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スノーパル23:45乗車記 #夜行列車全部乗る ⑫・完結編

#夜行列車全部乗る

 そう名付けて書き続けてきたこのシリーズも、ついに最後の一本。サンライズから始まり、花火夜行、SL夜行、紅葉夜行と、日本中の夜を駆け抜けてきました。

 最終回に選んだのは、派手さはないが、長年「夜行」の歴史を守り抜いてきた列車。

 「スノーパル23:45」の旅が、始まります。



スノーパル23:45

 スノーパル。それはスキー場へ向かう夜行列車。

 浅草駅を23時45分に発ち、福島県の会津高原尾瀬口駅には5時23分に到着する。そこから専用バスにのり、スキー場には6時30分。銀世界を早朝から楽しみたいスキーヤーを、運び続けてきた。

夜発⇒朝イチ 銀世界行き!

 そう銘打って募集されるだけあって、プランも充実。スキーセットやスキーウェアとのお得なセット券も準備されている。

 スノーパルの運行開始は、1986年。今日はそんな歴史ある夜行列車「スノーパル」の魅力を、余すところなくお伝えする。

東武鉄道の夜行列車は、同じスジを使っているため停車駅も時刻もだいたい同じ。
福島県・会津高原尾瀬口駅まで向かいます。

23:00 東武浅草駅

 さて本日も、東武浅草駅。
 尾瀬夜行、日光夜行――いくつもの夜が、ここから始まってきた。

何度目だ、浅草

堂々たる風貌、東武浅草駅。
古来より、夜行列車の発駅として名を馳せてきた。
重厚感あふれる鉄橋(n度目)
浅草雷門。この日も、多くの観光客でにぎわっていた。

 改札開始は、23時25分。船車券に入鋏してもらい、中に入ります。
 案内表示の「スノーパル/SNOW-PAL 会津高原尾瀬口行き」の文字が、どこか誇らしげに見えます。

 車両は、毎度おなじみ東武鉄道「リバティ」の3両編成。写真をパシャパシャと撮ったところで、いよいよスノーパルに乗車です!

23時10分、東武浅草駅。
今日発車する優等列車は「スノーパル」のみ。
いよいよ改札開始!
「本日の夜行列車」の看板があるだけで感動。
こんなのあるのは、東武鉄道だけでしょう。
東武鉄道「リバティ」。
本日はこの列車で、福島まで向かいます。
さぁ、いよいよスノーパルに乗車です。

23:45 東武浅草駅

 23時45分、スノーパルは定刻通り浅草駅を発車。尾瀬夜行などと同様、浅草発車時点では1割の乗車率といったところ。

 車内は、スキーへ向かう高揚感が詰まっています。車内が空いていることもあってか、他の夜行列車では見られない、4人グループが席を転換して向かい合わせにしている様子も。

 車内放送の中では、たびたび「だいくらスキー場」と「たかつえスキー場」両方の案内がなされましたが、本日のバスはたかつえ行きのみ。だいくらへバスが出る日は一部のみの設定ですが、台本は共通になっているのでしょう。

 列車は北千住、新越谷、春日部と停車していきます。乗客は3両で80名ほどで、やや空席が目立ちます。(99%がスキー客)

 まだまだスキーシーズンは始まったばかり。年明けが、スノーパルのシーズンになるのでしょうか。

 0時45分。最後の停車駅、春日部を出るとお休み放送がはいり、車内が消灯されます。明日に向けて盛り上がっていた乗客たちも、眠りにつき始めます。

 皆さん、良い夢を。


幕間:車内探検

 本日の車両は、2017年にデビューした東武特急リバティ。居心地のいいいす、WiFi、リクライニングと、コンセントの位置以外は何も不満がない、素晴らしい車両です。このスノーパル運用に備えて、きっちり方向幕が日本語/英語で準備されています。

スノーパル 会津高原尾瀬口
SNOWPAL こんなワクワクする文字があるでしょうか。
4列リクライニングシートが整然と並びます。
近年デビューした車両だけあって、かなりきれいです。

