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「ゲゲゲの鬼太郎」最強キャラは祓い屋/一刻堂かも

今回は、水木しげる先生原作「ゲゲゲの鬼太郎」について少し書いてみたいと思う。

先月で終わってしまったが、今年の4月以降フジテレビ日曜朝9時台は「私の愛した歴代ゲゲゲ」という「鬼太郎」再放送企画をずっとやってたんだよね。
まぁ、フジテレビ側にしてみりゃ、低予算で成立する(ただの再放送だし)都合のいい企画だったんだろうけど・・。

でもね、やっぱ「鬼太郎」って偉大なコンテンツだと思うのよ。
アニメの第1期放送は1968年。
非常に寿命の長いコンテンツである。

ちなみに、水木先生は生涯「漫画の神様」手塚治虫先生の存在をライバルとして認識してた人だと言われている。
・・まぁ、そのネームバリューとして手塚先生は他の追随を許さないほどの聖域にいる神様だが、でもさ、その手塚先生の生んだ「アトム」と水木先生の生んだ「鬼太郎」とを比較したなら、少なくとも今(令和)という時代におけるコンテンツの潜在能力としては、どちらかというと「アトム」より「鬼太郎」の方が上じゃないか?

<科学>のアトムvs<オカルト>の鬼太郎

<科学>の手塚vs<オカルト>の水木

「山田玲司のヤングサンデー」水木しげる特集

で、いまや日本漫画史研究の権威ともいうべき山田玲司先生は、尊敬すべきこの偉大な両巨匠のことを次のようにまとめていらっしゃいました。

<手塚治虫⇒光>

1928年~1989年

・理系(大阪大学医学部出身)
・富裕層の出自(ブルジョア)
・高度経済成長(科学万能思想)の象徴が「アトム」
・生涯、ウォルトディズニーに憧れた

<水木しげる⇒影>

1922年~2015年

・文系(最終学歴は高等小学校)
・貧困層の出自(プロレタリアート)
・高度経済成長が生んだ影の象徴が「鬼太郎」
・生涯、ニューギニア土着民俗に憧れた

なるほど、何から何まで対照的な御二人なんだね・・。
かといって仲が悪かったということもないらしいが、でもお互い意識してたことは事実らしい。

基本、やはり1960年代(高度成長期)までは手塚先生の人気が圧倒的だったみたいなのよ。
ところが、そのうちそれにも陰りが出てきて、徐々に水木人気が手塚人気に肉薄するようになっていったらしい。

・・それは、なぜか?

多分だが、それは時代に「閉塞感」が出てきたからでしょ。
全共闘運動の挫折、そしてオイルショックによる不況・・。
こういう暗雲が立ち込めてくると、不思議と「科学」よりも「オカルト」の方に人気が出てくるものらしい。

思えば、高度経済成長というのは工業/科学を絶対視する価値観に支えられてきたわけで、しかし60年代後半にはそれを粉砕されるに至り、今度は「科学だけが全てじゃないよね・・」というふうに時代の空気が反転したわけさ。

UFO(宇宙人)ブーム

超能力ブーム(ユリゲラー)

ネッシー(UMA)ブーム

今思うと、70年代というのは何とウサンくさい時代の空気感だろう(笑)。
そりゃ、時代が【アトム鬼太郎】となるのも納得。

・・で、令和の現代、どっちかというと時代の空気のベクトルは

水木寄り(非手塚)になってるよなぁ?

「鬼滅の刃」
「呪術廻戦」

おそらく、こういうのがウケてるというのは、今の時代に「閉塞感」があるという意味かと。

まだ日本が元気だった頃(80年代バブル期など)は、宇宙を舞台にしたSF系の作品が結構多かったんだけどね?
ここ最近、あまりそういうのを見かけなくなってしまった・・。

じゃ、そろそろ話を「鬼太郎」に戻そう。

「ゲゲゲの鬼太郎」第6期(2018~2020年)

皆さんは、「鬼太郎」6期はご覧になったことあります?
実はこれ、めっちゃ評価高いんですよね。
確か、ギャラクシー賞テレビ部門特別賞を受賞してました。

だけどねぇ、私これ、正直あまり好きじゃないんだわ(笑)。
・・あ、誤解しないでほしいが、決して面白くないわけじゃないんだ。
いやむしろ、エンタメ的面白さでいえば歴代最高水準かもしれん。

ただねぇ、途中からノリがほとんど「呪術廻戦」だから(笑)。
ヒロイン(人間)が闇落ちするわ、猫娘がヒロインに殺されてから鬼太郎も闇落ちするわ、もう展開があまりにも殺伐としてマジ見てらんない・・。
猫娘が笑顔で死んでいくシーンとか、「お前、釘崎かよ!」とツッコみたくなるよ(笑)。

衝撃の第47話 猫娘殺害シーン

そもそも、6期は猫娘がかわいくなりすぎてんだよなぁ・・。
初代と6期を比較してみてください↓↓

初代猫娘(左)と6期猫娘(右)

・・全く原型とどめてないやん!


いや、制作スタッフのやりたかったことは一応分かる。
ようするにこれ、実写版「鬼太郎」猫娘(田中麗奈)のオマージュでしょ?

実写版「鬼太郎」猫娘

確か、この実写版の猫娘は田中麗奈の魅力が炸裂しすぎて、メインヒロインの井上真央(人間)を完全に食っちゃったんだよなぁ?

やっぱね、最後は美脚なんですよ、美脚!

