多様性は足し算ではなく、掛け算になる——組織設計が成果を分ける理由
多様なメンバーが増えたのに、現場が重くなった。
そういう経験をしている管理職は、少なくありません。
「多様性が組織の力になる」と言われます。
でも、実感が伴わない。むしろ、対応が増えて疲弊している。
なぜそうなるのか。
答えは、多様性の「使い方」ではなく、「設計」にあります。
人を増やしても、なぜか重くなる
多様性を「増やすこと」で終わっている組織には、
共通した特徴があります。
人を採用する。配慮をする。制度を整える。
これ自体は間違いではありません。
でも、そこで止まっている。
誰が何を担うか、の設計がない。
判断の前提が共有されていない。
「違い」が摩擦にならない仕組みがない。
人が増えれば増えるほど、管理コストだけが上がっていく。
これが、足し算で止まる組織の実態です。
多様性は、放置すると掛け算にはなりません。 設計がないまま多様性を増やすと、ゼロどころかマイナスになることもあります。
特別なことは、何もしていなかった
静岡県にある株式会社共立アイコム(従業員145名)は、障害者雇用率5.15%を達成している中小企業です。
身体・知的・精神、さまざまな障害のある社員がフルタイムで働き、デザイン制作・Webサイト構築・工場での製造工程まで、幅広い業務で活躍しています。
印象的だったのは、人事部長の鈴木さんの言葉です。
「障害者雇用をすごく意識して行っているわけではありません。」
では、なぜこれだけの雇用率と活躍が実現しているのか。
答えは、「社員全員が働きやすい環境を整えてきた」ことにありました。
仕事の見える化。
業務を習得しやすくする動画マニュアル。
小さなストレッチ目標の設定。
朝礼での理念共有と「ほめシール制度」。
これらはすべて、障害者雇用のために作ったものではありません。 社員誰もが働きやすいように、積み上げてきたものです。
その結果として、障害のある社員にとっても働きやすい環境になっていた。
これが、掛け算の正体です。
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社員が働きやすい会社を目指したら、障害者にも働きやすい職場ができていた
「自然にそうなっていた」の正体
共立アイコムの事例で注目したいのは、
「障害者のための特別な配慮」がほとんど出てこないことです。
部署のメンバーが自然に手伝う。
苦手なことは他の人がカバーする。
それが「すごく頑張っている」ではなく、「自然にしている感じ」と表現されています。
なぜそうなるのか。
組織全体に、働きやすさの設計が先にあるからです。
理念が共有されている。
情報が見える。
役割が明確になっている。
その土台があるから、「違い」が摩擦ではなく、補い合いになる。
多様性が掛け算になるかどうかは、メンバーの組み合わせや個人の努力ではありません。 組織の設計が先にあるかどうか、です。
中小企業だから難しい、ではありません。 規模ではなく、設計の問題です。
今、どちらに力を使っていますか
多様性を足し算で終わらせている組織は、
「人を増やすこと」に力を使っています。
掛け算になる組織は、「機能する設計を整えること」に力を使っています。
多様性が組織の力になるかどうかは、人材の問題ではありません。
その違いを活かせる構造があるかどうか。
あなたの組織は今、何を増やしていますか。
人でしょうか。 それとも、機能する設計でしょうか。
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「担当者が頑張っているのに、組織が変わらない」と感じている方に、
読んでいただきたい内容です。
