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勝っている長崎が最下位に沈む理由ー今季Jリーグは「勝つリーグ」ではなく「負けないリーグ」である(後編)

前編では、G大阪がなぜ3位にいるのかを見た。

G大阪は、90分勝利数だけなら4勝。
決して圧倒的に勝っているチームではない。

しかし、PK戦に進む試合が多い。

つまり、90分で負けていない。

勝ち切れていない。
だが、負け切ってもいない。

この「負けない力」が、今季のルールでは大きな意味を持つ。

では、対照的に長崎はどうなのか。

長崎は90分勝利が6試合ある。
G大阪よりも勝っている。

それなのに、順位はWEST10位。
最下位である。

なぜか。

答えは、負ける試合の中にある。


長崎は勝てる。しかし、負ける時は90分で負ける

長崎の問題は、勝てないことではない。

6勝している。
90分で勝てる力はある。

むしろ、勝つ時はきっちり勝っている。

しかし問題は、勝てない試合である。

今季のルールでは、90分で引き分ければPK戦に進む。
PK戦に勝てば勝点2。
負けても勝点1。

つまり、90分で負けなければ、最低でも勝点が残る。

ここが、通常のリーグ戦とは大きく違う。

これまでなら、引き分けは勝点1で終わりだった。
しかし今季は、引き分けの先にPK戦がある。

だから、同点に持ち込むこと自体の価値が上がっている。

勝てなくてもいい。まず負けなければいい。

この考え方が、今季の順位表を大きく動かしている。

G大阪は、負けそうな試合をPK戦まで運ぶ。
長崎は、負ける試合が90分で確定してしまう。

この差が、順位に直結している。


長崎の勝点は「完全勝利」頼みになっている

長崎は90分勝利で勝点18を稼いでいる。

ここだけを見れば、決して悪くない。
むしろ、G大阪よりも勝っている。

しかし、それ以外の勝点が少ない。

PK戦勝利は0。
PK戦敗北による勝点は1。

つまり、長崎の勝点のほとんどは、90分勝利によって得たものだ。

これは一見すると強みに見える。

勝つ時は、きっちり勝つ。
相手を90分で倒せる。

しかし、今季のルールでは、この構造はかなり危うい。

なぜなら、勝てない試合で勝点を拾えないからだ。

完勝できる試合では勝つ。
だが、少しでも試合が崩れると勝点0で終わる。

これでは、勝利数が多くても順位は上がりにくい。

今季は、勝った数だけで順位は決まらない。

重要なのは、負ける試合をどう終わらせるかである。

下のグラフは、今季のルールでどれだけ恩恵を受けたかが分かるものだ。
青(今季)とオレンジ(一般的)の差が、その恩恵だ。

G大阪が+5に対して、長崎は0で全く恩恵を受けていない。

長方形の大きさ = 特別ルールによる恩恵

長崎の敗戦には、共通点がある

長崎の敗戦を見ると、共通点がある。

まず、序盤から崩れる試合がある。

早い時間帯に失点し、試合の主導権を失う。
こうなると、PK戦に持ち込む以前に、試合の構造そのものが壊れてしまう。

今季のルールでは、同点に戻せばPK戦に進める。

しかし、2点差、3点差になると、その前提が崩れる。

負けを止める前に、試合が壊れてしまう。

これが、長崎の苦しいところである。

次に、先制しながら逆転される試合がある。

長崎は、先に点を取れる。
試合の入り方が常に悪いわけではない。

しかし、そのリードを勝点に変え切れない。

先制した後に追いつかれる。
さらに逆転される。
そして、90分で敗戦が確定する。

ここに、G大阪との大きな差がある。

G大阪は、ビハインドでも同点に戻す。
長崎は、リードしても負けを止められない。

G大阪はPK戦まで試合を運ぶ。
長崎は90分で勝敗が決まってしまう。

この違いが、勝点に直結している。


問題は得点力不足ではない

長崎の問題は、単純な得点力不足ではない。

6勝している。
90分で勝てる力はある。
先制できる試合もある。
逆転できる試合もある。

つまり、攻撃の力はある。

問題は、勝てない試合をどう終わらせるかである。

勝てる試合を勝つ。
これはできている。

しかし、勝てない試合で勝点を拾う。
ここが足りない。

今季のルールでは、この差が順位に出る。

90分で負ければ、勝点0。
PK戦に進めば、最低でも勝点1。

この1点の差が、試合数を重ねるほど大きくなる。

仮に、長崎が敗戦のうち3試合を引き分けに持ち込めていたとする。

そして、PK戦ではすべて負けたとする。

それでも、勝点は3点増える。

19ポイントは22ポイントになる。

たった3試合、負けを引き分けに変えるだけで、順位の景色は変わる。

つまり、長崎に必要なのは、すべてを勝ちに変えることではない。

まず、負けを勝点0で終わらせないことだ。


結論

長崎の問題は、勝てないことではない。

勝てる。
得点もできる。
試合を動かす力もある。

しかし、負けを止められない。

ここが、今季の順位表では致命的になる。

今季は、90分で負けなければ勝点が残る。
PK戦に進めば、最低でも1点が入る。

だからこそ、重要なのは勝利数だけではない。

負ける試合を、どこで止めるか。

G大阪は、負けをPK戦まで先送りできる。
長崎は、負ける試合が90分で確定してしまう。

だから、6勝の長崎が最下位に沈み、4勝のG大阪が3位にいる。

今季のJリーグは、勝つリーグではない。

負けないリーグである。

そして明日からの優勝争いを見る上で、
重要なのは、引分けも辞さずという姿勢であろう。

前半で2点を取られても、諦めてはいけない。
2点取れば、何とかなると考える。
この姿勢だ。


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