貴方は、村上龍「五分後の世界」アニメーション映像を見たか?
今回は、1980年代というものについて少し書いてみたい。


この時代は、ぶっちゃけオタクの総人口が今と比べてあまり多くなかったと思う。
なぜかというと、バブル経済というやつで景気がよかったからさ。
景気がいい➾おカネがある➾皆が外に出て遊ぶ、という単純なロジックで、逆に90年代バブル崩壊以降は、景気が悪い➾おカネがない➾インドアで遊ぶという流れから多くの人たちがオタクへと転向していったわけよね?
・・そう、オタクの生みの親とは、まぎれもなく不景気というやつである。
そしてあともうひとつ、同じくオタク生みの親といえるのが90年代以降から家庭に普及していったPCという存在も当然あるわな・・。
思えば、80年代はまだネットというもの自体が広くは普及してなかったのよ。
つまり、あの時代は今みたく「ネットで繋がる」というが概念なかったからこそ、逆に「何かに繋がる」ことを求める場合には敢えて外に出て人と会うしか他に手段がなかったわけよね。
だから、どういう人種であれ「とりあえず外に出る」がマストの時代だったわけで、そうした環境からオタクはどっちかというならば生まれにくい環境だった気がしなくもない。
いや、よく分からんけど。

じゃ、80年代のコンテンツ事情について。
思えば、この時代に流通してたアニメの量は今の半分以下だったんじゃないだろうか?
いや、あるいは3分の1以下だったかもしれん。
おそらくアニオタには優しい時代ではなかっただろうね。
漫画の方は「少年ジャンプ」の黄金期だったが、でも今思うと漫画誌の種類そのものはさほど多くはなかったし、ましてやWEB漫画など無い時代ゆえ、当時リリースされてた漫画の量としては今の半分以下だったかもしれん。
付け加えると、この時代にはまだ「ラノベ」なるものが存在してなかった。
・・いや、厳密にいうと、既にレーベル自体は存在してたんだが、それでもまだ知る人ぞ知る感じのマイナーな扱いだったと思う。
じゃ、この時代にメインになったコンテンツは一体何だったのかというと、私が思うに、それは小説(ラノベじゃないもの)と映画(主に洋画)だったんじゃないかな?
「ノルウェイの森」著:村上春樹(1987年)
累計国内発行部数:1300万部

発行部数1300万部は凄いよねぇ・・。
いや、今のラノベで発行部数トップの「転スラ」は確か5600万部以上だったはずだが、でもそれは本編24巻のみならずスピンオフやコミックや児童書版など全部ぶっこみの数値だからね?
その点でいうと、この上下2巻だけで1300万部超えした「ノルウェイの森」はやっぱ規格外だよな、と。
この時代は皆がラノベを読まない代わり、村上春樹か村上龍か吉本ばななのいずれかを必ず読んでたものである。
これらの文芸作家が一番キラキラしてた時代だったかも。
ちなみに、当時私がハマってたのはこれら小説↓↓でした。
「コインロッカーベイビーズ」(1980年)

「羊をめぐる冒険」(1982年)

「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」(1985年)

「愛と幻想のファシズム」(1987年)

「ダンスダンスダンス」(1987年)

いずれもベストセラーだから皆さんもおそらく何冊かは読んでらっしゃると思うが、これらの小説に共通していえるのは「なんか、やたら暗い」ということである。
・・今思うと、とても不思議である。
というのも、この80年代ってどちらかといえば明るくて、ノーテンキな時代だったんだよ。
なんせ、バブル景気真っ只中の時代だからね。
なのに、村上春樹も村上龍も、彼らが書く小説は常にどこか陰鬱としてて、まるでこの直後に訪れるバブル崩壊とそこから長く続く不況を予見するかのような喪失感に満ちている・・。
いや、実をいうとこういうのは小説だけの話でもないんだわ。
「ブルーベルベット」(1986年)
監督:デヴィッド・リンチ

これは80年代当時、めちゃくちゃ話題になった映画である。

これはリンチの代表作の一つとして挙げられる名作なんだが、私がこの作品を初めて見た時の率直な感想はというと、
「うわぁ、これって思いっきり村上龍の小説の世界観そのまんまやん!」
というものでしたね。

でもリンチって、これのすぐ後に今度はテレビドラマの「ツインピークス」をやったわけだが、こっちの方を見た私の率直な感想は
「うわぁ、これって思いっきり村上春樹の小説の世界観そのまんまやん!」
というものでした。


ほら、春樹先生の小説って、主人公が急にどこか「異界」のようなところに迷い込んで「羊男」とかワケわからんキャラに遭遇したりするじゃん?

