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【詩のようなもの】『いらない指』

たまには手を広げて
そこにある自分の指を
じっくり見つめてみませんか

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

中心さえしっかりしていれば
私は私として
この世界に立っていられるのでしょうか
私には世界での立ち方が
まるでわからないのです

早く親離れしなさい
自分の力だけで進むのです
そう言われたので親指を切りました

人を指差してはいけません
威圧的に感じる人がいるからです
そう言われたので人差し指を切りました

中身がしっかりしていれば
私は私でいられるのでしょうか
真ん中だけで立っていれば
私はこの世界に立てるのでしょうか

薬に頼ってはいけません
そこから抜け出せなくなるからです
そう言われたので薬指を切りました

小さいことは気にするな
前に進めなくなるからです
そう言われたので小指を切りました

そうして残った中指だけが
ずっとまっすぐ立っていました
なにくそこのやろう 世界なんてくそくらえ

でも

親から離れて知りました
この世界に私が立っているのは
親が私を産み育ててくれたからだと
そう思えたとき親指が戻ってきました

人差し指がなくなって知りました
その指が示していた方角には
多くの人々と進みたい未来があったのだと
そう思えたとき人差し指も戻ってきました

中指ばかり立てていたら
世界の優しさが見えなくなっていました
なにくそこのやろう 自分なんてちっぽけだ

薬も時には必要だと知りました
世界を見る余裕のなかった私から
不安を拭い去ってくれる場合もあるのだと
そう思えたとき薬指も戻ってきました

小さい幸せを知りました
そうした小さなことの積み重ねが
やがて大きく広がる世界を形作るのだと
そう思えたとき小指も戻ってきました

全ての指を伸ばしたとき
自分の手のひらが
とても広いことを知りました

全ての指を握ったとき
自分の拳が
とても強いことを知りました

伸ばしたり握ったりすると
私の全身を駆け巡るように
血が流れていくのがわかりました

ずっと伸ばし続けていても
ずっと握り続けていても
やがて血は止まってしまいます

時に伸ばして 時に握って
繰り返し 繰り返し
何度も指を動かしながら
そうして私は自分自身を動かすのです

親指を立てるのは称賛の証
人差し指を立てるのは進むべき道の証
中指を立てるのは世界への抵抗の証
薬指を立てるのは絆の再確認の証
小指を立てるのはあなたとの約束の証

どの指も必要で
どの指も世界とつながっています
この世にいらない指なんてない
五本の指が揃ってようやく
私はこの世界に立てていると感じるのです

#詩のようなもの #指 #人生 #生き方


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結城斗永|掌編小説・詩のようなものを書きます✍🏻 私の物語は皆様からいただいた一杯の珈琲の味。 よろしければ応援よろしくお願いいたします。