 スノーパルとして特筆すべきところは、座席を何個かつぶして荷物置きにしているところ。スキー板、ボード、ウェアなど、荷物置きはたくさんあって損はないでしょう。

「荷物置き場」として整備されていました。
これはもともとですが、荷物置きのラックも装備されています。
ちなみに、本日の切符。
2座席プランのため、船車券は2枚。

2:30 新藤原駅

  皆が寝静まった2時30分、スノーパルは新藤原駅に滑り込みます。ここで2時間ほど停車し、山へ向かうコンディションを整えます。(噂によれば、この時間でここから先の野岩鉄道・会津鉄道線の除雪を行っているらしい。)

 ツアーの上では、乗車も下車もできる駅ではありませんが、ドアが開き、改札外にも出ることができます。ただ、今日は売店は空いていませんでした。(スノーパル運転時には、特別に売店が開いていたこともあるらしい。)

 今日使えるのは自販機のみの様子。極寒の中、早々に車内へ戻ります。

スノーパルは、新藤原駅へ。
どうやら2時間ほど停車するらしい。駅員不在のため看板のみ。
新藤原 STATION
凍えるような寒さ、新藤原。
まだ雪は降っていない。

5:23 会津高原尾瀬口駅

 5時11分、灯りがつき、車掌からのおはよう放送がはいります。日光夜行や尾瀬夜行と違い、新藤原での停車時間が確保されていたため、若干寝られたような気もします。

 まだ、夜明け前。スノーパルは5時23分、会津高原尾瀬口に到着です。
 一面は銀世界。ここが、もう別世界であることを実感します。

一面、雪。
来るところまで来た。

 特徴的な三角屋根の駅から出ると、スキー場へのスノーパル連絡バスが並んでいます。バスは、6時ちょうどの発車。今回は、たかつえスキー場へ向かいます。

だいくら行きは、今日は出ません。
雪の中、発車を待ちます。
本日は、会津バス4台の陣容。
さぁ、目的地へ。

6:00 たかつえスキー場

 辺りは一面の銀世界。𝙋𝙤𝙬𝙙𝙚𝙧 𝙎𝙉𝙊𝙒を感じます。
 浅草駅から6時間半。目的地、たかつえスキー場に到着です。

たかつえスキー場 着。

 スノーパルのプランには、リフト券と朝食、そして温泉入浴がセットされています。(ボードやウェア等は追加料金) 
 まずは、どこか聞いたことある名前「スペーシア」で朝食をいただきます。

 現在は手を離れているものの、かつてたかつえスキー場は東武鉄道のグループ会社が経営していました。この「スペーシア」は、東武鉄道の特急列車と同じ名前ということで間違いないでしょう。

スキーセンター SPACIA
スノーパルの朝食はこちら!
銀世界を眺めながら、優雅に朝食。
スノーパル連絡バスを降りて徒歩1分。スキー場が、すぐそこに。

白樺の湯

 そして温泉を求めて、たかつえ白樺の湯へ。ツアーには、この入浴券もついてきます。

 たかつえスキー場は、「スキーセンタースペーシア」のあるところと、「アストリアロッジ」「白樺の湯」があるところが離れています。

 このマップだと近いように見えますが、リフトに乗れない服装の場合、車のルートで迂回して歩く必要があります。だいたい、徒歩20分。

案内図
歩きます。「アストリアロッジ」や「ペンション」の方へまずは向かいます。
これは、途中で見えたオシャレなペンション。
歩きます。アストリアロッジの真横にあるので、それを目印に行きましょう。
白樺の湯
温泉ではあるようですが、これを目的に訪問するものでもないです。
時間があったら、訪問してみましょう。
白樺の湯 内部

