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現代人の「旅の目的」は何なのか


旅の目的:その変化と多様性

「旅」という行為はかなり前から存在します。日本において、古くから旅の重要な目的の一つとして、信仰による参拝がありました。特に「観光」という言葉は、もともと「光(仏や神)を観る」ことから来ていると言われるように、神仏への参拝が旅の大きな動機となっていたと考えられています。

さらに、「旅」という漢字は、もともと「旗が揺らめいている様子を表す『㫃(えん)』」と「人が並んでいる様子を表す『从(じゅう)』」を組み合わせてできた字だそうです。どちらも見たことない感じですが・・。統合すると、旗の下で隊列を組んだ軍隊のような集団が移動する様子を意味していましたが、やがて単に「移動すること」を意味するようになった、とのこと。なんだか今の「旅」のイメージからは想像もつかないですよね。

でも注目したいのはいずれにしても、移動が中心にあると思われることなんです。「人」はそもそも移動することで知識を増幅させ、刺激を受けるもので、常にそれを求める性質があると考えられています。だからどんな状況、環境の中でも無くなることが無いだろうと考えられています。

そして移動には「目的地」が必要で、その「目的地」を選ぶ動機は時代と共に変わっているのではないでしょうか。今回はそんな「旅の目的」について考えてみました。 

私が旅行会社に就職した時、一番最初に配属されたのは「ハネムーンデスク」でした。その頃はまだホテルや結婚式場で毎日のようにたくさんの「結婚式」が行われていて、そこには必ずといっていいほど「ハネムーン」が付いてくる時代だったんです。ホテルや結婚式場には「ハネムーンデスク」と言われる場所が設置されていて、私はそこに一日座ってハネムーンの相談を受けていました。当たり前ですがそこではハネムーン以外の旅の相談を受けることはなく、常に男女二人がお客様だったのです。そこで気づかされたのは「男女によって旅の目的が全然違う」ってことでした。「旅する動機」はハネムーンで、「旅する目的」は本格的な結婚生活前に非現実的な環境をふたりっきりで楽しむってところですよね。とにかく、この旅に関しては二人が一緒に楽しめることを考えて、決めることが必須。大概のお客様はラブラブ(死語!?)な雰囲気の中での相談なので揉めることも少なく、しかも海外旅行が初めてという方が多かったので安心安全で「なんとなくハネムーンだからコレ」というスタンダードなプランを選ばれました。けれど、お互い各々に希望やこだわりが強すぎるとほぼ間違いなく出発前に喧嘩することになります。それでも海外旅行自体が珍しく、ほぼハネムーンでしか行かない状態だった時代は、なんとか合意点を見つけて出発していたんです。なんといっても目的は「結婚生活を始めたらなかなかいけないだろう少し長めの休暇を取ってふたりっきりで旅を楽しむこと」ですからね。

でも今では、結婚前に海外旅行したことがない人自体が珍しく、さらに結婚式さえ行うことが少なくなった状態で、結婚したからと長期休暇をとって旅行する慣習に意味を感じなくなっています。ハネムーンなんてしばらく聞いたことない。。自分たちのペースで決めたタイミングでいつでも行こうと思えば行けちゃう時代だからかと思います。

要するに何が言いたいかというと、ここではハネムーンを例に挙げましたが、今は、旅の目的は、分かりやすく決める必要がなく「なんとなく遠くに行きたい」とか「今の自分を別の環境においてみたい」などという感覚なんじゃないか、ということなんです。


変わる旅の「かたち」:あなたにとっての旅の目的とは?


かつては結婚という人生の大きな節目に欠かせなかったハネムーンのように、旅には明確な「目的」が伴う時代がありました。しかし、結婚式の形式が多様化し、海外旅行が身近になった現代において、旅の目的もまた、大きく変容しているようです。

「なんとなく遠くに行きたい」「今の自分を別の環境に置いてみたい」。そうした、かつての「目的」とは異なる、もっと感覚的な、そしてもっと自由な旅の動機が、現代の旅の主流になりつつあるのではないでしょうか。それは、特定の場所に固執せず、自分の心と体が求めるままに、新たな刺激や発見を求めて移動するという、まさに「旅」という漢字が持つ根源的な意味に通じるものがあるのかもしれません。

明確なゴールを設定せずとも、ただ移動すること自体が、私たちに新たな視点と気づきをもたらしてくれる。そんな「なんとなく」の感覚こそが、今の私たちにとって最も大切な旅の目的と言えるのかもしれません。

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