顧問料月額3万円と月額10万円の税理士、サービスの差は何か
税理士を探している経営者の方から、よく聞く質問があります。
「月3万円の税理士と月10万円の税理士って、結局何が違うのですか?」
私も最初は「資格は同じなのだから、そこまで大きな違いはないだろう」と思っていました。
ですが、創業メンバーとして税理士選定に関わり、14年間で7回税理士を変更してきた中で、その考えは変わりました。
結論から言えば、顧問料の差は“申告書を作る力”だけではありません。
もっと大きいのは、どこまで日々の経営に伴走してくれるかです。
もちろん、月3万円の税理士が良くないという話ではありません。実際、会社の状況によっては月3万円で十分なこともあります。
一方で、月10万円の税理士にしか出せない価値がある場面も確かにあります。この記事では、その違いをできるだけ実務に近い形で整理してみます。

税理士の顧問料は何で決まるのか
税理士の顧問料は、「資格が上か下か」で決まるものではありません。実際には、事務所ごとのサービス設計によって大きく変わります。
日本税理士会連合会の資料でも、税理士業務報酬は現在一律ではなく、事務所ごとに設定されていることが分かります。
つまり、同じ「税理士顧問」という名前でも、中身はかなり違うのです。
相場感としては月2万〜5万円程度が一般的なレンジとされつつ、経営相談まで含めると高額になる例もあります。
税理士報酬は自由化されている
昔はある程度の基準がありましたが、今は報酬の決め方が事務所ごとにかなり自由です。
そのため、同じ法人顧問でも「月3万円の事務所」と「月10万円の事務所」が普通に並びます。
ここで大事なのは、値段だけを見て比較しないことです。
価格差の背景には、サービスの深さ、関与頻度、対応範囲の違いがあります。
料金差は売上規模より業務範囲で大きくなる
料金差が出る要素として大きいのは、売上規模そのものよりも、どこまで業務を任せるかです。
たとえば、記帳代行を含むのか。給与計算や年末調整も頼むのか。毎月面談するのか。資金繰りや借入相談まで見るのか。
こうした違いが積み重なると、月3万円と月10万円の差になります。
freeeの相場紹介でも、チェック中心の顧問と、月次決算や経営相談まで含む顧問では、価格帯に明確な差が出ると整理されています。

月額3万円の税理士に多いサービス内容
月額3万円帯の税理士に多いのは、申告と基本相談を中心にしたサービスです。
この価格帯は、「安いから不十分」というより、「業務範囲を絞っている」と考えたほうが実態に近いです。
申告と基本相談が中心になりやすい
たとえば、会計データの確認、決算対応、法人税申告、消費税申告、そして必要に応じた基本的な税務相談。
このあたりが中心になることが多いです。
経営者から質問があれば答える。決算前には利益や納税額の見通しを伝える。
そうした税務顧問としての基本機能は、月3万円前後でも十分成立します。
面談頻度と提案の量は少なめになりやすい
一方で、この価格帯では毎月の面談や、積極的な提案は少なめになりやすいです。
どちらかといえば、経営者から相談があった時に対応する形が中心です。
つまり、毎月数字を見ながら「今月は粗利率が下がっています」「このままだと3か月後の資金繰りが厳しくなります」といった踏み込んだ話までは、含まれないことが多いです。
ここは能力の問題というより、契約単価の中でどこまで時間を使えるかの問題だと思っています。
月3万円で十分な会社もある
本音を言えば、月3万円で十分な会社もあります。
たとえば、社内に経理担当がいて、記帳や資料整理がしっかりできている会社です。
また、資金繰りが安定していて、借入や投資判断の相談があまりない会社であれば、税理士に求める役割は「申告を正確に行うこと」と「必要な時に相談できること」で足りる場合があります。
そういう会社にとっては、月10万円のサービスが過剰になることもあります。

