薄いハンカチしか持たなかった私が、フェイラーに心を奪われた話
私は昔から、薄いハンカチ派だった。
理由は単純。邪魔にならないから。
荷物は少ない方がいい。バッグの中身はできるだけコンパクトにしたい。
何かあった時、すぐ動ける状態にしておきたい。
極端な話、いつでも走って逃げられるくらいが理想である。
そんな思想で生きてきたので、厚みのあるハンカチや可愛い柄のハンカチは、正直あまり理解できず、「可愛さのために機能性を少し犠牲にしているもの」くらいに思っていた。
今振り返りながら書いていると、なかなか厳しい目を向けていたなと思う。
そんな私が、初めてフェイラーという存在を知ったのは、以前お世話になった上司からもらったハンカチだった。
その上司が異動する時に、「ハンカチいるか?」と渡してくれたもの。ロッカーの奥にしまったまま、一度も使っていなかったらしい。
きれいに梱包されたままの、東京駅舎柄のハンカチだった。
ちなみに、この上司にはかなり好き勝手やらせてもらっていた。今振り返ると、とても生意気な部下だったと思う。
言いたいことは言う。態度もそれなりに大きい。かなり扱いづらい部下だったはずだ。
それなのに、その人はよく面倒を見てくれた。
「次の案件も一緒に働きたい」と言った時には、本当に一緒に働けるようにアサインしてくれた。
当時の私は、それがどれだけありがたいことなのか、ちゃんと分かっていなかった。今になって振り返ると、かなり甘やかされていたと思う。
そんな上司にもらったハンカチを受け取り、「悲しいですぅ〜〜〜〜」とさっそく鼻水をかむふりをしてふざけた。
すると、その上司は言った。
「それ、フェイラーのいいやつなんだぞ」
(フェイ…何…?)
フェイラーというブランド自体を知らなかった。
もちろん、ハンカチにもブランドがあることは知っていたが、当時の私にとってハンカチは「使えればいいもの」であり、そこにこだわる発想がなかった。
家に帰って価格や他諸々を調べるために(超失礼…)ネットで検索し、ブランドを知った。
フェイラー、超可愛いじゃん〜〜〜〜!!!!
フルーツ柄。
動物柄。
イラストのようなデザイン。
私は今まで、可愛いだけのものに興味がない人間だと思っていたがどうやら違うようだ。めっちゃときめいた。
ただ、ここで問題がある。
私は荷物を増やしたくない。いつでも走って逃げられるくらいの装備でいたい。そんな人間が、可愛いハンカチを集め始めたらどうなるのか。
現状の小さいバッグには収まらない。
なんなら私は、ハンカチをズボンのポケットに押し込み、バッグすら持たない日もある。
そこに厚みのある可愛いハンカチが追加される。
私が今まで大事にしてきた「コンパクトに生きる」という思想との矛盾が生じる。
買うか…でも荷物増やしたくない…。
そんなことを考えながら、今日も私はフェイラーのサイトを眺めている。
まだ購入していない。
慎重派である。
ただ単に、優柔不断とも言う。
