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hanasfather
【映画】『PERFECT DAYS』
役所広司主演の『PERFECT DAYS』は、トイレ清掃員の日々を淡々と描いた映画である。人にすすめられて、いつか観ようと思っていたのを、今日ようやく観た。
朝起きて身支度を済ませると、役所広司演じる清掃員の男は、車で仕事に出かける。公衆トイレを回り丁寧に清掃をして、仕事を終えると銭湯で汗を流し、眠くなるまで布団で読書をする。映画は、基本この繰り返しだ。単調な映画かと思いきや、そうでもない。役所広司の演技が素晴らしく、観ていて全く飽きない。むしろずっと観ていたいような気持ちにすらなる。
清掃の仕事をしながらボロアパートに暮らす、独り身の初老の男性。これだけ聞くと、貧困、孤独、老いなど、ネガティブなイメージを連想するが、男は空を見上げて時折微笑み、生活に悲壮感は無い。貧しいながらも満ち足りた生活のようにも見える。
ただ、トイレ清掃員への偏見から仕事中に失礼な振る舞いをされる、久しぶりに会った肉親と別れた後はひとり涙を流す、といった場面も描かれる。
果たして彼は幸福なのか。それとも不幸なのか。映画を観ながら考えた。しかし、答えは出ない。映画内でもその判断は下されない。ただ日常が繰り返されるのみである。
ラストシーンは、早朝に仕事へ向かう場面。朝陽に顔をしかめる男のアップがしばらくの間続く。その顔は笑っているようでもあり、泣いているようでもある。俳優役所広司の演技が光る場面であり、とても惹きつけられる。
笑いと悲しみ、幸福と不幸。どちらともつかない日々の営みを、その表情は体現しているように見えた。