実写版、このラストの猫娘ダンスは今なお猫娘ファン界隈で語り草である。

・・いや、確かにこの田中麗奈を忠実に再現した6期の猫娘のクオリティは高い。
それは認める。
しかし、あまりにも水木先生へのリスペクトが足りないと思わんか?

中央が5期の猫娘、後方が1~4期の猫娘
6期の猫娘ツンデレバージョン

・・よって、ホントは大好きなんだが敢えて心を鬼にして言おう。

「6期、こんなの『鬼太郎』じゃない!」と。


さて、そういうわけで敢えて今回は最新の6期をスルーし、旧シリーズの方をお薦めさせてもらおうかと考えてる所存です。

じゃ、膨大にある旧シリーズの中でもどれを見ればいいのか?ということだが、ここで私は<演出家軸/脚本家軸>で見るという裏技をお薦めしたい。

具体的には、こんな感じです↓↓

<高畑勲演出回>

1期62話「海じじい」
2期5話「あしまがり」

<細田守演出回>

4期94話「鬼太郎魚と置いてけ堀」
4期105話「迷宮・妖怪だるま王国」
4期113話「鬼太郎対三匹の刺客!」

<京極夏彦脚本回>

4期101話「言霊使いの罠!」

<佐藤順一演出回>

4期24話「怪談! 妖怪陰摩羅鬼」
4期33話「逆襲! 妖怪さら小僧」
4期39話「妖狐・白山坊の花嫁」
4期45話「もち殺し! 妖怪火車」
4期51話「雪コンコン! 笠地蔵」
4期78話「ぬらりひょんと蛇骨婆」
4期84話「怪奇! 人食い肖像画」


・・おいおい、4期にえらく偏っとるやないか!とツッコまれたら返す言葉はありませんね。
実際、未見の方は4期を軸に見るのも悪くないんじゃないかな?

全体としては

1期⇒1968年~(全65話)※モノクロ
2期⇒1971年~(全45話)
3期⇒1985年~(全108話+追加7話)
4期⇒1996年~(全114話)
5期⇒2007年~(全100話)
6期⇒2018年~(全97話)


という感じになっており、4期は90年代のやつなんだね。

基本、1期と2期が2つ合わせて<原典>のような扱いになってて、3期以降のものはそれのリブートだと解釈してください。
各々がその時代の空気感に合わせたリブートになっており、この各シリーズ見れば「あぁ、この頃はこういう空気感だったのか~」と時代を把握できて楽しめる趣向。

で、そういう中で4期は割と正統路線のリブートなんですよ。
6期みたく、はっちゃけてない。

「ゲゲゲの鬼太郎」4期

4期のチーフディレクターは「ドラゴンボール」でお馴染み西尾大介さんで、まぁいうなれば東映アニメーションのど真ん中という人ですわ。
だから「4期を見とけば、まぁ間違いない」といえる気がします。

とはいえ、私は4期の中で最もお薦めしたいのが異色作というべき

京極回、101話「言霊使いの罠!」ですね。

これはもう、まごうことなき「鬼太郎」屈指の神回である。
なぜ「私が愛した歴代ゲゲゲ」のセレクトに漏れたか、意味が分からん。

ちなみに「歴代ゲゲゲ」の選者には京極さん自身が入ってたんだが、本人が自分の脚本回を選べるわけないし(自薦なんて超恥ずかしい)、そこは誰かが気を使って「言霊使いの罠」をセレクトすべきだっただろうになぁ・・。
もう、みんな気がきかないんだから(ヽ(`Д´)ノプンプン

・・で、これは鬼太郎vs祓い屋(陰陽師)という対決で、この祓い屋の名は一刻堂である。
別に「声が、遅れて、聞こえてくるよ」というボケはなかった。

で、これのcvが京極さん本人なのよw

京極さん、めっちゃイイ声やん?
多分、キャラデザは京極さんの小説「百鬼夜行シリーズ」主人公/中禅寺秋彦(京極堂)だと思う。

で、コイツがめっちゃ強いんだわ。
いわゆる「言霊使い」というやつで、「陣の中では言ったことが全て真実になる」という技を使う。

この陣の中に妖怪が入るとその妖怪は自分の名を思い出せなくなり、存在が揺らぐことに。
たとえば、自分が誰か分からなくなった猫娘は、一刻堂に「君は猫を抱いた少女だね?」と言われてしまい、

こんな姿になってしまった↓↓

なんか、かわいいねww


・・いや、幸いにも最後は和解(?)みたいな感じになって一応コトなきを得たんだが、でもヘタすりゃ鬼太郎一味が全滅もあり得たほどのヤバい事態だった。

でもさ、このお話はよく考えたら結構深いんだ。
そもそも「鬼太郎」とは、水木先生が幼少の頃に出会った「のんのんばあ」から聞いた話が原点になっている。
で、その「のんのんばあ」が言うには「いると思えばいる、いないと思えばいない」が妖怪の本質というものらしい。

そう、今回一刻堂が施した術は、この「いないと思えばいない」を言霊にて確定したということ。
これは「観測があってこそ初めて存在が確定する」という量子論の原理にも近く、ある意味、怪異譚における本質の中の本質といえるのかもしれん。

・・深い、なかなか深いぞ「鬼太郎」4期!


なんせこれが放送された96年は、震災、そして地下鉄サリン事件の翌年ですからね。
アニメにも滲む、そういう時代独特の暗黒の空気感、皆さんも是非味わってみてください。


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