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東京の受験最上位層は中学受験から高校受験(日比谷)にシフトしているのか?

先日、日比谷高校の2026年度入試における東大合格者数の減少(25年81人→26年67人)についてのポストをXで見かけました。

私も興味を持ち、都立進学指導重点校7校の過去5年の東大合格者数を調べて返信しました。

ただし、通勤中にChatGPTで調べた簡易分析で、データの検証も十分ではありません。また、きちんと分析するなら、中学受験と高校受験の比較や、京大まで含めた検討も必要です。

そこで、東京の受験最上位層について、

  • 都立高校受験で日比谷への集中は進んだのか?

  • 中学受験から高校受験へのシフトは起きたのか?

  • 東大と京大を合算すると傾向は変わるのか?

を調べて、記事にまとめました。

なお、データはChatGPTで一次収集した後、目立つ欠損や誤りを手作業で補完したものです。正確性を完全に担保できるものではなく、分析結果にも一定の誤差が含まれる可能性があります。この点にはご留意ください。

0. まとめ

東京で過去10年間に東大・京大へ合格した受験最上位層の学校選択を分析し、次の結果を得ました。t値は、前半5年(2017〜2021年)と後半5年(2022〜2026年)の差の検定値です。

  • 東京の最上位層の中学受験と高校受験の比率は概ね3:1で変化なく、現在も中学受験に集中している(t値:-0.1056)。この中学受験占有率は浪人よりも現役の方が高い(t値:9.1544)。

  • 都立進学指導重点校の東大・京大合格者に占める日比谷高校の割合は、前半5年平均34%から後半5年平均41%へ上昇しており、高校受験の最上位層では日比谷への集中が進んだ(t値:-2.408)。

1. 分析対象データ

分析対象は、東京都にある都立・国立・私立高校のうち、2016〜2026年度入試で東大または京大に合格者を出した高校です。11年分としているのは、将来に前年比の変動を10回比較するための準備です。

データはインターエデュのランキングを基本とし、進学校データ名鑑で欠損を補完しました。学校名の省略や重複は機械的に抽出した後、目視で精査しています。都立進学指導重点校7校については、各校が公表する直近の大学合格実績とも照合しました。

具体的な集計対象校は、次の表の通りです。

表1
表2

2. 都立進学指導重点校の日比谷占有率

まず、都立進学指導重点校7校について、①東大、②京大、③東大・京大合算の合格者推移を確認します。合格者全体と現役のみの2種類で集計しました。

①東大合格者

グラフ1−1
グラフ1−2

2025年から2026年にかけて、日比谷は東大合格者を81人から67人へ、現役合格者を65人から57人へ減らしました。一方、西と国立は増加しており、7校合計では合格者が131人から127人、現役が98人から100人と、ほぼ変わっていません。

「入試難化によって中高一貫校が有利になり、日比谷の合格者が減った」のであれば、西や国立も減少し、7校合計も落ちるはずです。実際には7校全体は横ばいなので、2026年度は高校受験全体の後退ではなく、日比谷単独の失速と見る方が自然です。

ただし、日比谷占有率を前半5年と後半5年で比べると、前半の40%台から後半は60%前後へ上昇しています。差の検定でもt値は3.666となり、両側95%で有意でした。

2026年度の占有率は2025年度より低下しましたが、2022年度とほぼ同水準です。2026年度が特に低いというより、2025年度が外れ値的に高かった可能性があります。

②京大合格者

グラフ2−1
グラフ2−2

京大では日比谷占有率が低く、西と国立の増減が全体を支える構造です。前半5年と後半5年の間に有意な差は確認できませんでした(t値:-0.4116)。。

③東大・京大の合格者の合算

グラフ3−1
グラフ3−2

東京では東大合格者が京大合格者の約2倍ですが、京大における日比谷占有率が低いため、両大学を合算すると日比谷占有率は40%前後になります。

それでも、前半5年と後半5年の差はt値:-2.408で、両側95%で有意でした。京大を含めても、都立進学指導重点校を選ぶ最上位層の中で、日比谷への集中は進んだと考えられます。

ただし、後半5年の日比谷占有率にも39〜47%の幅があります。今後、集中がピークアウトするのか、再び日比谷へ戻るのかは、さらに数年見る必要があります。

3. 東京都の中学受験 vs 高校受験

次に、東京都の最上位層が中学受験と高校受験のどちらを選んでいるかを、①東大、②京大、③東大・京大合算で比較します。

中高一貫校で高校募集も行う場合は、中学入試と高校入試の定員比率で合格者数を按分しました。実際には中入生と高入生で合格実績が異なる可能性があるため、以下は募集定員を用いた概算値です。

①東大合格者

グラフ4-1
グラフ4-2

東京都の東大合格者は、中学受験を経た学校の出身者が多数を占めます。麻布、桜蔭、駒場東邦、海城など、高校募集を行わない難関校から多くの合格者が出ているためです。

高校受験からは、日比谷、西、国立などの都立高校に加え、開成などの私立高校や国立大学附属高校からも一定数が合格しています。

中学受験占有率は過去10年間、75〜80%で推移しており、前半5年と後半5年の差も有意ではありませんでした(t値:-0.3479)。現役のみでも傾向はほぼ同じです。

日比谷の東大合格者は増えましたが、東京都全体の中学受験・高校受験の構成比を変えるほどではないようです。

②京大合格者

グラフ5−1
グラフ5−2

京大では高校受験からの合格者も一定数存在し、中学受験占有率は50〜60%まで低下します。ただし、前半5年と後半5年の差は有意ではありませんでした(t値:-0.2518)。

③東大・京大の合格者の合算

グラフ6−1
ブラフ6−2

東大・京大を合算しても、中学受験と高校受験の比率はおおむね3対1、中学受験占有率は75%前後です。前半5年と後半5年の差も有意ではありませんでした(t値:-0.1056)。

したがって、日比谷を中心とする都立高校の実績が伸びても、東京都の最上位層全体が中学受験から高校受験へ移動したとは言えません。

4. 最後に

今回の分析から、東京都の受験最上位層では、中学受験と高校受験の比率は過去10年間ほぼ3対1で変わらず、現在も中学受験中心の構造が続いていることが分かりました。

一方、高校受験の内部では、都立進学指導重点校の東大・京大合格者に占める日比谷高校の割合が、前半5年平均34%から後半5年平均41%へ上昇していました。高校受験を選ぶ最上位層では、日比谷への集中が進んだと考えられます。

なお、これまでの分析では、現役と浪人の傾向差には触れていませんでしたので、最後にこの傾向差も確認してみます。

グラフ7

このグラフを見ると、中学受験占有率は、浪人より現役の方が明確に高く、両者の差は統計的にも有意でした(t値:9.1544)。一方、現役・浪人ともに、前半5年と後半5年の差は有意ではありません(t値:0.9877、-0.0491)。

つまり、東京の最上位層が中学受験に集中する傾向は過去10年間変わっておらず、現役で東大・京大に合格する割合も中学受験組の方が高い状態が続いています。

ただし、今回の分析は東大・京大合格者に限ったものです。これをもって単純に「東京では中学受験の方がよい」とか「東京で高校受験するなら日比谷の一択しかない」とか主張するものではなく、受験最上位層の学校選択を統計的に眺めた一つの分析としてお読みください。

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