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天国から届く風。

天国から届く風


17歳の夏。

息苦しく、未来のない家で育ち、ヤケになっていた頃、バイク事故で瀕死の重傷を負った。

そんな時、突然現れた学校のスター。
彼は京都では有名なヤンチャで、家は大金持ち。

ファッション、喧嘩、イケメン、知能、勇気。
すべてが突き抜けていて、上級生さえ敬語を使っていた。

ショーケンやF3000のレーサー、議員さん。
当時の俺には雲の上のような人たちとも、彼は会わせてくれた。

ボクシングが好きで、将来を期待されていた。

そんな彼が、土曜日になると俺を自宅に泊めてくれた。
朝になると、朝食まで作ってくれた。

噂で聞いていた男とは、正反対。
気遣いのできる、優しい男だった。

7年間、親友をやってくれた。

この時以来なんやね。
人の噂を信じなくなったのは。

多くの人は、実態を見ずに、イメージで人を測る。
それを強く理解したのは、彼と出会ってからだった。

確かに彼は、時々喧嘩をした。

でも、まず俺を巻き込まないよう相手に約束させる。
その代わり、自分一人で全員を相手にする、と。

イケイケの不良たちは、
この時点でもう飲まれていたんやと思う。

その喧嘩の多くは、
母校の生徒へのカツアゲを止めるためだった。

先生たちも知らない。
被害に遭った生徒たちも知らない。
彼の不良仲間でさえ知らなかった。(笑)

ただ「怖い」。
ただ「巻き込まれたくない」。

それだけで、彼によって三年生になる頃には、
不良たちがカツアゲに来なくなったという現実が見えていなかった。

喧嘩はあかん。

当たり前や。
彼も、そんなことはよーく知っていた。

でも、何度もカツアゲ被害に遭い、グランドをバイクで走り回る。
たった一人の先生も止めなかった。

これも現実。

17歳で、すでに一流の大人たちと付き合っていた彼は、
世の中の真理を知っていたのかもしれない。

そんな彼が、当時の最悪な俺に、

「お前ならできる」

7年間、そう囁き続けてくれた。

24歳の冬。

その男は、突然いなくなった。

あいつがどれだけ苦しんでいたのか。
俺は気づけなかった。

それ以来、人と触れる時は、五感で感じようと思うようになった。

言葉なんて二の次。

表情や声、微かな身体の震えまで感じようとする。

「お前ならできる」

今となっては、誰でも聞く言葉。
誰でも発する言葉。

でも、俺の10代には、親や先生ですら、
そんな言葉を言ってくれる人はいなかった。

大半は、「あんたの、ここがアカン」やった。(笑)

だから今でも、鴨川で風に吹かれると、あいつの声を思い出す。

「お前ならできる」

今日、その鴨川の風を動画にしました。

もし今、ひとりで苦しんでいる人がいたら。

この風が届いてほしい。

そして、ほんの少しでも、

「俺ならできる」

そう思ってもらえたらと思う。


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