・・いや、別に当時のリンチが村上龍や村上春樹の影響を受けたなんて話は今までに聞いたことないし、こういうシンクロはただの偶然の一致、まさに<時代としての共振>としか言いようがない。
で、思うんだが、こういう「こっちの世界」「あっちの世界」っぽいノリは、やはりここが始まりの原点だよね?

そういや、80年代でそれを表現したのは押井守にしてもそうだったわ。
「天使のたまご」押井守(1985年)


思えば、押井さんは「ビューティフルドリーマー」(1984年)の時から一貫して<虚構と現実>をテーマにしてました。
・・いや、あの未曽有の好景気の中で、複数の作家たちがまるで共振するかのように、閉塞感、喪失感、虚構、破壊衝動等を描いた作品を次々リリースしていったのは非常にキモチ悪いシンクロでしたけど。
当時、あの人たちは何か敏感に危機のようなものを察知してたんでしょうかね?
で、「そんな約40年も昔のカルチャーとか令和には関係ないし、ぶっちゃけどーでもいいじゃん?」と思ってる人もきっといるんだろうが、いえいえ、案外そういうものでもないんですよ。
なぜならば、この80年代カルチャーの洗礼を若かりし日に受けた世代が今のコンテンツ制作現場の中核、および製作委員会の中核という非常に権限ある立場に就いてるんだし。
だから私ね、近いうちに80年代文芸のアニメ化プロジェクトは必ずどこかで始動すると思います。
まずは皮切りとして、吉本ばなな先生が「ひな菊の人生」(←これは2000年出版の作品ではあるが)のアニメ化にGOを出しましたよね?

意外と、こういうのが大事な第一歩なんですよ。
あと、春樹先生は2年前に「めくらやなぎと眠る女」というアニメ映画にGOを出してるので、どうやら先生としてアニメ化NGというスタンスではないようだな?

確か、以前にNHKで実写ドラマ化もしてたけど、ハルキの世界観的には実写よりアニメの方がまだ表現しやすいと思うぞ?

佐藤浩市&かえるくん(cvのん)
こういう短編オムニバスでやるのも確かに悪くないけど、できればそのうち長編をやってほしいね。
さて、問題はこの先生↓↓である。
村上龍

龍さんはね、今まで一回もアニメ化がないのよ。
実写映画化は10本以上もあるんだが・・。
自ら監督をした作品もある。
この人、「映画小説集」とか書いてるぐらいだし、めっちゃ映画にうるさい人だよ。
ただし映画好きも実写オンリーで、多分アニメとか見ないタイプじゃね?
なんか、アニオタとか毛嫌いしてておかしくないキャラだと思う。
だって彼、もともと「オトコならSEXたくさんすべき」的なマッチョ思想があるタイプだったし、【オタク=SEXしない人種】として決して好意的には見てないような気がするのよ(←最近は考え方が少しは変わってきてるかもしれんが)。

ホントはね、村上春樹や吉本ばなな以上に映像化すればバズりそうな作品を龍さんはたくさん持ってるんです。
「コインロッカーベイビーズ」や「愛と幻想のファシズム」、あと「五分後の世界」あたりはそうだと思うし、でもああいう作品は絶対に日本映画界の予算スケールでは正直キツイじゃん?
だからこそ、敢えてアニメ化の方にシフトすべきだというのに・・。
ただし、実をいうと「五分後の世界」はノベルゲームとして一度アニメーション化された実績あるらしいです!(しかも龍さん本人が監修)



なんか、クソゲー臭がエグい・・
じゃ、このゲームの画が実際どんなものか、ご覧いただきましょう。
やっぱ、クソゲー臭がエグいw
龍さん、こんなのを出すぐらいなら普通にMAPPAあたりにアニメ制作させた方が絶対いいですって!
アニメーターにも龍さんファンは必ずいるはずだし、「五分後の世界」とかアニメ化するとなれば間違いなく気合い入った作品に仕上げますって!

