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pono0111
花桃と桜と梅と。
桜が咲いている。
いや、よく見たらこれは梅かもしれない。
同時期に咲くと、そんな判別も付かないほど、花というものに対して疎く生きてきてしまった。
例年であれば、大体三月に咲くのが梅。
大体四月に咲くのが桜。
そんな風に勝手に区分けをしているのだが、今年の春は相当にせっかちなようで、梅が散るより前に桜も咲き始めているようだ。
そんな、せっかちな春に少し先駆けて、職場で花桃の枝を頂いた。
しかし、どうにも花を貰った所でその咲かせ方を知らない。
ただ、この花桃に関しては別だ。
恐らくもうあと二、三日もすれば咲きそうなほどに蕾が膨らんでいる。
きっとこれなら、咲かせられる。
そう、確信した。
花瓶もない家に花桃を持ち帰り、コップに少しだけ水を入れ、枝を挿す。
彩りのない部屋にまだ蕾の彩りのない枝が一本。
随分と滑稽な景色だ。
少し興が冷めそうになるが、一度飾ったものを片付ける方が面倒だ。
そう思い、そのままにして日常に戻る。
数日後、朝目覚めると、美しい花が咲いていた。
桃という名が入る通り、これ以外を桃色と認め得ないほどの桃色だ。
私には到底似合わない桃色。
そんな花桃が何よりも美しかった。
きっと、来年の春も暖かくなる気がする。
梅と桜が分からなくなる。そんな春がまたやってくる。
そんな春でも、これからは花桃だけは見紛えることはないだろう。
そんな陽気の、春の一節。
