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本当は寂しかったのに、"一人が好き"だと思い込んでいた話

「飲み会、どうする?」

「ちょっと疲れてて」

「そっか、残念だね」

その会話を、何度繰り返しただろう。

断ることに、慣れていった。

「今日は疲れてて」「来週も忙しくて」「ちょっと予定があって」

理由は毎回少し違ったけれど、断っていた。

断るたびに、少しほっとした。

家に帰って、一人で過ごす夜の方が、楽だと思っていた。

「一人が好きな人間」になっていった

いつからか、自分のことを「一人が好きな人間」だと思うようになっていた。

人混みが得意じゃない。 大勢での飲み会より一人の方が回復できる。 休日は家で静かに過ごす方が好き。

それが自分の性格なんだと思っていた。

自己理解が進んだような気がしていた。

「俺は内向型だから」という言葉が、しっくりきていた。

断ることを、合理化していた

断るたびに、自分に言い聞かせていた。

「俺はこういう性格だから、無理に行く必要はない」

「一人の時間が大切な人間なんだから、断って正解」

「みんなが楽しめる場に、気乗りしない自分が行っても意味がない」

その都度、「断ることは正しい」という理由を作っていた。

理由があると、安心できた。

気づいたら、誘われなくなっていた

ある時期から、誘いが来なくなっていた。

最初はあった。でも断り続けていたら、だんだん来なくなった。

「また来ないだろうから」と思われるようになったんだろう、と分かっていた。

分かっていたけれど、「それでいい」と思っていた。

「俺は一人が好きだから、これでいい」

でも、来なくなった最初の週末、何かがあった。

何かが、静かに重かった。

相談されなくなっていた

誘いだけじゃなかった。

「最近どう?」という連絡も、減っていた。

誰かが悩んでいるとき、相談してこなくなっていた。

以前は「ちょっと聞いてほしいんだけど」と連絡してくれる友人がいた。

いつの間にか、そういう連絡が来なくなっていた。

「忙しそうだから声かけなかった」と後から聞いたことがあった。

「気を遣わせてしまったんだな」と思った。

そのとき、少し痛かった。

必要とされなくなっていた

それがじわじわ積み重なっていった。

誘われない。相談されない。「一緒にどう?」も来ない。

「俺は一人が好きだから」で片付けていたけれど、もう一つの事実があった。

必要とされなくなっていた。

輪の外に出ていくことを選んでいたら、輪の中の人たちにとって「いない人」になっていた。

それは、自分が選んだことだった。

でも選んだ結果が、思っていたより静かに寂しかった。

「一人が好き」という物語

ある夜、正直に考えてみた。

本当に「一人が好き」なのか。

思い返すと、誰かと笑った日の方が、一人で過ごした日より、記憶に残っていた。

誰かと話して「そういうことがあったのか」と知った夜の方が、スマホを見て終わった夜より、充実していた気がした。

「一人が好き」と言いながら、人と過ごす時間が好きだった記憶もあった。

なのに、どこかから「一人が好き」になっていった。

なぜだろう、と考えた。

傷つかないために、距離を置いていた

少し掘り下げると、気づいたことがあった。

断ることが増えたのは、いつ頃からだったか。

ちょうど、何度か人間関係でしんどいことがあった頃だった気がする。

誰かの言葉に傷ついたこと。

期待していたのに、空振りしたこと。

一緒にいたのに、ひとりぼっちの感覚があったこと。

そういうことが続いた頃から、「行かない」が増えていった。

行かなければ、傷つかない。

期待しなければ、がっかりしない。

距離を置けば、ひとりぼっちの感覚を味わわなくて済む。

「一人が好き」というのは、そのための理由として、ちょうどよかったのかもしれない。

傷つかないために選んだ距離を、「好きで選んでいる」という物語で包んでいた。

孤独が好きなんじゃなかった

これが、正直なところだったかもしれない。

「一人が好き」なんじゃなかった。

「傷つかない距離を選んでいた」だけだった。

その距離が心地よかったのは、安全だったからだ。

傷つかないから。期待しなくて済むから。がっかりしなくて済むから。

でも安全な距離は、温かくもなかった。

誰かに必要とされる場所からも、遠かった。

誘われなくなった週末の重さは、そういうことだったかもしれない。

最後に

「一人が好き」でいることは、悪くない。

本当に一人の時間が必要なこともある。静かに過ごしたい夜もある。

でも、「傷つかないために一人でいる」のは、少し違う気がする。

「好きで選んでいる」と「怖いから選んでいる」は、見た目が似ているけれど、中が違う。

寂しさを感じないために「俺は一人が好きだから」という物語を作っていたとしたら、その物語は少しほどいた方がいいかもしれない。

傷つくことは、誰かと近くにいることとセットだ。

近くにいなければ、傷つかない。でも、温かくもない。

孤独が好きなんじゃなかった。

傷つかない距離を、選んでいただけだった。

その距離を、少しだけ縮めていいかもしれない、と最近思っている。

読んでくれてありがとうございます。スキ、静かに嬉しいです。

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