『家守奇譚』を読むと、世界の輪郭が少しゆるむ
こんにちは。
柚香の森の店主です。
本の感想を少し書きたいと思います。
梨木香歩さんの『家守奇譚』は、読み終えたあと、心の奥に静かな水面が広がるような一冊でした。
大きな事件が起こるわけではありません。
強く揺さぶられる展開があるわけでもありません。
けれど、日常のすぐ隣に、この世ならぬものたちがひっそり息づいていて、読んでいるうちに、こちらの心まで少しずつやわらかくなっていきます。
正直に言うと、最初は少しとらえどころがない物語だなと感じました。
でも、ページを重ねるうちに、現実と不思議の境目が、だんだん気にならなくなっていくんです。奇妙な現象でした。
わからないものを、わからないまま置いておく。
説明のつかない気配を、無理に怖がらず、そっと眺めてみる。
この本には、そんな余白があります。
わたしは仕入れる前にすでにこの本を読了して、とても気に入ってました。
だから、最初に仕入れた一冊が旅立ったときは、とても嬉しかったです。
「ああ、この本を必要としている方のもとへ向かったのだな」と思って胸が熱くなりました。
酷暑のなか、心も体も少し疲れやすい季節です。
そんなときに、世界の輪郭を少しだけゆるめてくれる読書があってもいいのかもしれません。
『家守奇譚』は、強くすすめるというより、自分の親友にそっと差し出したくなる本。
柚香の森の棚にも、仕入れた『家守奇譚』が静かに並んでいます。
気になった方は、よろしければのぞいてみてくださいね。