たかつえスキー場からの脱出

 たかつえスキー場から公共交通で脱出する場合、以下の3つの手段しかありません。
〇スノーパル連絡バス(午後2便)
〇路線バス(午後1便 ※特定日のみ)
〇舘岩地域デマンドタクシー(尾瀬口駅まで900円)
今回は10時半のデマンドタクシーで、会津高原尾瀬口駅まで脱出します。

注1)スノーパル連絡バスのみスキーセンタースペーシア発着、それ以外はアストリアロッジ側に発着します。
注2)路線バスは減便に減便を重ね、2025年度は1-3月の特定日のみの運行。要注意です。

デマンドタクシー、サイトがかなりわかりにくいですが、事前の下調べと予約が必須です。うまくいけば、11時8分の浅草行きリバティに間に合います。

 デマンドタクシーでおよそ20分、会津高原尾瀬口駅。浅草から始まったスノーパルの旅、終了です。

たかつえ アストリアロッジ
スキー場の拠点となっています。
アストリアロッジからみえる銀世界
要注意★バス発着場所
アストリアロッヂ
会津交通が運行するオンデマンドバス、飛ばしに飛ばして到着です。

スノーパル23:45

 スノーパル23:45。それは、銀世界へ向かう夜行列車。
 
 深夜の浅草から雪の朝へと人を運び続けたその姿は、「早く着く」ことでは測れない価値を確かに宿していた。夜を越えることでしか辿り着けない場所と時間が、そこにはあった。

 夜行列車に逆風が向いた時代を乗り越え、今も走り続けるスノーパル。
 今後も、スキーヤーを運び続けることでしょう。

新旧スノーパルが並ぶ。

#夜行列車全部乗る あとがき

 平成の終わりから令和のはじめにかけて、夜行列車は存亡の危機に立っていました。青春18きっぷで運行された夜行快速「ムーンライト」は次々と運行終了を迎え、寝台特急「ブルートレイン」や「カシオペア」が引退したのも、記憶に新しいところ。
 次々となくなる夜行列車。新幹線や夜行バスの発達により、その使命は終わってしまうのか。そう思われていました。

 潮目が変わったのは、2020年代のWEST EXPRESS 銀河の運行開始、特急アルプスの復活、そして相次ぐ夜行列車ツアーの設定。

 移動手段ではなく、「夜行列車としての体験」を求める人たち。
 登山や初日の出、スキーに向けた実用的な夜行を求める人たち。
 かつて運行されていた、「夜行列車」そのものを求める人たち。

 理由こそ違えど、夜行を求める需要がにわかに高まり、日本における「夜行列車」は、再びその時を進み始めた。

数十年ぶりに復活した「アルプス」は、大きな話題を呼んだ。

 かつてもそうだったかもしれないが、現代の夜行列車は、単なる移動手段ではない。それ自体が目的であり、乗る人の物語でもある。

 チケットを受け取ったとき。
 始発駅で、案内表示を見たとき。
 列車に乗り込み、お休み放送を聞いたとき。
 暗闇の車内から、真夜中のホームを眺めたとき。
 車内放送のオルゴールとともにに、目覚めたとき。

 移動手段だったはずなのに、目的地に着く前から思い出に残るもの。それが、夜行列車の旅なのではないだろうか。

 2025年。夜行列車が復活ののろしを上げつつある中、乗った夜行列車は13本。このちょうど時代が変わりつつあるときに、この企画をおこなうことができたのは、僥倖でした。

次の夜行列車で、お会いしましょう。

夜行列車全部乗る 乗車記一覧はこちらから↓↓

お知らせ #夜行列車全部乗る が本になります!

2025年、長期連載企画「夜行列車全部乗る」。同人誌として、書籍化することが決定いたしました!

2026年3月の旅チケットを皮切りに、評論系イベントに随時出展し、頒布する予定です。良ければ、ぜひお越しください。

初回頒布
AIR旅チケット2 in セントレア
開催日時
2026年3月7日(土) 12時00分~15時30分
会場
愛知県 中部国際空港 セントレアホール
サークル名
大日本開拓協会購買部


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