ウクレレを弾くための爪育の話
ウクレレは基本的に、指で弾く楽器だ。
ピックを使うプレイヤーもいなくはないが、かなり少数派の部類に入る。
ただ、「指で弾く」と言ってもそのスタイルは実に様々である。
指の腹(肉)で太く柔らかな音色を奏でる人もいれば、ジェルネイルなどでガチガチに固めて、まるで撥(ばち)のように鋭い音を鳴らす人もいる。
驚くべきは、ウクレレ界のジミ・ヘンドリックスとも称されるジェイク・シマブクロ(Jake Shimabukuro)氏だ。
あの激しくも繊細なプレイからして、さぞ爪をガッツリ固めてるかと思いきや、実はかなり短く切り揃えていると聞いて衝撃を受けた。
「爪と指の肉では音質が変わってしまうため、トーンを統一するために爪は使わない」のだという。
あの圧倒的な表現力を指肉だけで生み出しているのだから、恐れ入るほかない。
では私はというと、親指・人差し指・中指の三本の爪を1ミリほどだけ伸ばした、スリーフィンガースタイルを主に使っている。
爪の長さや整え方も、先生の指導によるものだ。
しかし、ここで一つ大きな問題が立ちはだかる。
元来、私の爪は非常に弱く、伸ばせばすぐにペラペラと折れてしまう頼りなさだった。
そのうえ深爪気味で、伸ばすと扇状に広がったり、スプーンのように反り返ったりと、およそ楽器を弾くための爪には適していなかったのだ。
それ以前に、形そのものが不格好で、昔から自分の手元に少々コンプレックスを抱いていた。
けれど、ウクレレを弾いているとどうしても指先に視線が集まる。
人前での演奏はもちろん、レッスン中ともなれば先生から指先を凝視されることになるのだ。
この不格好な手元をどうにかしたい――。
そう思い立った私は、ウクレレを始めて割と早い段階で爪の構造やケアについて調べ上げ、本気の改善策に乗り出した。
そこで知ったのは、「深爪や爪の形は、正しいケアで育つ」という事実である。
最近では、こうした深爪やトラブルを抱えた爪専用の育爪ネイルサロンも増えてきている。
が、ひとまずなんでも自分でやってみたい私は、自力でケアすることにした。
こまめに爪先と爪裏を保湿・マッサージし、週に一度は丁寧にやすりをかけ、爪の保護・強化に定評のある「OPI ネイルエンビー」という透明な保護剤を塗布する。
そんな地道な手入れをコツコツと続けた。
結果、私の爪は見違えるように丈夫になり、人前に出しても恥ずかしくない、それなりに整った美しい形に生まれ変わってくれた。
ウクレレというきっかけがなければ、自分の爪にここまで情熱と努力を注ぐことはなかっと思うと、また一つウクレレに恩を感じずにはいられない。
正直なところ、爪の手入れはいまや顔のお手入れよりもはるかに手間と時間をかけている。
……まあ、顔の方はこれ以上お手入れしなくても、すでに完璧なので必要ないのである。