月額10万円の税理士に期待できるサービス内容
月額10万円帯になると、申告業務に加えて、“数字を使って経営を支える支援”が含まれてくることが多くなります。
ここが、月3万円との一番大きな違いです。
月次決算と資金繰りの確認が入る
この価格帯で期待したいのは、月次で数字を確認する体制です。
毎月の試算表を早めに出し、前月比や予算比を見ながら、利益や現金の状況を把握していく形です。
さらに、資金繰り表をもとに、数か月先の現金残高まで確認できると、経営判断の質が変わります。
中小企業庁も、月次で財務状況や資金繰り状況を把握する重要性を示しています。
税理士がここまで見てくれると、単なる申告の担当者ではなく、経営の相談相手に近くなります。
節税だけでなく経営判断の相談相手になる
月10万円帯では、節税だけでなく、役員報酬の決め方、借入の進め方、設備投資のタイミングなど、経営判断そのものの相談が増えてきます。
私の経験でも、良い税理士は「税金を安くする人」ではなく、「判断の前に数字を整理してくれる人」でした。
利益は出ているのに、なぜ現金が残らないのか。借入を増やすべきか。今は投資すべきか。
そうした問いに対して、数字を使って会話できる税理士は非常に心強いです。
対応スピードと担当者体制にも差が出る
もう一つ大きいのが、対応スピードと体制です。
質問への返答が早いか。担当者だけでなく税理士本人も関与しているか。定期的に会社の状況を把握しているか。
こうした点は、価格差に表れやすい部分です。
逆に言えば、月10万円払っても、返答が遅い、提案がない、税理士本人が見えないのであれば、その金額に見合っているとは言いにくいです。

3万円と10万円の差をどう見極めるか
経営者として大事なのは、「高いか安いか」ではなく、「自社に必要な支援が入っているか」を見極めることです。
経営者が確認すべき質問は3つ
私なら、契約前に最低でも次の3つを確認します。
1つ目は、月次面談があるか。
2つ目は、節税以外に何を見てくれるか。
3つ目は、税理士本人がどこまで関与するかです。
この3つを聞くだけで、その税理士が「申告中心」なのか「伴走型」なのかがかなり見えてきます。
安い高いではなく費用対効果で考える
私自身、税理士選びでは苦い経験があります。
自分が選んだ税理士の対応が不十分で、社長に役員貸付金1,500万円が発生してしまったことがありました。
もちろん、すべてを税理士の責任にするつもりはありません。経営側の理解不足もありました。
ただ、あの時強く感じたのは、「申告して終わり」の関係では、会社にとって重要な論点を見落としやすいということです。
一方で、7人目の税理士と出会ってからは、数字の見え方が変わりました。
年間350万円のキャッシュが残るようになったのも、毎月数字を整理し、役員報酬や経費の考え方を見直せたからです。
顧問料はコストですが、選び方次第で投資にもなります。

私が7回税理士を変更して分かったこと
7回税理士を変更した私が断言できるのは、料金が高いだけでは意味がない、ということです。
料金が高いだけでは意味がない
月10万円でも、提案がない。数字の説明がない。経営の背景を理解しようとしない。
そういう税理士なら、月3万円との差を感じにくいでしょう。
金額より大事なのは、その顧問料の中に何が含まれているかです。
本当に見るべきは経営数字を一緒に見られるか
私も最初は、「税理士は申告書を作る専門家」だと思っていました。
ですが実際には、良い税理士ほど、申告書の前にある日々の判断を整えてくれます。
売上が伸びているのに現金が減っている理由。
利益が出ているのに資金繰りが苦しい理由。
借入や投資の判断をどう考えるか。
こうしたことを一緒に見られる税理士こそ、経営にとって価値があります。
私は、ここに月3万円と月10万円の本質的な差があると思っています。

まとめ
顧問料月額3万円と月額10万円の税理士の差は、単純な能力差ではありません。
サービス範囲と伴走の深さの差です。
月3万円は、申告と基本相談を中心とした顧問として十分機能することがあります。
一方で月10万円は、月次確認、資金繰り、経営判断の相談まで含めた支援が期待される価格帯です。
大事なのは、「うちの会社は何を税理士に求めるのか」を先に決めることです。
最低限の税務対応で足りるのか。経営の相談相手まで求めるのか。
そこが定まれば、3万円が高いか安いか、10万円が高いか安いかも見えやすくなります。
なお、最適な顧問契約は会社の規模や経理体制によって変わります。具体的な契約条件や税務判断については、個別事情を踏まえて税理士にご相談ください。

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