見出し画像

彼女の知らない空(読書記録10)

それぞれの戦場の話。
例外はあるけれど、人は基本人を殺したくないはず。その意思を踏み躙るのもまた戦争。たとえ命そのものでなくとも社会的に殺すことも含み。奪われる側の話の方が多く、奪う側の話は私はあまり読んだことがなかった。

兵士の精神的負担は、罪悪感を分子として、恐怖感を分母とするも、恐怖感をゼロにしてしまえば、兵士の精神的負担は無限大になってしまう。
納得した。日本人は公平であることを常に求める習性があると思うので特に。

近頃は世界情勢も読めず先の見えない日々だなと感じていて、ある日突然この平和が、日常が遠ざかってしまうかもしれないと感じていて、だからこそ他人事とは思えなかった。
命を奪う戦争に足を踏み入れる自衛官、意図せずそれに加担してしまう研究開発員。直接戦争ではなくとも夫婦関係や妻の鬱病発症と向き合う夫、仕事についていけない部下を追い詰めて退職させる課長など、それぞれの戦場。

血生臭いテーマばかりなのに、早瀬耕の手にかかるとこうも爽やかで柔らかい仕上がりになるものか。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集