飛ば
す。「おっそーい! 行くよ!」

「ごめん、でもさー、凄いことが…」
「言い訳いらないから」
ひろみの一言で、さとるの朝の報告は強制
終了された。
通学路の角で、京子と遭遇する。
「あっ、おはよう」

「おはよう」
ひろみが即座に返す。
「おはよーう……」
さとるはまだ眠そうだ。
「どうしたの、さとる? 顔色悪いよ」
京子が心配そうに覗き込む。
「どうせ、明け方までアニメ見てたんで
しょ」ひろみの冷たい推理が突き刺さる。
「違うよ。魔族のマリーと話してたんだ」
「ほら、やっぱアニメじゃん」
「違うって! リアルなんだって!」
「えー、うそぉー」
京子が目を丸くする。
「で、マリーと何してたの?」
「血を吸われてた」
さとるは冷静に答える。
「なにっ!? どこ!?」
ひろみが詰め寄る。

「ここ」
さとるが喉元を指さす。
京子が覗き込む。
「……あ、確かにちょっと噛んだ
跡があるよ」
「ね? ホントだろ?」
「どれどれ」
ひろみも確認する。
「マジだ...…」
ようやく昨晩の出来事を説明できて、
さとるは少しスッキリした。
「えーっ、じゃあ、あんた吸血鬼に
なったの?」
「うん、たぶん」
「で、今日は何ができるの?」
ひろみの質問マシンガンに、さとるは
既に疲れ気味。面倒くさそうに。
「わかんない」
ちょうど学校の玄関口に着いたので、
さとるは言った。
「ここからはこの話、ナシ。
放課後にしよう」
「そうね。こんな話、誰も信じないし、
大騒ぎになるから」京子は冷静だった。
三人はそれぞれ、さとるの“今日の能力”に
モヤモヤしながら、放課後を迎えた。

チャイムが鳴ると同時に、三人は教室
を飛び出した。
クラスメイトたちは、その光景を不思議
そうに見送る。
「ねえ、今日は何ができるのよ?
隠さないで言いなさいよ!」
ひろみが詰め寄る。
さとるはひろみの方を向いて、ふっと
微笑んだ。
「君、うるさいな。ちょっと静かにしてく
れないかな」

その顔は、人気アイドル、タケシだった。
「ごっ、ごめんなさい……!」
ひろみが素直に謝る。
「えっ、今の顔…タケシ!?」京子が驚く。
どうやら、ひろみと京子は
タケシ推しらしい。
「今日はね、なりたいモノに変身できる
らしい」
「お願い、もう一回やってぇ~!」
ひろみと京子が猫なで声で懇願する。

「学校の中じゃまずいから、ファミレス
に行こうか」さとるは冷静だった。
「うんうん、急ごう!」
さとるはひろみと京子に急かされて逃げる。

ファミレスで散々タケシを堪能した二人に、
さとるが切り出す。

「あのさ、今朝言ったマリーの話、覚えてる?」
「血を吸われて能力が出来たって話?」
「うん。それでね……僕たち、
チームにならないか?」
「えっ、この三人で……?」
「うん、そう」
さとるの瞳は真剣だった。
京子とひろみは顔を見合わせ―
「……いいかも」と京子
「面白そうじゃん」とひろみ
三人の秘密の物語が、
ここから本格的に始まる。
つづく
登場人物

主人公 中山さとる ガチャなエスパー
・超能力を使えるが1日1つ日替わり
・高校1年生。
・見た目普通の眼鏡男子。
・今一番の願い、彼女が欲しい。
・ひろみとはただの幼なじみ。
・初日の出会いから京子が好きになる。

ヒロイン 山岸ひろみ
・中山の席の右隣。
・中山の家も隣の幼なじみだが、幼なじみ
の怪しい行動が気になる。
・成績、運動神経抜群、クラスの人気者

準ヒロイン 藤原京子
・引っ越してきたばかりで友達いない。
・登校初日、遅刻しそうになり食パンをく
わえ走っていたらさとると衝突。
・席はさとるの左隣。
・京子はひろみに友達以上の感情を抱く。

バンバイヤ マリー
・夜な夜なさとるの血を吸いに来ていた。
・お礼に超能力を授けていた。
・第3話で超能力の秘密を明かす。

アイドル タケシ
・イケメン
・ひろみと京子の推し
・金髪日本人青年
・モデルの体系
・笑うと歯が光る
・スターのオーラを全身から発している
