整形外科で改善できる「筋緊張性頭痛」
横浜市神奈川区の整形外科【吉野整形外科】院長の吉野匠です。
「頭痛」と聞くと、多くの方は脳神経外科や頭痛外来を思い浮かべるかもしれません。
しかし、整形外科が関わる頭痛も少なくありません。
その代表が「筋緊張性頭痛(筋収縮性頭痛)」です。
現代社会ではパソコン作業やスマートフォンの長時間使用により、このタイプの頭痛が急増しています。
今回は整形外科の視点から「首・肩の緊張が原因となる頭痛」について、生活の中でできる工夫や“枕の選び方”までをお話しします。
■筋緊張性頭痛のメカニズム
頭を支える首(頸椎)は、横から見ると前方に向かうゆるやかなカーブ(前弯〈ぜんわん〉)を描いています。
このカーブがあることで、重たい頭をバランスよく支え、衝撃を吸収することができます。
しかし、長時間のデスクワークやスマホ操作で、首を前に突き出した姿勢が続くと、頸椎の前弯が失われ、いわゆる「ストレートネック」の状態になります。その状態が続くと頸椎への負担が増し、椎間板などのクッション部分が変性して、後弯変形へ移行することもあります。
すると首や肩の筋肉に過剰な緊張が生じ、後頭部から頭に伸びる神経(大後頭神経・小後頭神経・第3後頭神経など)が刺激されやすい状態になります。
同時に、緊張した筋肉や筋膜からの痛みの信号が出て、その信号が首の神経を通って脳に伝わることで、脳が「頭が痛い」と感じるようになります。
その結果、後頭部の鈍痛や頭全体の締めつけ感が生じ、これが「筋緊張性頭痛」と呼ばれるものです。
レントゲンで頸椎の前弯消失が確認されるケースも少なくありません。
■まずは「作業の仕方」を変えることから
痛みを薬で一時的に和らげることはできますが、根本的に改善するには「日常生活の中で姿勢を整える」ことが欠かせません。
▷ タイマーで「休憩」を強制する
集中していると、つい2〜3時間同じ姿勢で作業してしまうことがあります。
おすすめは「1時間作業したら5分休憩」というリズムを、タイマーを使って強制的に作ることです。
アラームが鳴ったら一度立ち上がり、肩を上げ下げしたり、大きく回したり、首を前後・左右にゆっくり動かしてみましょう。
こうした“ちょっとしたリセット”を繰り返すだけでも、筋肉の緊張が積み重なるのをしっかり防ぐことができます。
▷ モニターの高さを調整する
目線はまっすぐ〜やや下(20〜30度程度)を意識しましょう。
モニターが高すぎると、首を反らせる姿勢になり、筋肉の緊張を強めます。
特にノートパソコンを使用している方は、スタンドや外付けキーボードを使って高さを調整するのがおすすめです。

■「枕」が合わないと、寝ている間に首が疲れる
「なかなか眠りにつけない」「朝起きたときに首が痛い」「寝ても疲れが取れない」という方は、枕の高さが合っていない可能性があります。
頭の下だけに枕を置くと、首の後ろにすき間ができ、頭の重みで首が下がる姿勢になります。
この状態が一晩続くと、朝には首・肩の筋肉が緊張しやすくなり、頭痛の原因になることもあります。
理想的なのは、首が床(布団)と平行になる高さの枕を使うことです。
そうすることで頸椎も床に対して平行に保たれ、余計な負荷が掛からない状態になります。

枕は「頭の下だけに置く」ものではなく、「肩に近い位置まで含めて、首のカーブ全体を支える」ように使うのがコツです。
■お金をかけない「最強の追い枕」法
特別な枕を買わなくても、ちょっとした工夫で首の疲れを軽減できます。
1️⃣ バスタオルをくるくると丸めて“丸太状”にする
2️⃣ それを首の後ろに横向きに入れ、首と布団がほぼ平行になり、首のカーブが自然に保たれるように高さを調整する
この「タオルロール」を入れることで、首の落ち込みを防ぎ、頭と首をまっすぐに保てます。
タオルは厚みを自由に調整できるため、どんな体型の方でも合わせやすいのが利点です。

枕が高すぎると顎が引けすぎて首が前に曲がり、低すぎると首が反りすぎてしまうため、いずれも首の筋肉に負担がかかります。
「首と布団がほぼ平行に感じられる位置」を目安に、タオルの高さを調整してみてください。
■どの科へ行くべき? 整形外科で診る頭痛とは
突然の激しい頭痛、ろれつが回らない・手足の麻痺などを伴う場合は、脳神経外科や救急外来の受診が必要です。
一方で、首や肩のこりと連動する鈍い頭痛、あるいは夕方にかけて重くなるような痛みは、整形外科での評価が有効です。
整形外科では、頸椎(けいつい=首の骨)のアライメントや筋緊張の状態をレントゲンや触診で確認し、姿勢指導・運動療法・物理療法などを組み合わせて改善を図ります。
「頭痛なのに整形外科?」と意外に思われる方もいますが、首の姿勢を整えることで頭痛が軽くなるケースは非常に多いのです。

■姿勢と環境を整えることが、最良の治療に
デスクワークやスマートフォンが欠かせない現代では、「首に負担をかけない工夫」そのものが治療の一部になります。
デスクの高さや椅子の位置、モニターの角度、そして寝具や枕まで——。
これらをひとつの生活環境として整えることが、薬に頼らず頭痛を予防・改善するための第一歩です。
頭痛に悩む方の多くが、「姿勢を少し変える」「枕を見直す」「休憩をこまめに取る」といった小さな工夫だけでも、症状の軽減を実感されています。
痛みを我慢せず、まずは日常生活の環境を整えることから始めてみてください。
それが、根本的な回復へのいちばん確かな近道になるはずです。
吉野整形外科
院長 吉野 匠
©Yoshino-seikei
